【18話】冒険者登録、新たな一歩
街の門をくぐると、目に飛び込んでくる光景は、前回の村の調査のときとはまるで違った。
あの時は依頼のことで頭がいっぱいで、周囲をゆっくり見る余裕などなかった。
今は、ようやく目の前に広がる街の規模や活気を実感できる。
石畳の道を進むと、両脇には商店や宿屋、鍛冶屋が立ち並ぶ。人々の声、足音、荷車のきしむ音――前回は意識できなかったすべてが、今は鮮明に耳と目に届く。
「……やっぱり、街は大きいね」
俺は小さく呟く。目に映るものすべてが新鮮で、少しだけ緊張もする。
リュカも横で、目を丸くして見渡していた。
「人が多い……前は見ている余裕なかったけど、こんな感じだったんだ」
彼女の声には驚きと、わずかな期待が混じる。街のギルドは、昨日の村とは違い、活気に満ちていた。
俺たちは肩を並べてカウンターに向かう。
「あ、この前の子たちね」
受付の女性が微笑む。前に村の調査をお願いしたときと同じ人だ。
「はい。今日は登録に来ました」
リュカが軽く頷く。
「わかりました。では、まず冒険者ランクについて説明します」
彼女は淡々と紙を取り出し、読み上げる。
【冒険者ランク】
Fランク:初心者。簡単な護衛や軽い討伐など、基本的な依頼をこなせる。報酬は少なめ。
Eランク:経験者。少し危険な討伐や採取、複数人での任務も可能。
Dランク:中級者。単独での危険任務や高難度の依頼にも安定して対応できる。
Cランク:熟練者。精密な任務や高難度討伐を安定してこなせる。
Bランク:上級者。特別依頼やリーダー格の任務を担当。
Aランク:最上級者。ギルド内でも数少ない実力者で、特別任務のリーダーを任される。
Sランク:伝説級。依頼は特別に指定され、ギルド内でも一握りの存在。
「初めて登録する場合は、全員最低ランクのFからのスタートです」
「分かりました」
リュカは緊張した手つきで紙にサインを入れる。
俺も同じようにペンを握り、慎重に名前を書く。
この一瞬で、俺たちは村の子どもではなく、正式な冒険者になった。
「これで正式な冒険者です。最低ランクからのスタートですが、頑張ってくださいね」
受付の女性がにっこり笑う。
俺とリュカは胸を少し張りながら書類を受け取った。その瞬間、ギルドの入口から見慣れた二人の姿が目に入る。
「やあ、登録終わったか」
ヴァルドが腕を組み、にこりと笑う。
エリオも肩を軽く揺らしながら
「お、やっと冒険者デビューか」と声をかけてくる。
俺たちは少し照れながらも答えた。
「はい、今日からヴァルドさんたちと同じ冒険者です」
ヴァルドが目を細め、書類を見ながら言った。
「最低ランクからのスタートだが、焦ることはない。経験を積めばランクは自然に上がる」
「俺たちも色々教えてやるから、困ったら頼れよ」
エリオが笑いながら付け加える。
「じゃあな。2人とも頑張れよ!」
ヴァルドたちと別れ2人で宿へ行く途中、リュカが小声で言った。
「……やっと、ここまで来たんだね」
俺も同じ方向を見つめながら答える。
「うん……これからが本番だ」
二人の胸には期待と緊張、そして少しの高揚感が混ざっていた。
村を出て、街に来るまでに抱えてきた不安や迷いは、ここで少しずつ解けていくようだった。




