表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
前世の記憶?厨二ノート?無駄に派手な異世界冒険譚!  作者:
【第2章】街へ――冒険者への一歩

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
28/85

【24.5話】幕間/強さを求めて

夜のギルド訓練場は、昼とは別の顔をしていた。

人の気配が薄れ、石床に残るのは魔力の残滓と、かすかな汗の匂いだけ。


リュカは一人、そこに立っていた。


(……私が、弱かったから)


何度も、同じ考えが頭を巡る。

昇格依頼の最後。

自分が負傷し、立てなくなった瞬間――トウマの表情が変わったのを、彼女は見逃していない。


あれは、覚悟の顔だった。

助けるために、何かを差し出すと決めた人の顔。


(私が倒れてなければ……)


彼は、あそこまで無茶をしなかった。

そう思うと、胸の奥がきしむ。


魔力を練る。

光が指先に集まるが、どこか不安定だ。


「……はぁ」


ため息を吐いた、そのとき。


「相変わらず、真面目すぎるねえ」


背後から、軽い声がした。

振り向くと、壁にもたれかかるようにエリオ・ラヴィアンが立っていた。

いつもの軽薄な笑み。だが、目だけは妙に鋭い。


「こんな時間に一人。しかもその顔。――何かあった?」


リュカは一瞬、言葉に詰まった。だが、誤魔化すのをやめた。


「……はい」


「ふうん」


エリオはそれ以上、問い詰めない。

代わりに、リュカの魔力の流れを一瞥し、小さく息を吐いた。


「無理してるね。自分を削る方向の集中だ」


図星だった。

リュカは拳を握る。

「私が、弱かったからです」

声は静かだったが、芯が震えていた。


「私が倒れたせいで、トウマが……あんなことに……」


思い出すだけで、喉が詰まる。意識を失った彼の姿。

何も知らないまま、彼女は守られる側に立っていた。


「だから、もっと強くなりたいんです」


顔を上げ、エリオを見る。


「今までより、ずっと厳しい訓練を。――お願いします」


エリオは、少しだけ目を細めた。

「理由は?」


即答だった。

「守られるためじゃなく、一緒に立つためです」


数秒の沈黙。


やがて、エリオは笑いながら口を開いた。

「……やれやれ。君、本当に似てるよ」


「誰に、ですか?」


「昔の俺の“相棒”に」


それ以上は語らず、彼は背を向ける。


「いいよ。引き受ける」


軽い調子のまま、しかし続く言葉は重かった。


「ただし、途中でやめるって選択肢はない。甘やかさない」


リュカは、一瞬も迷わなかった。

「構いません」


「じゃあ決まりだ」

エリオは振り返り、いつもの笑みを浮かべる。


「まずは――自分が壊れる限界を、正確に知るところからだ」


その言葉に、リュカは背筋を正した。


(強くなる)


誰かを犠牲にする強さじゃない。

誰かに無茶をさせない強さ。


その日、彼女は決意を強く固めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