風が桜を狂わせる
風が桜を狂わせる
こんなにも愛しているのに
彼方には私の想いの半分も伝わらない
狂おしいほどに愛しいのに
彼方を見ているだけで哀しくなるのは何故かしら?
私の眸に
彼方は確かに映るのに
彼方の眸に私は映ない
私の心に彼方はいつでもいるのに
彼方の心に私の姿は微塵もない
彼方の言霊は
私には痛いほどに届いているのに
彼方へ私の言霊は届かない
それでも私は、彼方を愛しています。
彼方の眸が、
彼方の心が、
彼方の笑顔が、
彼方の匂いが。
彼方のすべてが恋しい
彼方のすべてが愛しい
彼方のすべてを手に入れたい
受け止めてください、私の気持ちを
気付いてください、私の声に。
自由奔放な彼方は野山を駆け巡り、せせらぎを渡り、広大な海をさざめかせる。
私は冷たく黒い地に縛られ、そんな彼方を見つめるばかり。
彼方に振り向いてもらいたくて
精一杯咲かせた桜の花を、彼方は何も知らずに散らして行きました
―――私のこの情熱を、彼方は無残にも踏み躙ったのです。
判りますか
彼方には私の心がどんなに貶されたか、彼方には理解できますか?
じれったい
そう、彼方はじれったい
私の想いに気付かない彼方は最低です。
こんなにも愛しているのに、彼方は私にその愛の何分の一も返してくれない
私はずっと彼方を見てきたのに、彼方は私をまったく見てくれなかった
いいえ、見ようとしていなかったのです
無邪気に笑いながら、彼方は今日も駆け巡る
笑いながら彼方は私の想いを受け取る事無く、私の心をずたずたに切り裂き去っていく
そんな彼方が嫌いです
彼方の眸が、
彼方の心が、
彼方の笑顔が、
彼方の匂いが。
彼方のすべてが憎い
彼方のすべてが怨めしい
彼方のすべてを呪いたい
返してください、私の気持ちを。
返してください
私が彼方に捧げた愛を、彼方のその命すべてで。




