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朔 月/ただっぴろい清掃用具入れ、せますぎる銀河
朔 月
欠けている所がない美しい月よりも、
アタシは欠けてる月が好き。
ほら、見て
あの月を。
触れれば指が切れ落ちてしまいそうに鋭くて
失くした指先から真っ赤な血が流れて
そして天の川を鮮やかに染めるの。
だからアタシは欠けた月が好き。
完全な美なんて、どこにもないでしょ?
まんまるな月だって、結局は欠けた月なのだから。
***
ただっぴろい清掃用具入れ、せますぎる銀河
窮屈なソウジ箱に身を押し込めて
小さな穴から見渡す教室
ほこりのにおいが嗅覚をつつく
ああ、なんてせまい空間
それにくらべてこの箱はこんなにも広いのに。
捨てられたミカンのダンボールを屋上に運んで、
ダンボールに自分を押し込めて
真っ黒な星空を見上げる。
ダンボールは横に倒れ、背中を強打する。
ああ、なんて小さな宇宙
ああ、なんて大きいダンボール。




