表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/10

甘いわ青二才

ニジが喘息疾患のアサヒの為に飛び去った、その1時間後にて



ヌマイ「お。来た来た。」


ヌマイ「これであのゴミクズ野郎から永遠におさらば出来る。クフフフフフ!」


裏を何度か取っていたヌマイがコングレスセンター屋上におり、その頭上へと少しずつ飛んできている輸送機の姿を見た途端勝ち誇るゲスの笑みを浮かべていた。


ヌマイ「長らく築き上げたこの街を捨て置くには勿体無かったな。だが次の所でまた造ればいい。」


ヌマイ「俺が持つこの圧倒的な力さえあればなんでもできるってワケよ!ヒヒヒヒ!!」


ヌマイは飛んできている輸送機へと合図を送るよう発煙筒を投げ、更に近づく輸送機へ手で何度も招くよう地上への降下を待った。

しかし、


ヌマイ「は?なんだ?なんだなんだ!?」


ヌマイ「なんでこんなモノを落とすんだ!?追加物資はいいってのにいいいい!!俺が伝えた救助要請と、やっと繋がった上層政府の対応と全然違うじゃねーーーかああああ!!」


輸送機は合図を出しているヌマイの行動に反してそのままコングレスセンター上空を通り過ぎ、代わりに輸送機から落とした大きな鉄製の箱が発煙筒が焚かれているコングレスセンターの屋上へと鈍い音と共に落下した。

何度も裏を取ったのにと…連絡内容と異なる対応にヌマイは思わず激怒する。


ヌマイ「俺は早く此処から出たいだけだ!こんなのあっても仕方ねェだ…って、ん?」


が、箱の中をつい開けてみると【緊急試薬品】と書かれた多くの小さな箱が積まれており、ヌマイはその中の一つを手にとって【肉生生物忌避試薬クレール】と試薬名が書かれているのを目にした。


ヌマイ「試薬だとぉ。あの気持ち悪い肉エイリアン共に効くのか?」


ヌマイ「…。」


ヌマイは手に持った忌避薬入りの箱をまじまじと見た後、


ヌマイ「まぁ政府が緊急的に作ったものなら仕方ない。」


ヌマイ「ひとまず此処に逃げ込んだ住民共に配るか。この街から脱出する別の手を考えねば…。」


他に鉄の箱内の隅に入っていた一枚の服用注意事項を目にせず…むしろ気づかないままスルーしてしまい、ひとまず輸送機が落とした試薬品がたくさん入った鉄の箱をヌマイはコングレスセンター内のスタッフを呼んで、多人数で箱内の試薬品を一人一人手渡すように指示していった。


これが後に…




ーーーーーーーーー




一方ニジの方は、


ニジ「あったあった。これだこれ。」


内部まで入り込みあちらこちらで色んな形をした肉組織が病院内を生きた肉へと浸食している中、ニジは探し求めていたアサヒが使っている同じタイプの吸入器を見つけて思わず笑顔を浮かべる。


ニジ「いくつか持っていくか。永久借りパクすみません。」


ニジは長期避難する可能性を視野に入れて吸入器をいくつか手にとり、手に入れたアサヒ用の吸入器を四次元ポケットクラス級のコートの内側へと入れた。


ニジ「さて、ズラかるか。」


ニジ「この病院も何かの生き物になりそうだし…」


目的を果たしたニジは今いる病院から立ち去るべく備品庫から出て、浸食し別の形へ成長・変化しつつある肉塊から聞こえてくる心臓の音を聞きながら、病院の外へ目指すべく走ろうとした。

時、


ニジ「…。」


ニジは走り出そうとした脚を止め、表情も真顔になるようゆっくりと前へと歩き始める。

ニジはただ静かに無言のまま歩き、広い場所へと向かうよう自身にずっと向けられている殺意を誘導する。

そして広めのエントランスホールらしい肉組織が彼方此方にへばりついた場所へと進み、歩んでいた脚をピタリと止めた。


ニジ「…。」


その直後、


ニジ「…誰だ?アンタ?」


ニジが素早くしゃがんだ瞬間速すぎる一閃が光り、その光った一閃の場所が今いるエントランスホールごと綺麗に真っ二つにするよう巻き込まれた肉組織と共に切断面が顕になる。

しゃがんだままのニジは視線だけを背後に向け、その方向先に闇に溶け込むよう立っていたより体格があるニジ以上の背丈をした男へと問いかけた。

も、


「今から死にゆく者に応える義理は無い。」


「これも仕事じゃぁ。その若い首、ワシが頂戴する。」


ニジ「ああそう。」


男は続け様にしゃがんだままのニジに向けて右手に持った鞘から瞬時に引き抜く刀の一閃を放ち、ニジは首狙いの一撃を瞬間移動するように宙へ側転しながら躱し、ニジは顔を見上げるイカつい顔面強面オヤジの姿を此処で目にした。


ニジ「デカいねー。アンタ強そ。」


「おう。強いぞ。ワシは。」


ニジ以上の背丈に屈強の身体。顔半分が独特の刺青を入れており、背には黒のスーツをマントのようにかけ、内側は黒いムキムキの身体が見えるぐらいのフォーマルな黒無地シャツとパンツとレザーブーツを身に付け、右手に長い黒塗りの鞘と左手に握る物凄く長い刀を鞘へと入れる。


