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レベル4の落ちこぼれ勇者候補、死にかけたら勇者の力が覚醒しました  作者: 朱音小夏


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第14話

 アルトとセドリックは教会の前で分かれた。

 次に会う時は入学式の一日前――入寮日だ、と約束をして。

 教会の中に入ると、ルシエルとゼッツが腕を組みながら待っていた。


「アルト。こんな時間までどこに行っていたのですか?」

「女がこんな時間まで外を出歩いていいと思っているのか?」

「ルシエル様、ゼッツじーさん......心配かけてごめんなさい。」


 アルトは素直に二人に頭を下げた。

 そして――


「ルシエル様。ごめんなさい」

「アルト?」

「......僕に勇者の資格は薄いようです」


 アルトはレベル測定の結果を話した。

 ――レベルが"四"でしかなかったことを。


「それがなんだというのですか?」

「え......?」

「アルト。私は神のお告げを聞いたのですよ? そんな測定器の結果など信じることはありません」

「で、でも......」


 ルシエルはアルトのことを抱きしめた。

 そして優しく背中をさすった。


「いいですか? 言ってはいませんでしたが、そもそも女性で測定値が出ること自体あり得ないんですよ?」

「......そうなのですか?」

「えぇ。だから、自信を持ってください。......私は貴方が勇者になりうる者だと信じていますよ」


 アルトはルシエルの温かさに、強張っていた身体が和らぐのを感じた。

 ――緊張の糸が解かれていくかのように。


「たかがレベル測定の数値に踊らされるんじゃねぇよ。剣術はどうだったんだ?」

「......Sランクもらった」

「流石オレの弟子じゃねぇか! レベルよりも剣術に重きを置け! いいな?」


 なんともまぁ、ゼッツらしい不器用な慰め方だ。

 だが、それが今はアルトの心に強く響いた。


「......二人とも、ありがとう」

「お礼を言われるようなことはありませんよ。さぁ。遅くなりましたが夕食にしましょう」

「......食べてなかったのですか?」

「アルトと食べたいってゼッツ様が聞かなくて」

「おい!!」


 そんな軽口さえ、今ではアルトの心を落ち着けてくれる。

 ――この二人のそばにいるのも、あと僅か、か。

 そう考えると寂しくなるアルトなのであった




 ***


 翌朝、アルトは寝苦しさで目が覚めた。

 ......覚めざるを得なかった。

 ベッドに横たわるアルトの隣にいたのは酒と煙草の匂いを纏った、髭面の男。


「ギ、ギャーー!!」


 アルトは思わず叫んだ。

 何しろ見覚えのない人間が自分のベッドに入り込んでいるのだから。


「んン......うるせーなぁ......」

「?! だ、誰ですか?! 何で僕のベッドに?!」

「オレ様がどこで寝ようと、オレ様の勝手だろぉ......んだぁ?抱きがいのない貧弱な身体は」

「?!?!」


 アルトは声にならない悲鳴を上げたが、謎の男はアルトの身体に触れることをやめない。

 そんなこんなで混乱して動けないでいると、廊下からバタバタと足音が聞こえてきた。


「アルト?! 一体何が......って、教皇様?!」

「......え?」

「なんだぁ、ルシエル。もう来ちまったのかよ」

「教皇様!! 一体何をなさっているんですか!! また問題を起こして!! ......アルト。紹介します。この方がこの中央教会の教皇、バルタザール・クローディア様です」


 ――セドリックの言っていたことは嘘ではなかった。

 本当にとんでもない教皇様であった。

 ......とりあえず、身体をまさぐるのはやめていただきたい。


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