第7話
「ルシエル様、今日はありがとうございました」
「いいんですよ。ゼッツ様は、お酒の飲みすぎにはご注意を」
「うるせー。母ちゃんか、お前は」
そんなやり取りをしていると、一人のシスターがルシエルに用紙を渡してきた。
アルトはなんだろうと思っていると、ルシエルがその用紙をアルトへと手渡した。
「これは学院の入学願書です。学院の入学にはこの願書と剣技、レベル測定が必要となっています」
「"レベル測定"?」
「勇者適正レベルを測る試験です」
「......レベルが低いとどうなるのですか?」
アルトが恐る恐るルシエルに問いかけると、ルシエルは笑みを崩すことなくアルトの問いかけに答えた。
「最初のうちは低くても、次第にレベルを上げることが可能です。なので、低いからと落ちこむことはありません」
それを聞いたアルトは胸を撫で下ろした。
が、次にルシエルの口から出た言葉に身体を固くする。
「......ですが、あまりに低いと"落ちこぼれ"の烙印を押されてしまいます」
「落ちこぼれ......」
「なぁに。アルトの剣技はそこらの男にも負けず劣らずの腕前だ。オレが保証する」
ゼッツがここまで褒めるとは。
今度はルシエルが驚く番であった。
「アルト、安心しろ。お前の父ちゃんも今じゃ田舎暮らしだが、若い頃は"のし上がり騎士"で有名だったんだぞ?」
「父さんが?!」
アルトは一日でどれだけの情報を入れられるのか、頭がパンクするのではないか? と不安にもなった。
「ガル様は流石聖女様の弟君と絶賛されてましたからね。......引退を惜しむ声がそこら中から上がったほどに」
「......どうして引退したんですか?
ルシエルはゼッツの顔を見ると、ゼッツが静かに頷くので話すことにした。
「アルト。貴方を育てるためです」
「......僕は父さんの夢を奪ったの?」
「それは断じて違います。
ルシエルはアルトの肩を掴むと、こう言葉を続けた。
「ガル様は貴方に自身の夢を託したのです。......それが少女だとしても」
「え? ルシエル様は気がついて......?」
「安心してください。これはトップシークレット。誰にも話しません。安心してください」
「......ありがとうございます、ルシエル様」
アルトは心の底からルシエルに感謝した。
そして、ガルの為にもなおさら勇者にならなくては! と気合を入れなおした。
「と、言うわけで。アルト明日の試験、頑張って来て下さいね!」
「え?! あ、明日ぁ?!」
「お前......日付見てなかったのかよ。......しかし、今から宿を探すとなると......」
「ご心配なく。今日はわたくし共の宿舎をお使いください。教皇様には確認済みです」
「こんなので眠れるわけがないだろー!!」とアルトは心の中で叫んだ。
しかし、流石は子供。
一日の疲れでベッドに入ってすぐさま眠りについた。
――翌日の試験でとんでもないことが起こるなど、アルトは夢にも思っていなかった。




