第11話
「?! アルト?!」
「光が......力が沸いてくる......!!」
アルトは剣に力を籠めると、剣に光が集まって行った。
『さぁ、その光で魔物を一掃するのだ』
「......!! 聖光ぉ!!」
アルトは光を纏った剣を一振りすると、辺りにいたグレイウルフの群れが一掃されていった。
セドリックを含めた全員が呆然としていると、アルトはその場に崩れ落ちた。
「アルト!!」
いち早く動き始めたセドリックがアルトを抱き止める。
......アルトは意識を失っているようだ。
「まさか......」
セドリックはアルトの腕を露にすると「やはり......」と声を漏らした。
アルトの腕には剣を模した紋章が刻まれていた。
――それは伝説の勇者に刻まれる紋章。
だが、どうしてアルトに"それ"が現れる?
「......レベル四というのはやはり間違い、か?」
「おい! 大丈夫か?! 一体何があった?!」
セドリックが呟くと、裏山の入り口から多くの教師たちが姿を見せた。
そしてアルトの腕を見ると、皆唖然とした。
教師の中でも"レベル四の劣等生"の噂は広がっていたからだ。
「ま、まさか......勇者の紋章?」
「レベル四ですよ?! 何かの間違えでは?!」
「......いや、そもそレベル四というのが間違いだったのもしれん」
そう言ってアルトとセドリックの元に現れたのは学院長であった。
学院長はアルトの細い腕を取り、しげしげと見つめていると、紋章は綺麗に消え去って行った。
「君はたしかセドリック・ローゼンベルクだったな。少年を連れて一緒に来てくれるかい?」
「は、はい」
そうしてセドリックはアルトを抱きかかえ学院長の後を追った。
***
「ソファーに少年を寝かせてくれるかい?」
「分かりました」
セドリックは学院長の言う通り、アルトをソファーに横たわらせる。
すると学院長は、レベル測定器の水晶を手に持ってきた。
そして、アルトの手を取り水晶にかざす。
すると――。
「......レベル百、か」
「?! レベル百ですか?!」
「......少年はどうやら伝説の勇者の後を継ぐ者らしい」
セドリックは言葉が出なかった。
――伝説の勇者。
過去、唯一魔王倒したと言われる"勇者 アルヴァーン"。
たしか、歴代の魔王の中でも上位の力を持つ魔王を倒したと、伝記に記されていた。
「セドリックよ。このことは誰にも言ってはならぬ」
「......アルト本人にも、ですか?」
「あぁ」
そう言うと学院長はアルトの腕を見やる。
セドリックもそれに倣い紋章を刻まれた腕を見た。が。
「......紋章が消えている?」
「どうやら常に出ているものではないらしい。......セドリック・ローゼンベルク。そなたに命ずる。アルト・レインを守るのだ。誰にも悟られてはならん。よいな?」
「......御意」
この時はまだ、誰も知らなかった。
アルト・レインと言う少女の隠された本当の秘密に――。
そして――。
彼女の覚醒が、この世界の運命を大きく変えていくことを。




