EPISODE.72話〘虹色結晶が繋ぐ絆〙
俺たちは北西の森林の湖へ向かっていた。
……何故か、ギルド団四天王の【月乃轟璃雷】【光冥乃氷輪】【炎國乃黎闘翠】のメンバー全員も一緒だけどな(苦笑)
ウルティさん、アージェラさん、シーラレイさんは、俺がオードラレック戦用に準備していた虹色結晶のアクセサリー【ワープ】を今でも身に付けていた。
既に使用は不可能になっている。
それでも3人は、
「御守りとして肌身離さず持っていたい」
と言ってくれていた。
道中の敵は相変わらず瞬殺だった。
……なんか俺たち、NPCみたいな扱いになってないか?
―――――――――運営Side―――――――――
時は少し遡る――。
運営側では、予想通りの展開に驚いていた。
「主任!!黎極黒虹翼龍オードラレックのイベントが発生しました!!」
「来たか。予想より遅かったけど、ちゃんと発生したな。発生プレイヤーは誰だ?」
「今調べます。カタカタカタ……プレイヤーは【トレン】【リョウ】です」
「やっぱりか。あの2人なら発生させると思ってたよ」
すると別のスタッフが慌てた様子で駆け込んできた。
「主任!また武器について質問が来ています!!例のプレイヤーです!!」
「ん?また【トレン】からか。ちょっと待て……」
主任は高速でキーを打ち始めた。
「カタカタカタカタ……は!?なんだこれ……凄まじい武器を作ったな、トレンさん」
「そ、そんなに凄い武器なんですか?」
「見てみろ。完全に予想外だ」
画面を見たスタッフは固まった。
「…え?……ちょ、ええええぇぇぇぇぇ!?何ですかこの武器!?ヤバすぎるでしょ!!」
「修正しますか?」
「いや、そのままで良い。修正無しだ」
「えぇ!?これ、普通なら修正案件ですよ!?」
「でも、あの2人はちゃんと正規ルートでやってる。問題ない。責任は俺が持つ」
「……分かりました。返事しておきます」
主任は再び画面を見ながら呟いた。
「まさか、あれを使うとはな……流石だよ。【トレン】さん」
「主任、その“あれ”って何なんですか?トレンさんって【黎紅月鉱石】【黎煉炎鉱石】【黄翠鉱石】【銅鋼鉱石】【雷氷鉱石】を使って製作したんですよね?」
「それだけじゃない。【トレン】さんは更に【虹翼ルガーギスの魔石】と【黒炎翼ラウザーバードの魔石】も使ってる」
「え!?……えええぇぇぇぇぇぇ~~!?嘘でしょ!?魔石ってアイテム作成用素材ですよ!?武器に使うなんて普通あり得ません!!」
「俺達運営側も想定してなかったけどな。……この後のオードラレック戦が楽しみになってきたよ」
「ですね。私も気になります」
「よし、先に後始末を終わらせるぞ」
「了解です!!」
………………………その後…………………………
「主任!!黎極黒虹翼龍オードラレックが覚醒しました!!」
「まさか覚醒状態になった上に、NPC達との共闘戦になるとはな……本当に予想外ばかり起こしてくれるよ。【トレン】は」
「本当ですよ!!しかも杖が強化されて形状変化まで起こしてますし!!そんなのありなんですか!?」
「しかも本人、結晶ラビットが召喚キャラだって気付いてなかったみたいだしな。……あいつ、何か持ってるよな」
すると再び報告が飛び込んできた。
「主任!!覚醒オードラレック撃墜されました!!【リョウ】が例の武器で撃墜したそうです!!」
「カタカタカタカタ……お見事。かなり苦戦したみたいだが、これは公開ムービー編集行きだな」
「了解です!!編集作業に入ります!!」
主任はモニターを見ながら、小さく笑った。
「……俺が最初に作った最難易度イベントを、よく攻略したな。おめでとう。【トレン】【リョウ】。報酬を見たら驚くだろうけどな(笑)」
運営主任は嬉しそうに2人を祝福していた。
――そして1週間後。
編集された黎極黒虹翼龍オードラレック討伐ムービーによって、俺達が更に有名になる事を、この時の俺達はまだ知らない。
――――――――――――――――――――――
数時間後。
俺達は北西の森林の湖へ到着した。
「「「おおおおお〜〜!!」」」
結晶ラビット達が楽しそうに過ごしている光景に、全員が感動していた。
すると1体の結晶ラビットが俺達に気付き、こちらへ駆け寄って来る。
「ナーチ、約束通り来たよ。オードラレック戦の時はありがとうな」
「トレン・リョウに協力出来て良かったよ」
その瞬間――
「な、何!?声が聞こえるわ!?」
「わ、私も聞こえるよ!?」
「わ、私もよ!?」
3人は驚きながら周囲を見回していた。
「あ……そうだった。忘れてました。虹色結晶を持っている人は、結晶ラビット達の声が聞こえるんです。今回の戦いでも協力してくれていたんですよ。そして、この子が俺の名付けたナーチです」
「なるほど……だから【ワープ】も使えたんだね」
「はい。でも、以前話した通り虹色結晶アクセサリー【ワープ】はもう使えません。それでも本当に良いんですか?」
すると3人は迷いなく答えた。
「私はそれでも良いわ。御守りとして大切にするもの」
「私もよ。今回の戦いの絆を感じるから、大切にしたいわ」
「トレン。私達3人の気持ちは変わらないわ。御守りとして持つ事で、繋がっている気がするの」
3人の意思は変わらなかった。
するとナーチが仲間達を呼び始めた。
集まってきた結晶ラビット達は、ウルティさん達3人の前へ、それぞれ5体ずつ並ぶ。
3人が不思議そうにしていると――
突然、結晶ラビット達が光り輝き始めた。
「「「えぇっ!?」」」
やがて光が収まると、そこには虹色結晶が残されていた。
俺は3人へ説明する。
「3人の想いに共感したみたいです。結晶ラビット達が、それぞれのギルドメンバー全員に渡して欲しいそうです」
「「「え?……えええぇぇぇぇぇぇ〜〜!?」」」
3人は驚きの声を上げた。
すると騒ぎを聞きつけたギルドメンバー達が集まって来る。
ウルティさん達は事情を説明し、それぞれのギルドメンバーへ虹色結晶を渡していった。
そして案の定――
「「「えええええええええぇぇぇぇぇぇ〜〜!?」」」
辺りには、お約束の絶叫が響き渡っていた。
その後、メイーファギルド長はナーチへ改めてお礼を伝え、俺達は街の手前で【ワープ】を使って帰還した。
そのままテイマーギルドで手続きを済ませ、ホームへ戻ってログアウトしたのだった。
次回もお楽しみに
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