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前世の記憶?厨二ノート?無駄に派手な異世界冒険譚!  作者:
【第1章】覚醒・旅立ちの時

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【15話】疑念の向こう側

扉をノックし、

「失礼します」

俺とリュカは中へ入る。


「……よかった」

 リュカが、ほっとしたように息を吐く。

「目、覚めたんですね」


ヴァルドは二人の姿を見て、わずかに目を細める。

「無事だったか」


「はい」

「お二人こそ……」


エリオがニヤリと笑った。


「心配して来てくれたって?」

「いやぁ、優しいじゃん」


俺は視線を伏せる。


「……あの」

「森のモンスターの件なんですけど」


ヴァルドとエリオが、同時に顔を上げる。


「倒せた、そうですね」

俺は続ける。

「村の人から聞きました」


「……誰が?」

エリオが即座に聞く。


俺は、少しだけ言葉を選ぶ。


「詳しくは分かりませんが……」

「ヴァルドさんとエリオさんの攻撃が、ほとんどだったって」


「ははっ」

エリオが乾いた笑いを漏らす。

「マジかよ……」


そして、ぼそりと。


「じゃあ、俺たちの攻撃」

「全く通ってなかったってわけじゃ、なかったのか」


だが、どこか納得していない。


ヴァルドは静かにつぶやく。

「……本当に、それだけか?」


「はい」

はっきり答えた。

「俺たちは、何もしてません」


リュカも頷く。

「本当に、運が良かっただけです」


短い沈黙。


やがてヴァルドは、視線を外した。

「……そうか」


それ以上、追及はしない。


「事情があるんだろう」

「無理に聞く気はない」


エリオは目を細め、俺たちを一瞬だけ見た。

「ま、冒険者ってそういうもんだしな」

「語らない札の一枚や二枚、誰でも持ってる」


そして、笑う。

「正体不明の強ぇやつがいる」

「怖ぇけど……正直、ちょっとワクワクもする」


ヴァルドも、低く同意する。

「恐怖と好奇心が、同時に湧く」

「これが冒険者の性だな」


二人の視線が、自然とトウマたちに向く。


その瞬間――

ヴァルドは、違和感を覚えた。


(……魔力の流れが、不自然だ)


微弱だが、確かにある。

しかも、制御されすぎている。


「……」


ヴァルドは、何も言わなかった。

代わりに、静かに告げる。


「もし、今後街に来る機会があれば……」

「ギルドに顔を出せ」


「冒険者登録だ」

「強制はしない」


エリオがにっと笑う。

「その時はさ」

「今度こそ、俺たちに“かっこいいとこ”見せてくれよ」

冗談めかした声の裏で、エリオは心の中だけでつぶやく。

(……面白い札、抱えてるな)


トウマは、曖昧に笑った。


「……その時が来たら」

その言葉で、話は終わった。

エリオも冗談を挟まない。



村の外れを抜け、家へ続く道に入る。

夕方の空は赤く、昼間の出来事が嘘みたいに穏やかだった。


しばらく、二人とも黙って歩いた。


先に口を開いたのは、リュカだった。

「……さっきのことだけど」


「うん」


「正体、完全に隠せてたと思う?」


俺は一瞬、言葉に詰まる。


「……いや。たぶん、薄々は……」


「よね」


リュカはため息をついた。


「ふたりとも気づいてた。確信まではいかなくても」

「“何かある”って顔してた」


「だよな……」


あの視線を思い出す。

探るようで、でも踏み込まない目。


「追及しなかったのは、大人だからよ」

「事情があるって分かってる」


それが余計に重い。


「……ノートもさ」


俺は声を落とす。


「最後に、変なこと書いてた」


「変なこと?」


「“使いすぎ注意”みたいな」


リュカの足が、ほんの一瞬止まった。


「……冗談じゃなさそうね」


「うん。いつもと雰囲気が違った……」


派手に出てきて、派手に終わる剣。

なのに、その裏で――

代償があるみたいな、嫌な予感。


「切り札ってことか」


リュカが呟く。

「頼っていい力じゃない」

「少なくとも、今は」


「……だな」


家が見えてくる。

いつもの屋根、いつもの灯り。


「今日さ」


リュカが前を向いたまま言う。


「褒められたし、勧誘もされた」

「でも――」


「でも?」


「胸張れない」


正直な言葉だった。


「隠したまま進むなら」

「ちゃんと考えないといけない」


俺は頷く。


「バレたら終わり、じゃない」

「バレ方が問題なんだ」


門をくぐる。


「……強くなろう」

リュカが言った。

「誤魔化さなくていいくらいに」


「うん」


家の扉を開けると、

いつもの生活音が迎えてくれた。


何も変わっていない。

でも、確実に――戻れない一線は越えている。


切り札は、まだ胸の奥にある。

使うべき時は、きっと――

もっと先だ。

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