都にもぐりこもう
挙兵の日の明け方、俺はある野原で、また地図を見ていた。地図の周りには、俺、タークサル、パルカラ、ラッセル、そしてその他の騎士たちがいた。
「わたくしの軍は南から都を攻めます。左右を騎士達が守りつつ進軍し、迎撃の軍が来たら、パルカラ率いる騎兵が撹乱する。ラッセルが中心となり輸送・商人の案内を行い、補給を助ける。主力はこのようになります」
「俺は少し早く忍び込んでおいて、戦いが始まったら暴れだすんだったな」
「そうです。敵兵を内側から殺し、都の防御を混乱させる。その過程として、ギルド『征制屍地』の壊滅、リーダーたるナハンド・アクスの殺害、王宮への襲撃を行う」
「要するに、俺の敵になったヤツを殺しまくればいいんだな」
「…まあ、そんなところです」
「ロンド、お前けっこう馬鹿だな?」
「お前だって大概だろ。厳しい闘いになるのは決まっているのに、昨日の夜から楽しそうじゃねえか」
パルカラのやつは、ずっとソワソワしてるんだ。パルカラは、ハッと、驚いたような顔をして、それから笑った。
「そうだな。わたしはもともと、とんでもない大馬鹿者だったんだ。それを今思い出した」
俺とパルカラが話し終えると、タークサルが俺に話しかけた。
「ロンドどのには事前の潜入・潜伏をしていただくことになります。前にも述べましたが、わたくしの派閥はすでに警戒され都から退避しており、都の中では支援ができません。またロンドどのの行動は奇襲という性格が強く、都の外であっても大規模な支援部隊は与えられません。かなりの負担をおかけすることになります」
「いや、十分だ。潜伏先は自分で探すよ。当てはある。」
「それはよかった。」
それから俺は、タークサルの部下数人を物資係として連れ、馬で都に向かった。都の近くに来ると、物資係と別れて、夜中に東側の防壁をよじ登り、潜伏にちょうどよさそうなところへと向かう。
「たしか、王宮の近くに王族が住んでいたはず…」
そう思って貴族の屋敷が並ぶ道を歩いていると、ひときわ大きく、また屋根形の装飾が塀になされている家を見つけた。
「入り込むにはよさそうだな…月明かりが多少あるのも、まあ悪くない」
俺は塀に手をかける。パキと音を立てて、指が食い込んでいく。
「そんなに夜目が利くってわけでもないからな、俺は」
そして、塀を上まで登ると、内側へと飛び降りる。
「王族はたぶんいい飯を食っている」
それから俺は、屋敷の床下や天井裏に忍び込み、隙を見て盗み食いを行いつつ、数日間潜伏した。
その後、都のあちこちが大騒ぎという状態になった。通りを大勢の人々が行き交い、荷物をたくさん積んだ馬車を一日に何十台も見かけた。俺は何事かと気になって、あるときその辺の人に聞いてみた。
「なんの騒ぎだ?これは」
「知らないのか?反乱軍が都近くまで来てるんだ!」




