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七人目は偽勇者?  作者: 木南
第三章
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第九話

風邪を引きました……。

頭が働かない中で書いたので、色々おかしいところがあるかもしれません……。


あ、後半は西原視点です。



(痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い)


痛い。

頭の中がそれだけで埋め尽くされるほどに。

もはや戦いどころではなく、右腕で握っていた剣を無意識に手放した俺は、左肘の辺りで断ち切られた腕を抑えてうずくまった。


(痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い)


歯を食いしばってひたすら痛みに耐える。

焼けるような痛みとはまさにこの事だ、なんてどうでもいいことを考えながら。


……数分、もしかしたら数秒だったのかもしれない。

食いしばった歯から血が出てきた頃、俺はようやく痛みに慣れてきた。

ぎゅっと閉じた目を開き、涙が滲む視界で前を見る。


そこには、俺へ向かって飛んでくる火の弾があった。


「う、ああっ!」


体を横に投げ出し、なりふり構わず避ける。

その甲斐あって、髪を掠めるくらいでどうにか避けることが出来た。


「ぐぅぅぅ!」


そのまま思い切り地面にぶつかったため、衝撃が左腕に響く。


「ハッ!惨めだなあ楠!」


再びうずくまってしまった俺に、嘲笑を浮かべながら声をかけてくる西原先輩。


「うる、せえよ……。この程度じゃ、俺は死なねえぞ……」


血を流しすぎたからか、少し朦朧としてきた意識で言い返す。


「ちっ、口だけは減らねえやつだな!」


「あんたに、だけは、言われたくねえよ……」


なけなしの体力を使って思わず言ってしまうと、図星だったのかプルプル震え出してしまった。


(小鹿かよ……)


そんな考えが読めたわけではないだろうが、一度舌打ちをしたあと吐き捨てるように言ってきた。


「もういい、さっさとくたばりやがれ!【ファイアー・バレット】!」


魔力が切れたのだろうか、一発だけ飛んでくる火の弾。

頭を狙って飛んでくるそれに、俺は最後の力を振り絞って呟く。




「……【転化】」






俺は勝利を確信した。

今まで目障りで仕方がなかった楠がようやく死ぬ。そう思うと、嬉しくて仕方がなかった。


このクソみたいな世界に召喚された俺は、勇者になったんだから女にモテると思ってた。

だが、そんなことはなかった。

誰も彼も、一緒に召喚された勇者連中のみならず会う女全員が楠ばかりを見る。偽物の癖に、なぜあいつばかりがチヤホヤされる?


だが、それだけなら殺してやろうなんて思いはしなかった。

よりにもよって、あの麗までもがあいつに目をかけた。

それに気がついた時、目の前が真っ暗になった。

俺が何度粉をかけても全く靡かなかった彼女が、あんな偽物風情を見ているなんて、許せなかった。




ーーー「楠勇真を、偽物の勇者を殺せ」


どこからか、そんな声が聞こえた気がした。




……そして、気がついた時には俺は勇者達に襲いかかり、楠を殺そうとしていた。

自分の中の、楠への悪意。それを濾し固めたものが俺の体を動かしていた。

しかし、俺はまるで乗っ取られたように体を動かす事が出来なかった。

なぜか紅く染まって見える視界は、まるで映像を見ているようで現実味がなかった。

確か騎士団長と戦えるようになったはずの体は、比べ物にならないほど良く動いた。それはもう、自分の体ではないかのように。まるで、俺という人格が二つあるかのように。


そして、暴食の迷宮でようやく楠にトドメをさすというとき。俺はそこでようやく体を動かせるようになった。

それと同時に、紅く染まった視界も徐々に色が薄れていき、体も少しずつ重くなっていった。

そして、楠への悪意だけではなく、少しずつ周りを見る余裕や思考も戻ってきているようだった。

こうなると、楠だけではなく他の本物の勇者達のことも見えてくる。

俺を見る目は殺意や敵意、そして恐怖で彩られていた。

この世界における代わりのない仲間達から向けられるその目を見た俺は、


(今からでも遅くない、こんなことはやめて麗に謝らなければ。)




……なんてことは、これっぽっちも考えなかった。

俺を満たしたのは歓喜の念。

涙が浮かぶほどのそれは、きっと俺が完全に狂ったあかしだったのかもしれない。

クリアになった思考であっても、俺を支配していたのは楠への悪意だけだった。




そして、今。再び楠と戦い、ようやく楠を殺せる。

またしても涙が出てきそうになったがどうにかそれを堪え、せめて最期くらいは看取ってやろうと楠を見つめる。


俺の魔法がぶつかる、その瞬間。


「【転化】」


楠が呟いた声が耳に届くと同時に、俺の視界は白く染め上げられた。


「なんだ……!?」


腕で目を覆う。

何と呟いたのかまでは聞き取れなかったが、恐らく固有スキルだろう。

警戒する俺だったが、視覚を潰されたというのに襲いかかってくる気配がない。

もしかして、目潰しが最後の力だったのだろうか。


「はっ……」


思わず笑ってしまう。

偽物のお前にはお似合いだ。

そう考え、俺は体の力を抜く。

それを待っていたのだろうか、今まで動く気配を微塵も感じさせなかった楠が動いた。


「……お返しだ」


「何を……」


言ってやがる。そう続けようとした俺の耳に,


ボトリ


という音が、迷宮を反響して届いた。



風邪が治るまでは続きは書けないかもしれませんので気長に待っていて下さい

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