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前世の記憶?厨二ノート?無駄に派手な異世界冒険譚!  作者:
【第7章】広がる仕事の幅

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【67話】缶詰を作る

工場の奥、普段は石鹸や入浴剤の調合に使われている区画が、今日は少し様子を変えていた。


大きな調理台。

火力調整用の魔道具。

鍋、フライパン、包丁、刻まれた食材。


「……元から設備はあったが、本当に工場で料理する日が来るとはな」


ドランが腕を組み、やや呆れた声を出す。


「一応、衛生面は問題ないはずだ。食品向けの区画として一度洗浄も済ませてある」


俺はそう言いながら、エプロンの紐を結び直した。


「まずは中身を決めないといけない。基本は――」


「肉系と豆系ね」


リュカが即答する。


「冒険者向けなら、腹持ちと栄養。あと、冷めても美味しいこと」


「正解」


俺はうなずく。


最初の試作は、肉の煮込みに決まった。

大きめに切った肉を鍋に入れ、香味野菜と一緒に煮込む。


「味付けは濃いめにした方がいいな。疲れていると味が濃い方が良い」


「塩と、これ……少しだけ香辛料を」


リュカが慎重に粉を振り入れる。


鍋の中から、ぐつぐつと音が立ち、

脂と香辛料の匂いが工場に広がった。


「……悪くない匂いだ」


次は豆と野菜の煮込み。

こちらは水分を多めにして、スープ寄りにする。


「肉ばかりだと飽きるし、お金がない冒険者でも手を出せる価格帯にしたい」


「保存期間も長くできる」


二つの鍋が並び、火にかけられる。

俺は合間に、空の金属容器――試作した“缶”を確認した。


「問題は、ここからだ」


「密閉、ね」


リュカが真剣な顔になる。


「中身を熱いまま詰めて、すぐ密閉。その後、魔法で軽く殺菌処理」


「闇魔法は使わない方がいいな。食い物だ」


ドランのその一言に、全員が同意する。


煮込みが完成し、試作缶に詰めていく。

蓋を閉める瞬間、リュカの手が少し緊張で固くなった。


「……これ、失敗したらどうなるかな?」


「最悪、膨張して爆発する」


「言い方!」


リュカが即ツッコミを入れる。


それでも作業は進み、いくつかの缶詰試作品が並んだ。


「今日はここまでだな」


俺は深く息を吐いた。


「一晩置いて、問題がなければ試食。問題があれば――」


「ゴミ箱行きだ」


ドランが淡々と言う。


リュカは缶を見つめながら、少しだけ笑った。


「でも……ちょっと楽しみ」


「だな」


俺も同意する。


――便利すぎる技術じゃない。でも、この世界の人間にとって、確実に“助けになる”もの。


そう確信しながら、静かに工場を後にした。

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