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リアルオンラインを完全解約したい俺、女神の手違いで永久サ終阻止の英雄に認定される 〜カルマ残高ゼロで成仏したいのに、無欲すぎて勝手に徳が振り込まれるんだが〜【全50話完結確約】  作者: ランダムアクセス
第2章:押し寄せる富と名声のカルマテロ

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第16話:勝手に弟子入りと余計な獲物狩り

「だから、ついてくるなと言っているだろうが!」


「へへっ、そう照れるなって師匠! 袖振り合うも他生の縁、同じ神界のクソ規約に苦しむ被害者の会として、俺が師匠の身の回りの世話をぜーんぶ引き受けますから!」


 峠道を行く俺の真後ろを、大型犬のような笑顔を浮かべた金髪美男子――レオンがぴったりと追尾していた。

 背中には、例の据え置き残価八千万カルマの時限爆弾【アルファード・カリバー】を背負ったままだ。


 何度蹴り飛ばしても、石を投げても、この男はまったく堪えない。

 むしろ「師匠のツンデレは手厳しいっすね!」と爽やかに受け流してくる始末だ。

 ボルドといい、セシリアといい、この世界の住人は主人公に対する読解力が根本からバグっている。


「……はぁ。疲れるから喋りかけるな」


 俺はため息をつき、極力筋肉を使わないよう、すり足で省エネ歩行を続けた。


「俺は腹が減っているんだ。昨夜から何も口にしていない。無駄なカロリーを消費すれば基礎代謝が上がり、飢餓ダメージで余計な生命維持コストが発生する。頼むから静かに歩かせてくれ」


「師匠……!」


 ふいに、背後でレオンが立ち止まり、感極まったように声を震わせた。

 嫌な予感がして振り返ると、案の定、レオンが碧眼の瞳を潤ませて俺を見つめていた。


「師匠は……ご自身が極限の空腹にあるというのに、八千万カルマを抱えた俺のようなクズを突き放すことなく、黙って前を歩いて道を示してくださっていたのですね……! 自らを飢餓に追い込んでまで、未熟な弟子を導こうとされるその精神……俺、一生ついていきます!」


「主語と述語の因果関係が崩壊してるぞ。単に飯がないだけだ」


「待っててください師匠! この不肖の弟子レオン、師匠に飢えなど絶対に味わわせませんから!」


「おい、待て。何を――」


 制止の言葉を口にする間もなかった。

 レオンは身軽に崖を飛び降り、猛スピードで街道脇の深い森林地帯へと突入していった。


「ちょっ……おい! バカ! 戻ってこい!!」


 俺の叫び声も虚しく、森の奥から凄まじい地響きと爆発音が轟き始めた。


 ズドォォォォォンッ!!

 ギャオオオオオオオオオンッ!!


 大地が揺れ、森の木々が薙ぎ倒され、凶暴な獣の断末魔が山霊を震わせる。

 何が起きているのかを理解した瞬間、俺の全身から血の気が引いた。


(ま、まさか……あいつ、モンスターを狩っているのか……!?)


 恐怖に震える間もなく、わずか三分後。

 ザッ! と軽やかな着地音と共に、レオンが満面の笑顔で森から戻ってきた。

 その両手には、巨大な肉の塊と、禍々しい紫色の魔導鉱石、そして巨大な角や牙が山盛りに抱えられていた。


「へへっ! 師匠、お待たせしました! 街道の近くをうろついてた危険度Aランクの魔獣【三首のキマイラ】と、危険度Sランクの【双頭ベヒモス】を、聖剣でサクッと両断してきましたぜ!」


「……は?」


「どうです、この霜降り肉! 炙って塩を振れば絶品っすよ! 角や魔石は公国のギルドに持ち込めば、金貨数百枚には化けます! これで師匠に腹いっぱい栄養をつけてもらえますぜ!」


