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前世の記憶?厨二ノート?無駄に派手な異世界冒険譚!  作者:
【第2章】街へ――冒険者への一歩

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【22話】重なった一歩

その日の依頼は、街道脇の森で確認された魔物の調査だった。

討伐が目的ではない。

数を確認し、危険なら撤退――それだけの、簡単な仕事。


……のはずだった。


森の奥で、枝を踏む音がした瞬間、俺は足を止めた。


(来る)


視界の端で、小型モンスターが動く。

数は――3。


前なら、ここでリュカが前に出ていた。

俺は、後ろで状況を見るだけ。


でも、今日は違う。


「リュカ」


小さく呼ぶと、彼女は一瞬だけ俺を見る。

言葉は交わさない。


それでも、分かった。


――任せる、って目だ。


一体目が飛び出してくる。

俺は剣を構え、前に出た。


(怖い)


正直、足は少し震えている。

ノートが脳裏をよぎる。


(使えば、楽だ)


でも――使わない。


ヴァルドの声が、頭の中で響く。


『一歩前に出ろ。倒す気じゃなくていい。“立て”』


剣を振る。

浅い。

けれど、モンスターの動きが止まる。


「――今!」


その瞬間、背後から光が走った。


リュカの魔法が、俺の横をすり抜けて命中する。

一体目が倒れる。


(……いける)


2体目、三3体目が同時に動く。


俺は下がらない。

防ぐ。受ける。逸らす。


完全じゃない。

でも、時間は作れる。


「トウマ、左!」


声が飛ぶ。

考える前に、体が動いた。


左へ踏み込み、剣を振る。

そこに、光が重なる。


2つの動きが、初めて“繋がった”。


最後の1体が逃げようとした瞬間、

俺は叫んだ。


「リュカ、奥!」


詠唱はない。

でも、光が森を切り裂いた。


――静寂。


しばらく、2人とも動けなかった。


倒した。

ちゃんと、2人で。


リュカが、ゆっくり息を吐く。


「……今の」


「うん」


目が合う。


笑うには、まだ早い。

でも――確かに、そこに何かあった。


(俺、前に立ってた)


ノートは、使ってない。

それでも、戦えた。


リュカは少し照れたように視線を逸らす。


(……トウマ、ちゃんと前にいた)


守られてたわけじゃない。

支え合ってた。


森を抜け、帰り道を歩く。


沈黙はある。

でも、前とは違う。


気まずさじゃない。

言葉が、まだ追いついてないだけだ。


街が見えてきたところで、リュカが小さく言った。


「……次も、同じ感じでいこ」


俺は、少し遅れて頷いた。


「ああ」


胸の奥で、何かが確かに動いた。


(……やっと、並べた気がする)


それはまだ、ほんの一瞬。

でも――確かな一歩だった。

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