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第三十八花「終の花は美しく咲く」

ーー紫視点


やっと、一撃。されどそれは終わりを意味する一撃でもあった。

彼の異能は…とても強い。

これは、才能だけでは辿り着けない。自分の異能を理解し、試し、努力しているのが、十分に理解できる。

「……本気でいくよ?」

私はもう一度、切りかかる。

No.25は前と同じように異能を使い、その一撃から逃れようとする。

しかしーーそれはフェイントだ。

私はさらに一歩踏み込み、奥を切る。

今度は縦に刃が通る。

私の踏み込みの衝撃で、地面が割れた。

「……はぁ、ゴフッ、はぁ…まだだ!」

私の左には、すでにナイフを刺しにくるNo.25の()()があった。

……まだ完璧に異能を把握したわけではないが、「幻影」と呼ぶのは少し違う気がする。

私は迫り来るナイフと体の間に刀身を入れる。

「……今だ!」

そして、前からは先ほど切ったのにも関わらず、彼が攻撃を仕掛けにきた。

二段の攻撃。

ーーパキン。

私の刀が、割れた。

ほとんど同時に、刀の側面に二箇所ナイフの刺突が入ったのだ。

彼は理解していたのだろう。刀の折り方を。

「はぁ……はぁ…」

彼は呼吸が荒い。

本当は諦めているはずなのに、その抗う姿勢は、ただ、美しかった。

「刀……無くなったぞ?」

少し誇らしげにそう言ってくる。

最初から狙っていたのだろう。

「そうだね」

私は、そう答えながら、準備する。

敬意をもって、彼に答えなければならない。

「…お願い、ゆかり」

何もない空間から、一振りの刀が呼び出される。

先ほどの普通の刀とは、違う。誰もがそう感じるだろう。

「……それが、お前さんの…異能、か…」

彼はその異質な刀をただ、見つめた。

「いや…厳密には違うけど…まぁ、そういうものだと思ってもらって構わないよ」

私はその刀を手に取る。

周囲の空気が、それに応えるように重くなる。

私は、彼に一言だけ、呟いた。

「……いくよ」


その言葉に、彼は少し力を抜いて、答えた。

「最後、か」

私はもう真正面に立っていた。

が、彼の目はまだ、先ほどまで私がいた場所を見ている。


せめて、最後は苦しまないように。

彼はもう十分罪に苦しんだ。



「崩涙」



彼を横一文字に、切った。

何も起こらない。切れてすらないと思われるほどにその一刀は、速かった。


そして、彼の体が端から少しずつ、崩れ始めた。

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