【49話】二人の旅路と新たな商機
グレイフォルドの拠点。
作業台には大量の拭き布と石鹸が並び、午後の日差しが室内を柔らかく照らしていた。
「だいぶ安定して大量生産できるようになったな」
トウマは布を手に取り、重さや感触を確かめる。
「品質も問題なし。これなら自信をもって売りに出せる。あとは富裕層向けの販路の開拓ね」
リュカは微かに笑みを浮かべる。
セラは作業をしながら言った。
「レインツが良いと思います。あそこなら商工業も盛んで、富裕層相手の販路も広げやすい。製造はドランに任せておけば回せますし」
俺はセラの方を見て言った。
「よし、じゃあ俺とセラでレインツに行く。富裕層向け販路の開拓だ」
セラは淡々と答えた。
「はい。お任せください。」
ドランは笑いながら話す。
「お気をつけて。戻ってきたら、いい話を聞かせてくれ」
リュカも笑顔で手を振る。
「こっちは任せて。無事に戻ってきて」
グレイフォルドの城壁を抜け、二人は街道を進んでいた。石畳の道の両脇には樹木が並び、冬の日差しが枝の間から柔らかく差し込む。
「久しぶりにこうして二人での旅ですね、トウマ様」
セラは落ち着いた声で微笑みながら、ゆっくりと歩く。足取りは軽いが、はしゃぐことなく、上品な所作で自然に体を動かす。
「ああ、久しぶりだな」
俺も静かに頷く。
久しぶりの二人行動に、心の中で小さな高揚を感じつつも、表情は穏やかだ。
「レインツでどんな人たちに会えるのか、どんな商談になるのか……少し緊張します」
セラは空を見上げ、落ち着いた口調で言った。だが目には確かな期待が宿っている。
「まあ、変に構えすぎる必要はないさ」
トウマは肩の力を抜きながら答える。セラの落ち着いた佇まいに、逆に安心感を覚えた。
道中、行き交う旅人や馬車に軽く挨拶を交わしながら、二人は穏やかに歩を進める。
セラは周囲の視線に動揺することなく、自然に微笑みを返す。
「こうして静かに歩けるのも、久しぶりですわね」
「そうだな……まあ、久しぶりの二人旅だし、落ち着いて楽しもう」
遠くにレインツの街並みが見えてくる。
高い塔や商館、活気に満ちた通りが街の大きさと繁栄を物語っている。
「もうすぐですね、トウマ様」
セラは軽く息を吸い、視線を街に向ける。
その表情は落ち着いているが、内心の期待が柔らかく滲んでいた。
二人は静かに、しかし確かな足取りで街道を進む。
レインツでの新たな挑戦が、二人の前にゆっくりと姿を現そうとしていた。




