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前世の記憶?厨二ノート?無駄に派手な異世界冒険譚!  作者:
【第8章】新たな拠点、街づくりの始まり

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【72.5話】幕間/久しぶりの再会

湯気が、ゆっくりと天井へ昇っていく。


「……狭くねぇか?」


「狭いって言うほどでもないでしょ」


同じ湯船に肩まで浸かりながら、セラは少しだけ身体をずらした。

向かいにいるルシアは、相変わらずの余裕顔で湯をかき混ぜている。


――ほんと、鬱陶しい。


昔からそうだ。

距離が近い。態度がでかい。気配が強い。


「久しぶりだな、セラ」

「……そうですね」


素っ気なく返しながらも、セラは湯の温かさを意識してしまう。

この感覚も、声も、懐かしい。


「元気そうで何よりだ」

「姉さんも……相変わらずですね」


言葉とは裏腹に、胸の奥が少しだけ軽くなる。

会いたかった、なんて口が裂けても言わないけれど。


ルシアはふっと笑った。


「で? あの坊主の話は?」

「……トウマ様の、ですか?」


唐突な名前に、セラは一瞬だけ眉をひそめる。


「そう。最近ずっと一緒なんだろ?」

「仕事です」


きっぱり言うと、ルシアは肩を揺らして笑った。


「はいはい」

「本当に、そういうのでは――」


「分かってるって」

ルシアは湯船の縁に腕をかけ、天井を見上げる。

「真面目だな、お前は」


セラは小さくため息をついた。


「……でも、すごい人です」

「ほう?」


「考え方も、決断も……年齢を考えると、信じられないくらい」


少しだけ声が柔らぐ。

自覚して、セラは内心で舌打ちした。


それを聞いて、ルシアはなぜか満足そうに頷いた。


「だろ?」

「……?」


「いや、なんでもない」


その返答に、セラは違和感を覚える。


「姉さん、トウマのこと……」

「会ったのは、この前が初めてだ」


即答だった。


「でも、前から知ってるみたいな言い方ですね」

「勘だよ、勘」


あまりにも軽い言い方に、セラはそれ以上踏み込めなかった。


(……変なの)


確かにおかしい。

けれど。


湯の中で、ルシアの膝が軽く当たる。


「セラ」

「……なんですか」


「こうやって一緒に風呂入るの、いつ以来だ?」


その一言で、違和感は霧のように溶けた。


「……覚えてません」

「だよな」


ルシアは満足そうに目を閉じる。


久しぶり。

それだけで、十分だった。


鬱陶しくて、面倒で、距離感が近すぎる姉。

それでも――また会えたことが、少しだけ、うれしい。


セラはそう思いながら、何も言わずに湯に身を沈めた。

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