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前世の記憶?厨二ノート?無駄に派手な異世界冒険譚!  作者:
【第3章】力に手を伸ばす

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【34.5話】幕間/小さな休息

ダンジョンから街に戻った俺たちは、久しぶりにのんびりとした時間を過ごしていた。

街の空気は穏やかで、騒がしい冒険者たちの姿もいつも通りだ。


宝箱から取り出したのは、もちろん例の腕輪だけではなかった。

金で作られた小さなアクセサリーもいくつか入っていたのだ。


「……これは売れば結構な値になりそうだな」

俺は目を輝かせながら、アクセサリーを手に取る。

リュカは横目で俺を見つつも、特に口出しはしない。


「これらは売却してきますね」

セラがそう言って、自然な流れでアクセサリーをまとめる。


「任せて大丈夫なのか?」

俺が聞くと、セラは一瞬だけ振り返って微笑んだ。


「交渉も仕事のうちです。ご安心を」


そう言って、彼女は人混みの中へ消えていった。


俺とリュカは先に宿へ戻ることにした。

街の通りは昼下がりの穏やかな空気に包まれている。


「……今日は、あっさりだったわね」

リュカがぽつりと呟く。


「ああ。成長してるってこと、だよな」

自分で言って、少しだけ照れくさくなる。


宿に戻り、部屋に入ると、俺は腕輪を外して机の上に置いた。

静かな部屋の中で、それは異様な存在感を放っている。


「それ、危険なんでしょう?」

リュカがちらりと視線を向ける。


「まあな。でも……強くなるには必要だと思う」


リュカは何も言わず、窓の外へ視線を戻した。

否定もしない。その沈黙が、妙に心地いい。


しばらくして、ドアがノックされる。

戻ってきたセラは、普段と変わらない表情で告げた。


「想定以上の値がつきました。しばらく資金には困りません」


「……さすがだな」

俺がそう言うと、セラは小さく胸を張った。


「では、今日と明日は休息日といたしましょう。夕食も用意します」


「……たまには、こういう時間も悪くないな」

俺は深く息をつき、腕輪を手首から外して机の上に置く。

魔力を注いでいない今は、ただの金属の輪に過ぎない。


リュカは窓際で書物を読みながらも、少しだけ目元の力が抜けている。

クールな彼女の表情の端に、ほんのわずかに楽しそうな光が見える。


セラは台所で手際よく料理を作り、温かい香りが部屋中に広がる。

戦闘の力強さとは違う、丁寧さと優しさが混ざった手際だ。


三人で食卓を囲む。

セラの作った料理は、温かく、安心できる味。

リュカは表情をあまり変えず箸を進めるが、口元にわずかに笑みが浮かぶ。

俺は素直に「うまい」とつぶやき、セラは二人の様子を静かに見守る。


夕日の光が部屋に差し込み、街の灯が少しずつ点る。

俺たちは静かに、でも確かに、この小さな日常と休息の時間を噛みしめていた。


翌日。

「今日は街で買い物をしてきます」

朝食のあと、セラがそう告げた。


「……私も行くわ」

リュカが即座に続く。


俺は思わず顔を上げた。

この二人が連れ立って出かけるのは、そう多くない。


「トウマ様は?」

セラが振り返る。


「俺は宿で留守番してるよ。装備の手入れもしたいし」


リュカは一瞬だけこちらを見たが、特に何も言わず立ち上がった。


二人が出ていったあと、部屋は静かになった。

机の上には、あの腕輪。

触れなければ、ただの金属の輪だ。


(……少しずつ、変わってきてるな)


そう思いながら、俺は剣の手入れを始めた。


昼過ぎ、二人は紙袋をいくつも抱えて戻ってきた。


「思ったより時間がかかりました」

セラはいつも通りだが、袋の量が多い。


「……必要なものを揃えただけよ」

リュカは淡々と言うが、ほんの少しだけ頬が赤い気がした。


「何を買ったんだ?」

俺が聞くと、セラが袋の中身を取り出す。


保存食、調味料、包帯、簡単な調理器具。

そして――少しだけ、街歩き用の服。


「……機能性重視、ですよね」

俺が言うと、リュカはそっぽを向いた。


「無駄じゃないわ。長く旅するなら」


セラはそれを見て、静かに微笑んでいる。


買い物の後は、簡単な昼食。

セラが手際よく準備し、俺とリュカはそれを待つ。


「……こういう日も、嫌いじゃないわ」

リュカがぽつりと呟いた。


聞き逃しそうなほど小さな声。

でも、それだけで十分だった。


窓から差し込む光は柔らかく、街の喧騒も遠い。

冒険者としての緊張を、ほんの少しだけ解いた時間。


(この日常が、続けばいい)


そんなことを思いながら、俺は二人の背中を眺めていた。

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