顔面強面オヤジの早い居合い切りを避けたニジは綺麗に着地し軽く構えを取った後、


ニジ「しゃーないな。」


ニジはいつでも鞘から引き抜ける鯉口を切った状態の顔面強面オヤジへと向き合った。




ーーーーーーーー




「逝ねぃ。」


ニジへ向けて一瞬に放たれるめちゃくちゃ早い一閃。

その一閃をニジは見極めるよう、顔面強面オヤジが振るう太刀筋の向きを瞬時に見て首を傾ける程度に殺意マシマシの斬撃を避ける。


ニジ「…。」


ニジは何度も自身へ向けて振るう常人には決して目に見えぬ斬撃を躱し、時に側転を交えて顔面強面オヤジがいる方へと一歩一歩と近づく。

次第にニジの右拳を力強く丸めるのを見た顔面強面オヤジは、


「フン。良い目をしちょるのぉ。じゃが…」


ニジ「!」


近づいてくるニジの視界から完全に病院内の暗闇に溶け込むよう消え去り、近づいていたニジは急に消えた顔面強面オヤジに足を止めた。

顔面強面オヤジは気配も音も消したまま、


「これで終いじゃ。」


ニジの足下へと床スレスレの位置に高速・瞬間移動していた顔面強面オヤジがおり、足下から一気にニジを真っ二つにするべく大きな体格を横向きのまま刀を真っ直ぐに振るった。

が、


ニジ「怖!ホラーかよ!?」


「ぬ。」


ニジは素早く足下から急に襲ってくる顔面強面オヤジの一撃を同じく瞬間移動で躱し、後ろへ滑るよう移動回避していたニジは不安定な床ギリギリに着きそうな体勢のまま視線だけ見つめる顔面強面オヤジへと軽く手でツッコむ。


ニジ「正当な使い手は本当に手強いな。だが…」


「む。」


ニジは素早く顔面強面オヤジの下へと走り、猛スピードで走ってくるニジを見た顔面強面オヤジは不安定な体勢から起き上がって、ニジの素早い前蹴りを右手に持った鞘で当て防ぐ。

直後、


ニジ「オラァ!」


「!」


ニジの素早い左アッパーが顔面強面オヤジが左手に持っている刀の鎬地部分に当たって、その勢いで刀が手から離れるよう後ろへ弾いた。

一気に畳み掛けるように逃がさないニジは、


ニジ「(もらった!)青拳(ブルー)殴撃(ストライク)!」


丸めた右手に青い光を纏わせ、顔面強面オヤジの顔に目掛けて一撃パンチをしようと振り被った。

しかし、


「甘いわ青二才。」


ニジ「っ!」


目を一瞬細めた顔面強面オヤジがニジへと素早い一撃を与え、まともに受けたニジは大きく後ろへぶっ飛ばされ一度背中から床に叩きつけられたが、素早く身を捻って受け身を取るよう両足から床に着けて少し引き摺ったが体勢を立て直す。

ニジは顔を上に上げるなり、


「主もそこそここの日まで強者とやり合ったようじゃが、甘い甘い。若さゆえか仕方ねェが、ワシから見ればまだまだ浅いわ。」


ニジ「…。」


ニジの口先から血が一つ垂れ流れており、半立ち状態のニジへとその顔面強面オヤジは見据えた眼光で少し鼻息をする。


「しかし勿体ないのぉ。ワシとしてはもっと主の練度を見たいが、与えられた猶予ある仕事じゃぁ致し方ないか。」


「次で終いにしたる。天に祈れ、青二才。」


その後顔面強面オヤジは手を軽く上げて、ニジが殴り飛ばした刀が意思あるかのよう何度も回りながら翳した手の下へと収まるように戻ってきた。

ニジは軽く苦笑いしながら、


ニジ「生憎神様とやらを信じてないんでね。悪いが此処で終わる日じゃない。」


ニジは口先から流れ出ていた血を右手で拭い取りながら、両足に力を込めて立ち上がる。

ゆっくりと刀を構えながら歩んでくる顔面強面オヤジの動きを見ながら、


「ほざけ、青二才!!」


ニジ「殺れるもんなら殺ってみろよ!オラアアッ!!」


両者は無意識に両目を光らせ、ニジは青い目を顔面強面オヤジは橙の目で瞳孔も縦に割れるよう再び激突する。

そんな時、


「ぬ?」


ニジ「あ。」


突然の轟音と共に両者の間へと入ってくる巨大な肉の長い胴体をしたワーム?が現れ、その先端が大きな口へと変わり、ニジへと斬りかかろうとした顔面強面オヤジの身を拳を構えるニジの目の前で吸い込まれるようにボッシュートされた。


ニジ「え、ちょ。」


ニジ「…。」


そのままニジに見向きもせずに真っ直ぐに何度も病院の壁を突き破って、何処かへと移動するよう病院外へ去って行った。

突然の戦闘終了と、一人残されたニジは…


ニジ「…いいや。結果的にラッキー!」


ニジ「つかアイツ一体誰だったんだよ。ほんとマジで。」


とりあえず運良く助かった事に苦笑しつつ、本来の目的である吸入器をアサヒの下へ届ける為に病院外へと走っていった。



続く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