アルゴ・ロンドの大暴れ
城内に突入し、王と元パーティのリーダーを探していた俺は、大広間で戦っていた。敵を投げ飛ばし、あるいは頭を砕いて床を血で染めていたが、兵士たちはいくつもある出入り口から次々とやってきて、一向に数が減らない。
「絶対に逃がすな!」
「何としてもここで止めるんだ!」
見たところ士気もかなり高い。ひょっとすると、兵士といっても貴族で、相応の教育を受けてきたのかもしれない。
「仕事熱心だな」
俺は振り下ろされた剣を避け、その剣を横から殴って破片を飛ばし、敵への攻撃とする。怯んだ集団へと突っ込み、殴り倒しつつ突破する。俺の頭脳のなせる業だ!
「アルゴはむこうに行ったぞ!」
「もっと応援を呼べー!」
俺は、壁にかけてあった装飾用の巨大な斧を取る。
「あいつ、何をする気だ!?」
「あんなものを使えるはずはない、お前らいくぞ!」
身長の四倍近くの長さがあるそれを持った俺に対し、無謀にも向かってくる兵士達。いいだろう、派手に、まとめてやってやる!
「ぐああああ」
「あれを振り回している…?」
横に斧を一振りすれば、群がる雑兵どもは薙ぎ払われ、屍と化す。俺にかかれば軽いものだぜ!
そんなふうにしばらく暴れたが、あるとき持ち手が折れてしまった!敵は多少減ったとはいえ、まだまだたくさんいる。このまま戦うのは骨が折れるな。
「それなら、こっちだ!」
俺は窓から外に出て、壁に手をめり込ませる。そのまま手や足をめり込ませることを繰り返して、上へ上へと登っていく。
「あいつ、壁を登ってるぞ!」
「上だ!先回りしろ!」
兵士たちは窓から顔を出して大騒ぎしている。
「早いとこ上に行かないと、叩き落されそうだ」
俺は大急ぎで、跳ぶように壁を登っていく。途中にあった窓から、やたらと立派な内装の部屋が見えたから侵入してみたら、そこは王女の部屋だった。
「お前、王女だろ?顔見たことあるぜ」
装飾付きの上等な服を着た女に話しかけるが、王女も侍女も、緊張と敵意が交じった目で俺を見つめるばかりで、返事をしない。
「俺はアルゴ・ロンドだ。王様の場所を教えてくれよ。そしたら楽に殺してやるぜ」
侍女たちは目に見えて動揺したが、王女は毅然として、こう応えた。
「混乱の種、反逆者ロンドよ。お前のような人間には、お父様の首はもちろん、未来さえも渡しはしない!」
シビれさせてくれる、いい女だ。標的でなければ妻にしたかったな。
「素晴らしいな、誇り高き王女殿下。敬意を表するね」
俺は王女に近寄ると、手刀で肩から反対側の脇腹にかけてを袈裟斬りにする。王女の上体は、断面から血を溢れさせながら床に落ちた。
「ひいいいっ」
悲鳴をあげた従者たちを適当に殴り殺し、俺は部屋を出る。そして大声をあげる。
「俺はアルゴ・ロンド!王を討ち取りに来た!王女はすでに殺したぜ!」
すると従者たちは動揺し、兵士たちは集まって特定の道をふさごうとする。俺は兵士が集まった道を見分けて、突撃する!こうすれば王の居場所がわかるってわけだ!
「どけどけーっ雑兵ども!」
目の前の敵兵を殴り倒しつつ、俺は進む。俺には鎧ごと人体をへこませる力があるから、精鋭相手とはいえ難しいことじゃない。そのまま廊下を進み、ひときわ大きな出入口から部屋に入る。
「陛下!奴です!」
「お逃げください!」
「むう…」
部屋には、やはり王がいて、護衛の兵士が周りにいたが、王は兵士を二人だけ連れて、俺が来たのとは別の通路から逃げ出した。近寄ってきた兵士の一人を捕まえて、持ち上げたあと床に叩きつけてみたら飛び散って、それを見たら兵士たちもさすがにビビってたんだけど、それでも果敢に向かってきた。仕事熱心だねえ。
「オラッ!」
俺のパワーとスピードなら、多少強いだけのやつなんて簡単に倒せる。腕だって簡単にちぎり取ってやれるんだ。それをあいつらに教えてやる!
「ギャアアアあア」
「畜生…!」
敵の腕とか首とかをちぎり取ると、傷口から大量の血を流して倒れるし、他の敵も足を止める。俺はその隙に接近し、殴る蹴るで一気に敵を倒す!
「化け物…」
「ありえない…」
兵士達が戦意を失ったので、俺は王の後を追って通路を走る。通路は装飾がない石造りの簡素なもので、途中に部屋もなくて一本道、本当に単なる「通路」って感じだ。たぶん脱出路だな。そのまま走っていると、通路の出口に部屋が見えて、そこには王の背中があった。
「陛下!」
聞き覚えのある声が王を呼んでいる。俺はそれを聞きながら部屋へと走り込み、兵士を突き飛ばして王に襲い掛かる。
「なっ…」
飛びついて、驚く王の首を捕らえてねじる。着地しつつ手を離すと、王は床に倒れて、ビクビクと動いた。周りの従者たちは何が起きたのか分からないという風に固まっていたが、その中に見知った顔があった。
「ナハンド・アクス!」
「アルゴ…!」




