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リアルオンラインを完全解約したい俺、女神の手違いで永久サ終阻止の英雄に認定される 〜カルマ残高ゼロで成仏したいのに、無欲すぎて勝手に徳が振り込まれるんだが〜【全50話完結確約】  作者: ランダムアクセス
第2章:押し寄せる富と名声のカルマテロ

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20/21

第20話:国家英雄認定と天上界へのリーチ

「――ハイランド騎士公国国王、アーダルベルト三世が名において命ず!」


 渓谷の熱風を切り裂き、王室特使の張りのある声が朗々と響き渡った。

 純銀の甲冑を着た近衛騎士たちがバッと一斉に抜剣し、剣先を天へと掲げる。


「数百年にわたり我が公国の存亡を脅かし続けてきた太古の災厄、紅蓮竜を武力に頼ることなく無血にて鎮め、国境の民と騎士団を全滅の危機から救い給うた至高の聖者――相良零(レイ)殿!」


 特使は恭しく跪き、ビロードのクッションに載せられた、眩い白銀とエメラルドの勲章を両手で掲げた。


「その比類なき功績と神聖なる徳を称え、公国最高栄誉たる【白銀鷲獅子大十字勲章】、ならびに公国軍の象徴たる【終身名誉近衛騎士団長】の位を授与するものとする!」


「「「うおおおおおおおおおおおおおおっ!!」」」


 渓谷を埋め尽くした騎士団、そして避難民たちから、割れんばかりの大歓声が巻き起こった。

 大地を揺るがす拍手と喝采。

 涙を流して抱き合う騎士たち。

 もはや一国の救世主を迎える凱旋式そのものの熱狂だ。


「師匠ォォォッ! すげええええっす!!」


 レオンが目を輝かせて俺の肩をバンバンと叩いた。


「一国の最高名誉騎士団長っすよ!? 王族と同等の特権階級っす! 一生食うに困らないどころか、公国の美女たちからモテモテ間違いなしっすよ! さすが俺の見込んだ師匠だぜ!」


「ああ、神よ……!」


 セシリアも胸の前で両手を固く組み、感涙に濡れた瞳で俺を見上げた。


「レイ様の無私無欲の精神が、ついに強大なる騎士国家の王をも平伏させたのですね……! この栄誉は、大陸の全歴史に燦然と輝く奇跡です! すぐに大聖堂へ神聖通信を繋ぎ、記念の銅像建立の準備を進めなくては!」


「キュルルルン☆」


 足元では、すっかり駄犬と化した紅蓮竜タロウが、祝福するように尻尾を激しく振って地面を叩いている。


 だが――。

 三重の絶対障壁の内側で、俺の顔面は死人のように青ざめていた。


「……いらん」


 蚊の鳴くような声で呟く。


「いらん……! 国家勲章も、騎士団長のポストも、銅像も、何一ついらん! 俺はただの無職だ! 住民税非課税のまま静かに消え去りたいだけなんだよ!」


 しかし、俺の絶望の叫びなど、システムにとってはただの「美談のスパイス」にすぎなかった。


 ピロリロリロリロリロリロリロリロリーンッ!!


 天空が裂けるかのような、過去最大級の神聖ファンファーレが鳴り響いた。

 視界の中央に、黄金と真紅のド派手なシステムメッセージが炸裂する。


『――世界法務・国家級叙勲通知――』

『【最高名誉騎士認定】が執行されました』

『一国の滅亡を阻止し、国家元首より最高名誉と統治ポストを授与された功績を検知しました』

『付与カルマ:+500.00 pt』

『現在のカルマ総残高:5,200.00 pt』

『――魂ランク昇格判定――』

『大貴族 ➔ 【国家英雄域】へ強制昇格!』

『祝! 天上界VIPラウンジ入場資格(10,000pt)へ王手(リーチ)がかかりました!』


「ごせん……にひゃく……」


 俺の膝が、音を立てて崩れ落ちた。


 五千二百ポイント。

 転生初日は「0ポイント」だったはずの口座残高が、わずか一週間で五千二百。

 真面目な人間が百回輪廻転生を繰り返しても届かない、文字通りの「国家英雄」の領域へ到達してしまった。


 しかも、一万ポイントを超えれば「天上界VIPラウンジ送り」。

 死んだ瞬間に神界へ強制連行され、二度とログアウトできない特権階級の終身名誉神官として、永遠に神界のサーバー管理タスクを押し付けられる地獄の片道切符だ。


 その時、視界の隅でピコピコと不吉なアイコンが点滅した。

 開くまでもない。

 神界カスタマーセンターの現場チーフ、あのクソ女神アラヤからの直接通信だ。


『うふふ、あはははは! お客様ぁ〜! カルマの残高推移グラフ、拝見しましたよぉ〜☆』


 煽り散らかすような、憎たらしい高笑いが脳内に響く。


『いやー、さすが零様! 大聖堂を建てたと思ったら、今度は伝説の厄災竜を手懐けて国家英雄に就任ですか! もう解約なんて天地がひっくり返っても無理ですからねぇ! 大人しく一万ポイント貯めて、アタシの隣のデスクで永久残業プランにご加入くださーい☆ 第3章もよろしくでーす☆』


 プツン、と通信が切れた。


 そして――俺の中で、何かが決定的に切れた。


「……ふざけるな」


 立ち上がった俺の目には、ハイライトの一片もない、ドス黒い修羅の炎が宿っていた。


「ふざけるなよ……! 誰が永久残業なんて行くか! あんなブラック神界の養分になってたまるか!」


 善行を拒否しても徳が入る。

 説法を論破しても徳が入る。

 大聖堂から夜逃げしても徳が入る。

 無気力に座っていたらドラゴンが懐いて徳が入る。


 受動的に生きているだけでは、世界という名のクソゲー運営が、全力で俺の口座にポイントを流し込んでくるのだ。

 ならば――やるべきことは一つしかない。


「……手段は選ばん」


 俺は拳を強く握りしめ、西の空を睨みつけた。


「受動がダメなら、能動だ。善行がダメなら、悪業だ。これからは意図的にマナー違反を犯し、犯罪スレスレの迷惑行為を働き、力づくで口座からマイナスカルマを叩き出してやる……!」


 ゴミ捨て、無銭飲食、仲間への暴言。

 あらゆる悪行の限りを尽くし、合法的に口座残高をゼロへ削り落とす――。


 かくして、心優しき(?)解約希望者の、血で血を洗う「炎上・悪行大作戦」の幕が上がろうとしていた。


(第2章 完)


---


### 【本話のカルマ会計報告】

- **開始残高**:4,700.00 pt

- **本話の増減**:+500.00 pt(【最高名誉騎士認定】ハイランド公国最高名誉勲章および終身名誉騎士団長授与判定)

- **終了残高**:5,200.00 pt

- **現在の魂ランク**:国家英雄域(解脱可能基準値:0.00 pt まで、残り 5,200.00 pt の減算が必要)


読んでくださりありがとうございます!


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