 得意満面に胸を張り、血塗れの獲物を差し出してくるレオン。


 だが、俺の視界は真っ赤に染まっていた。

 怒りではない。

 システム的な「最悪の事態」を察知した絶望の赤だ。


「貴様ぁぁぁぁぁぁっ!!」


 俺は胸ぐらを掴まんばかりに叫んだ。


「何をしてくれたんだバカ野郎! この世界のマルチプレイ仕様を知らないのか!? 同じ空間で行動を共にしている状態でモンスターを討伐すると、同行者全員に【パーティー討伐貢献】として経験値とカルマが強制分配されるんだよおおおおおっ!!」


「えっ? 貢献……分配……?」


 レオンがぽかんと目を丸くした、その瞬間。


 ピロリロリロリロリロリロリロリーンッ!!


 鼓膜を破らんばかりの、大音量のファンファーレが脳内に爆裂した。


『――戦闘・功績管理機構通知――』

『討伐完了:三首キマイラ(危険度A)、双頭ベヒモス(危険度S)』

『同行判定:【相良零(レイ)】様がパーティーリーダー(引率者)として認識されました』

『凶悪魔獣の掃討により、街道の安全確保に甚大な貢献を果たした引率責任を称え、以下のカルマが付与されます』

『付与カルマ:+600.00 pt』

『現在のカルマ総残高:2,600.00 pt』


「ぎゃああああああああああああああああああっ!!」


 俺はその場に崩れ落ち、頭を抱えて絶叫した。


 六百ポイント。

 一瞬で六百ポイントの跳ね上がり。

 二千ポイントだった残高は、瞬く間に二千六百ポイントへと膨れ上がっていた。

 減らすどころか、わずか数分で国家英雄へのカウントダウンが進んでしまったのだ。


「余計な獲物を狩るなと言っただろうがあああああああっ!!」


 怒りのあまり我を忘れた俺は、足元に落ちていた枯れ木の枝を拾い上げ、レオンの頭をポカポカと滅多打ちにした。


「痛っ! 痛ててっ! 師匠、なんで怒ってるんすか!? 俺、師匠のために肉を獲ってきたのに!」


「肉なんかいらん! カルマを押し付けるな! 俺の有給消化計画を邪魔するなボケェェェッ!!」


「あ痛っ! ……へへっ、でも師匠、枝を持つ手つきが実にしなやかっすね! これが伝説の愛の鞭ってやつっすか! もっとビシバシ鍛えてください師匠ォォッ!」


「喜ぶな変態野郎!!」


 枝が折れるまで叩いても、レオンは嬉しそうにヘラヘラと笑っている。

 完全に手に負えないバカだ。


 だが――俺たちの騒ぎを断ち切るように、突如として空の色が一変した。


 ――ゴォォォォォォォォッ……!!


 青空を塗りつぶすように、頭上へ急速に暗雲が立ち込め始めた。

 ただの雨雲ではない。

 大気を焦がすような猛烈な熱気と、硫黄の臭気。

 雲の隙間から、ドス黒い紅蓮の炎が閃光のように走り抜ける。


「……ん?」


 レオンがポカポカ殴られながら、ふと空を見上げた。

 その顔から、一瞬でふざけた笑みが消え失せる。


「な……なんだ、あの熱気……? 雲が……燃えてる……?」


 ズズズズズズズズ……ッ!


 峠の山々が、まるで心臓のようにドクンと大きく脈打った。

 天を衝くドラグーン渓谷の彼方から、世界そのものを焼き尽くさんとする、太古の災厄の咆哮が響き渡ろうとしていた。


---


### 【本話のカルマ会計報告】

- **開始残高**:2,000.00 pt

- **本話の増減**:+600.00 pt(【魔獣討伐貢献ボーナス】パーティー引率判定によるキマイラ・ベヒモス討伐功績分配)

- **終了残高**:2,600.00 pt

- **現在の魂ランク**:大貴族・SSR来世アンロック域(解脱可能基準値:0.00 pt まで、残り 2,600.00 pt の減算が必要)


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