第四十花「報告」
「終わったよ」
私は藍に通信を入れる。
「そうですか、お疲れ様です。こちらは、戦闘機が見えたと思ったらすぐ引き返していったので暇でしたよ」
戦闘狂のような思考だな…。口には出さなかったけど。
「今回のテロでわかった。裏で動いている組織はかなり大きい。世界規模だ」
「なるほど。それは厄介なことになりましたね」
「そうだよ。ここに乗ってたやつもかなりレベルが高かった。結構苦戦したよ、結構切られたし」
「……え?」
藍の声が曇る。
「…?そうだよ」
「紫、今回戦った相手は、私より強かったですか?」
うーん、どうだろ。藍頭いいし、さすがに藍の方が強いだろう。
「藍の方が強いんじゃない?」
「紫」
そう言うと、少しトーンを落とした様子で、呼ばれた。
「な、何?」
「弱くなりましたか?」
予想外のことだった。私は少し機嫌を悪くして答える。
「…なんで?」
「私は四年前、あなたが姿を消すまでの間、模擬戦の時、本気で挑みました。ですが、一回も傷をつけたことはありません。なのに、私より弱いと思った相手に攻撃をもらったのでしょう?」
……確かに。言われてみれば。
「油断したのではありませんか?殺れるタイミングはあったでしょう?以前のあなたなら、一撃で終わらせていたはずだ」
少し語尾が強くなっている。
「……何?私のやり方に文句あるの?あーあ、こっちは情報もらったのに。そんな言い方されるとは…」
私は油断したつもりはない。異能の問題だ。
「……」
「……」
私は反省するつもりはない。考えが甘くなっているのは認めるが、それが今回は、吉と出た。
「……ここで喧嘩しても仕方ありません。言い方が悪かったのは謝ります。ですが、私が言ったことは忘れないでください。では、現地で」
そう言って切られた。
はぁ、こんなことなら櫛川に任せればよかった。
まぁ現地までは顔合わせないしいっか。
なぜ現地なのかと言うと、この飛行機から向こうの飛行機に「瞬転」するのは無理だからだ。
最初は戻れないの嫌だなと思っていたが、かえって良かった。
私は華と櫛川が待機しているところに戻る。
「はぁ…。なんか怒られたんだけど」
そう言うと、櫛川が少し笑った。
「珍しいですね。それに、それは嬉しいことですよ」
嬉しい?なぜ?
「当たり前じゃないですか。怒られたということは、あなたが信頼されてるからですよ」
「……そういうもんなの?」
「はい。なのでそんな怒らず、応えてあげてください」
……なんか急に罪悪感芽生えてきた。後で謝っとこ。
それにしても、なんか華と櫛川の距離が近い。さっきなんか怒ってたはずなのに…。
なんかお邪魔虫になっている気がしたので、少し離れて眠ることにした。
「着いたら起こしますねー」
最後に、そんな声が聞こえてきた気がした。
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「……あれ」
私は電車の座席に座っていた。
周りには一人もいない。
「また、この夢か…」




