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ロボとリンツ  作者: 千子


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9/12

9話

道路を法定速度ぎりぎりでバイクを走らせる。

「ロボ、次の分かれ道は!?」

「ミギダヨ、リンツ!」

「了解!」

分かれ道をロボのナビに従って右へ進む。

まだ、ゼフさんがいる街までいくつかの街を通らなきゃいけない。

そんな時、政府の戦闘用ロボットが出撃していくのが見えた。

慌ててロボを見る。

ロボは相変わらずコードを投影している。

これも政府の何かと関係があるんだろうか?

戦闘用ロボットが出撃したばかりだから戦闘用ロボットに関してのコード?

私はバイクを止めて、サイドカーのロボを抱き抱える。

「ロボ、大丈夫。大丈夫だからね」

ゾフィさんに言われた言葉を思い出す。

それでもロボは投影された空中にコードを映し出す。

……ゼフさんに早く会わなきゃいけないかもしれない。

ロボのアップデートがどんなものかは分からないけれど、ゾフィさんの言うことだもんね。

間違いはないはず!

戦闘用ロボットが帰還すると、ロボのコードも止まる。

やっぱり、ロボのコードは戦闘用ロボットに関係しているの?

だから、この宇宙船を、世界を救うことも滅ぼすことも出来る最終兵器なの?

「ロボ、行こうか」

「ウン、イコウヨ。リンツ」

ロボをサイドカーに乗せて走り出す。

政府に目をつけられないように、違反しないように、法定速度ギリギリのスピードで。

ロボはリュックの影にして隠している。

早く、ゼフさんの元へ辿り着かないかな。

そんな逸る気持ちを抑えたまま一つ目の街を訪れた。

とても活気がある街だった。

それは、高いビルには配送用のドローンが荷物を運び、下町の威勢のいい掛け声が響いている。

「すごい……」

人が多くて、歩くのも大変。

バイクから降りて手押しでキョロキョロと、辺りを見回すと人とぶつかった。

「ごめんなさい!」

「気をつけろ」

怒鳴られて萎縮してしまう。

「……お腹が空いたね、ロボ」

「ロボットニソンナコトイワレテモ」

「空いたの!」

私は残高を確認しようと内ポケットからお財布を出そうとして、ないことに気がついた。

「えっ、うそ!お財布がない!」

それを見ていた街人が、笑いながら近寄ってきた。

「やられたね、お嬢さん。多分、さっきの人物は旅人専門のスリさ。諦めておくんだね」

「諦めるなんて、そんな!全財産なのよ!?」私は慌ててバイクを押して逃げていった人影を追いかけた。

それでも、さっきの人は見つからなかった。

それに……。

この先は嫌な予感がするの。

「おや、お嬢さん。貧民街に何かお尋ねで?」

ギリギリ、門の外側にいたお婆さんに事態を説明すると、憐れんだ瞳で告げられた。

「そいつはきっと貧民街の連中だろうねぇ。あそこには悪事なんて日常茶飯。スリくらい可愛いもんさ」

「でも、全財産なの。あれがなきゃ、旅を続けられないわ」

本当は怖いし引き返したい。

でも、お金がなきゃ何も出来ない。

ゼフさんに会いに行くことだって!

お婆さんに言われても、納得できないものは出来ないの!

「さて、どうしたもんかね。貧民街の門は貧民街の連中にしか開けられないし」

「なら、私が貧民街の住人になればいいのね!」

何を馬鹿なことを。

ゾフィさんならきっと、そう言って嗜めた。。でも、私は私のお金がスリにあったことでいっぱいいっぱいになってしまい、正常な判断が出来なくなっていた。

「それで、どうやって貧民街の住人になればいいのかしら?」

私が尋ねると、意思が固いと感じだのかお婆さんは門の隅に置いてあった銅鑼を叩いた。

すると内側から同い年ぐらいの少年が現れた。

「なんだい、婆さん」

「貧民街への新しい住人さね」

「私はリンツ!よろしくね」

精一杯の笑顔で答えたら嫌そうな顔をされた。

なんでかしら?

「貧民街の人に全財産を盗まれちゃったの。どうしたらいいか教えてくれない?」

少年がため息を吐いた。

そしてそのまま元来た道を戻ろうとすると、私に声を掛けてきた。

「貧民街へ行くんだろう?さっさと行くぞ」

「分かったわ!」

なんだ。ちょっと無愛想だけれどいい子じゃない。

私はバイクを押して門を潜った。

お婆さんが呟く。

「ああ。また一人この世の地獄に足を突っ込んだ。見守るだけなんて、なんてつまらないのか。貧民街近くに住めば、もっとその片鱗を楽しめると思ったのに」

趣味の悪いお婆さんの一人言を聞くことなく、私はせっせとバイクを押して少年の後をついて回った。

途中、値踏みするかのような視線が怖い。

でも、きっと大丈夫。

私には一人じゃなくてロボがいるから。

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