パーティ全滅!復讐完了!王朝粉砕!yeah!
王をぶっ殺したんだけど、そこにはかつての仲間がいた!
「アルゴ・ロンド、お前…」
「ようナハンド。元気してたか?まあすぐに元気じゃなくなるんだが」
「お前、何をしてるんだ!」
俺を追放したパーティのリーダー、ナハンド・アクスが叫んだ。ナハンドの奴、かなり動揺してるらしい。
「お前、お前、お前…!どうした兵士達、早く陛下を運べ!医者に!早く!すぐだ!」
こいつの慌てたところは何回か見てるが、今回のは何か様子がちがう。これまでのはモンスターに負けそうになったとかそんなんだけど、それとは別っぽい。
「あ、お前ら、王については運んでくれていいぜ。俺は良識があるから、けが人を運ぶくらいは見逃す。」
どうせ助からないだろうしね。
「お前、自分が何をしたかわかっているのか、お前!」
ナハンドのやつ、やっぱ滅茶苦茶焦ってるな。兵士が王を運んでいくのを見送りながら、俺は答える。
「ああ。王様を殺した。詩は解らないが、そのくらいは分かるぜ」
「大したことないように、何を言う!」
「大したことじゃないさ、敵の偉い人がいました、倒しました…お前も好きだろ?敵将討ち取ったり!ってやつ…」
「あのお方は王様なんだぞ!殺していいものじゃない!特にお前なんかが…!」
「でも敵のお偉いさんだぜ?仕留めりゃあ勝利は確実だ」
「違うだろう、お前達にとっても大事なはずだ!反乱を起こすにしても、王を殺してしまっては、正統性を得られず、他の有力者に攻撃の口実を与えることになる!」
「そんなもん知らねえよ。おれはただ復讐がしたいだけだ。あとは降りかかる火の粉を適当に払いつつ、気ままに愉快に過ごすだけ…」
「なんてやつ…」
ナハンドは剣を抜いた。ようやくやる気になったか。
「うおおおおおっ!」
「あぶねっ」
ナハンドはものすごい勢いで斬りかかってきて、同時に兵士たちも襲い掛かってくる。俺は攻撃を避けながら、ひとまず兵士を殺し続けて数を減らす。
「おいアルゴ、俺と戦え!逃げ回るな!」
「斬りたいのなら斬ってみろ、ほら、王の仇だぞ!」
逃げ回りつつも敵兵を片付けていき、やがて残りはナハンド一人だけになった。
「よし、これで一対一だ。邪魔が入らなくて済む」
「そうだな、邪魔は入らない…この手でお前を殺せるんだ」
ナハンドは、離れたところから魔法の光弾を飛ばして攻撃してくる。光弾は、左手から三発が連続して放たれ、こちらの動きを抑えていた。
「そんなのじゃ、いつまでたっても俺を殺せないぜ!避けているだけでいいんだ!」
「そうやって挑発して、接近戦に持ち込もうというわけだ。多くの戦士が犠牲になったやり口だ…」
ナハンドは、さっきとは打って変わって冷静で、右手には剣を持ちながら、左手から光弾を撃ち続けている。このままこっちが疲れるまでこうしているつもりだな。
「これでも食らえ!」
俺はその辺の椅子をナハンドに投げつけ、その陰に隠れて近づく。
「うわっ⁉」
椅子を貫通して、一発の光弾が飛んでくる。反射的に右に跳んで避けたが、顔のそばを光弾が掠めて、そのまま壁を貫いた。
「魔力弾は、強くしたり弱くしたりと撃ち分けることができる…お前は知っているはずだ…」
「そして、強い弾を撃つとすぐには再び撃てない!」
ナハンドの奴、油断ならねえ!自慢話で時間を稼いで、クールダウンを済ませようとしたんだ!だがそんなものは俺には通じない。すぐに殴り掛かる!
