第19話
***
――今日はいよいよ入寮日。
候補生達が次々と寮へと入って行く。
そんな中、寮の門の前で人だかりができていたのをアルトはみつける。
中心にいる人物を見ると......セドリックであった。
「ローゼンベルク様!! いやぁ、一緒に入学できるのは光栄です!!」
「......」
「せ、セドリック様!! 今日の晩御飯は僕達と食べませんか?」
「......先約がいる」
......実に話しかけづらい。
そんなことを思っていると、セドリックと目が合った。
セドリックは先程までの仏頂面はどこへやら。
笑顔でアルトの元へと駆け寄ってきた。
「アルト!! 久しぶりだな。元気だったか?」
「う、うん。......それより、あの人たちはいいの?」
「......あぁ。ローゼンベルクの名によって来るコバエどもだ。相手にすることはない」
なんともまぁ、辛辣な言葉だと思いながらもアルトはセドリックと共に寮内へと入って行く。
すると、アルトとセドリックは同室だったようで、二人は揃って安心した。
――きっとこれは学院長の配慮だろう。
アルトが女だということがバレてはいけない。
それに、セドリックは学院長と交わした"アルトを守る"という使命がある。
「さ、荷物もある。早く部屋に......「セードリック!!」ハァ......」
「な、何?!」
「セドリック! こんなに早くお前とやれるチャンスがあるなんてな!! 早く手合わせがしたいぜ!!」
突如現れた、茶髪の男。
セドリックに突っかかり始めた。
......アルトの存在など目もくれずだ。
「悪いな、ガイゼル。弱い者いじめは趣味じゃない」
「はぁ?! オレ様は剣術試験Sランクだぞ?! どこが弱いって?!」
「......行こうアルト。放っておいても大丈夫だから」
「ん? アルト? ......もしかして"落ちこぼれレベル四"のアルト・レインか!」
その発言にアルトの肩を抱いたセドリックの手に力が入った。
......セドリックは今の発言が許せなかったようで、男、ガイゼルに近寄って行った。
「今の発言撤回しろ。......アルトは落ちこぼれじゃない。剣術試験はお前と同じSランクだぞ。......それにレベルは上げていくことが出来る」
「ハッ!! ただ単に試験官が弱かっただけじゃねえのか?」
ガイゼルはアルトに目をやる。
すると、アルトの強い金色の瞳に射抜かれて、一瞬たじろいだ。
その一瞬の間であった。
――アルトがガイゼルに見事な投げ技をお見舞いしたのだった。
「あ、アルト!!」
「......いいざまですね。どうです? "落ちこぼれ"の僕に投げ飛ばされる気分は?」
「......お前、それ......」
「父さん直伝の投げ技ですよ? 自分より大きい人間だって僕にかかればポイッですよ」
ガイゼルは呆然としたが、次の瞬間勢いよく立ち上がると、アルトの手を取った。
「お前、このオレ様を投げ飛ばすたぁ、いい度胸だな。......面白い。その度胸を買って、オレ様のライバルにしてやってもいい」
「「は、ハァ?!」」
――どうやら入寮早々一波乱あるようだ。




