第9話
次いでレベル測定――。
会場は驚きと歓声で溢れかえっていた。
――その原因は。
「セドリック・ローゼンベルク! レベル五十!!」
このセドリック・ローゼンベルクと言う男が原因らしい。
......レベル五十。勝てる気がしない。
そんなことを思っていると、セドリックがアルトの元へと近づいてきた。
「先程の剣技試験、見事だった」
「あ、ありがとうございます?」
そう言うとセドリックはアルトに握手を求めてきた。
アルトがそれに応えると、セドリックは嬉しそうに目を細めた。
「自己紹介が遅れた。オレはセドリック。セドリック・ローゼンベルク。よろしく」
「アルト・レインです。よろしく」
「アルトのレベルがいくつか、楽しみだ」
そう言うとセドリックはアルトの手の感触を確かめるように触った。
......なんだかくすぐったく、恥ずかしいから手を離してほしい。
「アルトの手......」
「?!」
まずい。女だとバレたか?!
「剣術で鍛えられたいい手をしている。努力家なんだな」
セドリックは優しい笑みを浮かべた。
アルトは思わず頬を紅潮させてしまった。
――こんな美形の笑みを間近で見せられると......
「アルト? 顔が真っ赤だぞ?」
「な、何でもない!! それにしても、セドリック、レベル五十なんてすごいじゃないか!!」
「......父が騎士団長なんだ。だから幼い頃から父に恥ずかしい思いをさせないようにしてきただけだよ。普通だと入学時のレベルは十前後らしい」
セドリックの話を聞いてアルトは目をキラキラと輝かせた。
「凄い! 凄いよセドリック!!」
......セドリックは「あぁ。コイツも父の肩書目当てか」とアルトを見た。
どうせ、オレ自身を見てくれる人なんて――。
「お父さんの期待に応えようと努力してきたんだね!!」
「......え?」
「僕の父さんも言ってた! "努力は人を裏切らない"って!! セドリックは人よりたくさん努力してきたんだね!! あ、僕も負けないくらい努力してきたんだから!!」
「......ふっ。アハハ!! アルト。君は本当に面白い!!」
「な、なんだよ......」
今まで親の肩書ばかりで自身のことを見てくれる人なんていないと思っていた。
しかし、アルトは違うようで嬉しく感じたのであった。
「アルト。オレと友達になってはくれないか?」
「!! いいの? 僕で?」
「あぁ。アルトがいいんだ」
アルトは"王都に来て初めての友達"に思わず舞い上がった。
「ありがとう!! セドリックは王都に来て初めての友達だ! これからよろしくね!」
アルトがセドリックに笑いかけると、セドリックは何故か顔を赤く染め上げた。
――男が男に可愛いなんて思うなんておかしいだろう。
なんて思いながら。
「次! アルト・レイン」
「はい!! それじゃあ、僕行ってくるね!!」
「健闘を祈ってるよ」
アルトはレベル測定器の水晶に手をかざした。
剣技を見ていた者達は、アルトのレベルがどれほどのものなのか気になって、気がつけば人だかりができていた。
「アイツ、剣技試験で試験官の剣を折ったヤツだ」
「たしか、Sランクだろう?」
「きっと、とんでもない数値が出るぞ......」
アルトは緊張しながら測定機に手をかざす。
すると、浮かび上がってきた数字は――
「アルトレイン! ......え?」
「?」
「れ、レベル"四"!!」
レベル、四?
周りのざわめきが遠く聞こえる。
一瞬にしてアルトは奈落の底へと突き落とされたのだった。