「ぐっ…」
剣で受け止められる。俺はさらに二発、三発とパンチを決める。
「武力だけは…」
「ああ?」
俺の攻撃を防ぎながら、ナハンドは何かを言う。
「武力だけは認めてやる…」
「ありがたいね!認めるついでに命もくれよ!」
「認めるからこそ!お前に負けるわけにはいかないッ!」
ナハンドは防御の合間に再び魔力弾を放ち始めた。俺も必死に避ける。
「お前のようなやつは!暴力だけで地位を得るようなやつは!生きていてはいけないのだ!」
「出世を潰されたのがそんなに恨めしいか?王に餌をもらいたかったのか?それは自分で手に入れるものだ!」
「そんなことだから!」
ナハンドは光弾を放つ。今度は小さな弾を一度にたくさん撃つタイプのやつだ。近距離だから、避けるのは難しくて、防御を強いられる。
「効くだろう、これは!」
「やるな…でも、俺の方が!」
攻撃の合間を縫ってパンチを打ち込むと、剣で受け止められた。しかし何度も攻撃されて耐えきれなくなったのか、そのとき剣は砕けた。
「畜生っ…」
「くらえっ!」
怯むナハンドに、俺はとどめのパンチを入れようと右腕を引く。だがナハンドは、跳び退きながら剣を捨て、右手をこちらに向けてきた。
「何を!?」
「浴びろ!」
ナハンドは、例の散弾を両手から放つ。咄嗟に防御した両腕に、光弾が豪雨のようにぶつかる。
「ぐおおおおっ!これはヤバい!打ち付けている!」
「ここで倒しきってやるぞ!アルゴ・ロンド!」
顔と胸は腕で防御できているが、それ以外には攻撃を浴び続けているし、腕の方も攻撃され過ぎてしびれてきた。ちらっと脚とか腹を見てみると、着ていた鎧はボロボロになっていて、ところどころ肌が見えている。俺の皮膚も完全無敵ってわけじゃないし、そのうちもたなくなるぞ。
「倒れろっ!死ねッ!いい加減に!」
「おっ…お断りだぁ…!」
俺は防御を崩さず、徐々に近づいていく。向こうが攻撃の手を緩めれば、その瞬間に飛び掛かる。攻撃を続けるなら、このまま近づく。
「ぬうう…」
ナハンドもたぶん俺の意図に気付いたが、かといって明確な解決策はないだろう。俺を攻撃して、倒しきってしまう以外には。
「倒れろっ…倒れろ…!」
「…」
一歩進む。一歩ぶん近づく。ナハンドも後ずさりするが、攻撃を維持しながら後退するならば、あまり素早くは動けない。そのうち俺が追いつくはずだ。
「…」
ナハンドはいよいよ罵る余裕もなくなったらしく、黙々と光弾を浴びせ続ける。俺はというと、やはり少しずつ近づいていく。
(もう少しだ…あと二…いや三歩…)
そう思っていると、攻撃の手が止んだ。ナハンドは構えるのをやめて、俺を見てただ立っていた。
「何のつもりだ?」
「降参だ。俺ではお前に勝てない。」
「降参したって、どのみち俺はお前を殺すぞ。」
「それでいい…」
俺はわけがわかんなくて、立ち尽くしていた。
「俺はお前のことを怪物だと思っていた。必ず殺さねばならない、社会に敵対する要素であると」
ナハンドは続ける。
「だが違った。お前はきっと、災害なんだ。生きていてほしくはないが、俺には殺すだけの力がない…」
ナハンドは、それきり黙ってしまった。殺せってことかな。
「じゃあな、ナハンド。いつかまた会おう」
「なるだけ早く会いたいものだな。」
俺は手刀でナハンドの首を落とす。ナハンドは切断面から血を吹き出しながら倒れた。
「下っ端兵士も高貴な王も、英雄ですらも、死んでしまえば皆同じ…」
死体がそこら中に転がる部屋を見てそう呟いた後、俺は城を後にした。




