第16話
食堂に着くと、三人は開いている席へと腰を下ろした。
ほどなくして、朝食が運ばれてくる。
焼きたてのパンに野菜のスープ。
卵料理に色とりどりの新鮮な果物。
「うわぁ......!!」
「アルト、お前さん朝からよく食うのか?」
「はい!! 朝いっぱい食べないと力が出ないから、朝は必ず食べるようにって父さんとゼッツじーさんが......そう言えば、ゼッツじーさんは?」
アルトは姿が見えないゼッツを気にして手をとめる。
するとそれに答えたのはルシエルだった。
「ゼッツ様なら、『世話になりっぱなしは性に合わない』とのことで、教会の草むしりをしてますよ......ところで、バルタザール様。手に持っているそれはなんですか?」
「あぁん? 見てわかるだろ。酒だよ。さ・け」
ルシエルは悪びれず酒を手にするバルタザールにビンタを食らわせ、酒瓶を取り上げた。
バルタザールは赤くなった頬をさすりながら仕方なしに食事に手をつける。
「ところでよ」
「はい?」
「お前、勇者育成学院を受験したんだってな?」
「はい!!」
「どうだった?」
アルトの食事をする手が止まる。
「......剣術試験はSランクでした」
「ほぉ! Sランク!!大したもんじゃねぇか!!」
バルタザールは目を輝かせる。
「ありがとうございます!! ......ですが」
「?」
「レベル測定では"四"でした」
その瞬間。
バルタザールから笑みが消えた。
「......四?」
「はい」
「本当にか?」
「......残念ながら」
「......妙だな。ルシエル、お前も受けたんだろう?"神託"を」
「はい」
バルタザールとルシエルは顔を見合わせた。
「神はたしかにアルト・レインという者が伝説の勇者をも超える勇者として現れる、と」
バルタザールは腕を組み、目を瞑りながらルシエルの言葉を聞いている。
そんな時だった。一人のシスターがバルタザールに近寄ってきた。
「教皇様。勇者育成学院、学院長様からお手紙が届いております」
「......サンキュ」
なんてタイムリーな人物からの手紙だろう。
バルタザールはその場で手紙を開くと、静かに読み始めた。
アルトもルシエルもその様子を緊張しながら見守った。
バルタザールは一読し終えると手紙をたたみ、懐へとしまった。
「......バルタザール様。一体なんと?」
「ん? これから学院と教会、手と手を取り仲良くしましょうって内容だ」
「は、はぁ......」
バルタザールは誤魔化したが、学院長からの手紙にはこう書かれていた。
『拝啓 中央教会教皇バルタザール・クローディア殿
少女、アルト・レインは伝説の勇者である紋章を受け継いでいる。
覚醒時のレベルは"百"。
これから学院と教会で同盟を組みたいと思う。
どうか、この願聞き入れてほしい。
敬具 勇者育成学院学院長アレクシス・ヴァレンハルト』
これからとんでもない波乱が待っている。
そう予感させられる。
この、"少女 アルト・レイン"をめぐって――。




