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あなたを見送るための  作者: あかね


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29/29

おまけ 隠しボスの私、今作主人公が転生者っぽいので追跡の旅にでることにした。

 聖女、あるいは、魔女。

 そのどちらとも呼ばれる私は、自らの聖域を決め、ぶんどった。国の土地? 知らんよ。墓守は墓を守るものだ。

 この地は推しが死んだところ。

 我が聖地である。

 誰がなんていったって、私の土地だ。


 推し。この世界にはまだない概念をもつ私は、異世界転生者である。この世界と類似したゲームを熱愛し、推しの祭壇を作るくらいの信奉者であった。

 しかし、大変残念なことに我が推し、私が生まれたときには生存し、私が物心ついたころに死んだ。

 異世界転生、なぜした。というくらいに最悪のタイミングだ。そこからの惰性の人生は、町娘としてとても標準的。いつの間にかどこかに嫁に出さないとねと親に言われる年頃になっていた。

 運悪く、勤め先が火事になり、色々人生のどん底に至る前に、墓守の募集が来た。

 それも、推しの。

 嬉々として応募、採用、そこからのスローライフ。

 あの頃は平穏だったと遠い目をしたくなるが、今も、表面上は平穏ではある。


 そこから色々あって、欲しいものをぶんどってこの聖地を占拠しているのである。祈りの日々は充実している。

 口うるさいツレはいるけど……。


 そんなある日、この地に侵入してきた者がいた。近隣では魔女の住処と恐れられ、実際、簡単に出入りできないようになっている平原及び我が家周辺の森を抜けて。



 私はその時、庭で転寝をしていたブランを眺めながら、豆の莢を剥いていた。

 ブランの耳がぴくっと動き出し、それから間を置かず起き上がった。いつもの倍早い。何事かと思っていたら、森の奥を見て、唸りだした。

 珍しいこともあるものだと抱き上げてその道を見ていたところに、ひょっこりと現れたのだ。


「道に迷ったみたいで、外はどこですか?」


 私を見て淀みなく彼は告げた。既定のセリフを。


 プラチナブロンドに青い目。赤のマフラーだけがやけに目立つ服装だった。その後ろから二人ほどついてきている。どちらも女性だ。

 全員見覚えのある知らない人だ。


 あのイベントがついに来た。今作の主人公が、魔女、あるいは聖女の力を借りに来るサブイベント。抜かしてもよいが、その力を得ることは攻略しやすさにつながる。そのため、必須と攻略サイトに書かれていたのは前世の話。


「あちらから、どうぞ、お帰りください」


 私も既定のセリフを返す。


「僕たちは魔女を探しています。あなたはご存じありませんか?」


「さあ? 私はここにずっと住んでいますが、会ったことはありません。

 その魔女に何か御用ですか?」


「願いがあるとお聞きしました。

 その願いのものを届ければ、手を貸してくれると。我々には彼女の力が必要なのです」


 私は沈黙した。

 これは既定のセリフではない。


「彼女はなにを探しているのですか?」


「宝箱をお求めでしょう。

 すぐに取り戻して差し上げます。そのときにはぜひとも仲間になってください」


 はらはらとした表情の連れの女性に私は微笑んだ。彼女たちはモブではなく、名前がある。二人とも彼の幼馴染で中盤くらいまで同行可能だ。


「わかりました。

 そのように伝えておきます」


 彼には微笑み一つ向けず終わりにした。値踏みされるような視線が不快極まる。

 確かに私の外装は自分でもびっくりするほどの美人だが、だからといって商品のように値踏みされることを良しとはしない。


「……来客?」


 裏手で作業していたはずのツレは声を聞きつけたのかこちらに顔を出した。

 それに彼が驚いたのを確認した。


「迷子です。お帰りになります」


「お一人ではないんですか?」


「違いますよ。

 こんなところで一人暮らしなんて危ないじゃないですか」


 そう言ったら、ツレがどの口が言ってんだと言わんばかりの視線を向けた。建前だよ、建前。わかるだろ、と視線で訴えて見た。まあ、伝わってないだろうけど。


「こっちだ」


 引き継いだ方がいいと判断したのか、ツレが彼らを外へと案内する。一方通行の出口だ。入口はべつのところにある。


「わぅ」


「変なのが来ましたねぇ」


 腕の中の子犬に話しかける。大変良いお返事をしてくれた。わかってるのかはこちらもわからないけど。


 今の推定今作主人公が約束したもの。そいつは回収済みだ。

 今から一年くらい前に手に入れ、もうない。不可能任務である。そして、それは通常のルートを通っていればわかっているはずなのだ。


 そういえば彼らは初期の装備だったなと思い出す。幼馴染を連れて行ける限界はストーリーも半ばくらいまで。ここに来る頃は終盤に近い。


 あの装備を見ると現時点は仲間もろくに集まってない初期段階に近い。その時点ではこのあたりにかけた目くらましの魔法を抜けることができず、迂回せねばならない。迂回すると強い魔物が現れ、それを倒すのも困難だ。

 しかし、抜け穴があってそこを使えばいい、というのは二周目以降のお楽しみ要素のはず。

 偶然というには、出来過ぎているような気はした。

 それに、この住処に他に人がいることにぎょっとしていたようだった。もう一人いるというより、連れていかれたものがいるという話は城に行けば嫌でも聞ける話。


 中盤までにはいくはずの城に行かず、直接ここに来た可能性はあるが、それは事前の知識が必要。

 うーんと少しだけ悩んで、出かけることにした。偽装は得意分野である。


 そして、私は二人と使い魔一匹とで国内旅行にでることにしたのだった。ほんとは一人旅したかった。一人と一匹が、おまえ、野放し、危険、とかいうから……。常識ない、相手が危険、とも言われた。

 私を何だと思ってんだと返したが、災厄、と言われたので一応黙ることにした。


 そして、私は知ることになる。

 なぜ、彼は道を違えたのか。かすかな希望そのものが、壊れてしまったのか。

 やはり私はとても遅かった。


 To be continued…?

そんな続きはまたいつか……。

魔道の王の罪と苦悩、私の出生の秘密と地下都市との関連とは!? という話になる予定です。

相変わらずラブはない。


こちらで完結となります。

読んでいただきありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
つ、続きを読めるまで健康でいなくては… 魔導の王楽しみすぎますね…!!黒髪か金か銀か…どれも良いな…! ツレは若い時の可愛さどこいった?みたいな茫洋としたお兄さんになってるとイイナ…
アアアア続きが気になるやつぅぅぅ…… いつか、いつの日か……
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