EPISODE.55話〘終焉の共闘! 繋がる絆――滅覇獄殺〙
ロックシーレガロゴーレム激闘編
後編です。
ロックシーレガロゴーレムが、本来の姿を現した。
大地と同化していた巨体が軋みを上げながら隆起し、圧倒的な威圧感を放つ。
奴は俺たちの戦いを見極めるため、分身を使って戦っていたのだ。
戦闘データを取り続けていたというわけか……まったく、本当に厄介な相手だよ。
だが――俺とリョウの本当の切り札は、まだ出していない。
従魔たちも同様だ。
俺たちは、その一撃にすべてを賭けていた。
[じゃあ作戦開始だ! 頼んだぞ、トレン、リョウ!]
[[[[【闘神】【剣霊】【魔導覚醒】【剣武神覚醒】【聖神覚醒】]]]]
[その前に、みんなの回復をするわよ。我が名はシーラレイ、汝に命ずる。聖なる光の加護を、護りし癒しの空間に捧げよ。ホーリーヒール!]
詠唱と同時に、柔らかな光が戦場一帯を包み込む。
温もりを帯びた聖光が傷を癒し、疲労を洗い流し――全員の体力が一瞬で完全回復した。
[助かるぜ!! まずは俺から行かせてもらうよ! 【闘神速】! 喰らいな! 奥義! 【轟昇烈破波動撃】!!]
格闘を極めたガッサが地を蹴り、爆発的な加速で突っ込む。
空気すら歪ませる拳が、防御の隙を正確に撃ち抜いた。
[グァァァァ!?]
ゴーレムの巨体が大きく仰け反る。
攻撃予測を外された衝撃が、確実に通っていた。
[次は俺だ! いくぜ! 奥義! 【烈風火弧月斬双剣】!!]
オーガロの二本の剣が風と炎を纏い、弧を描いて交差する。
斬撃は装甲を深く切り裂き、内部へと焼き裂くようなダメージを刻み込んだ。
[グァァァァァァァ!?]
[我が名はセーラアス。汝の力を捧げ、新たな加護に我が身を捧げて応えよ! 汝に共鳴し、全ての波動を我に命ずる!! 奥義! 【エクセルクロスショットガン】!!]
火・水・風・土――四属性の上級魔法が一点へと収束し、次の瞬間、爆発的に解き放たれる。
重なり合う魔力の奔流がゴーレムを呑み込み、装甲を砕きながら体力を一気に三割まで削り取った。
[なら、こいつを喰らいやがれ!! 奥義! 【轟煉氷烈風無双剣】!!]
炎と氷、相反する力を同時に纏った剣撃が、嵐のような連撃となって叩き込まれる。
内部で衝突するエネルギーが暴走し、ゴーレムの巨体に無数の亀裂が走った。
[グァァァァァァァ!!]
[確かにトレンが言っていた通りだな。前の分身より手応えがあるぜ。よく気づいたな本当に]
[まさか分身を使って、俺たちの戦い方を観察していたとはね]
[トレン君とリョウ君が切り札を使うまで、私たちが援護しないとね!]
[そうですよ。強力なバフをかけ続けていますから、あともう少しですよ!]
[トレン、リョウが準備完了まであと一分。さあ、いくぞ!]
[[[[了解]]]]
…………………………………………………………
〜〜〜〜〜〜五分前・作戦会議〜〜〜〜〜〜〜
[【炎國乃黎闘翠】が時間を稼いでくれている間に、俺たちの作戦を説明するぞ]
俺はリョウと従魔たちを呼び寄せた。
短時間で全てを伝える必要がある。
無駄は一切許されない。
[リョウは最後だ。トドメを頼む。俺が製作したラウザーレイドナックルで奥義を使って、思い切りやってくれ。バフを重ねてフルバーストだ]
[了解っす]
[リョウ、俺が虹結晶刃を放ったら合図だ。リョウがナイトディランに【インフェルウルフの王権】を指示して、その直後に【雷光壁】を頼む]
[ワォン!]
【雷光壁】は味方に鎧を纏わせ、敵の攻撃を無効化した上で、そのダメージを上乗せしてカウンターを与える究極の防御スキルだ。
[ヴィーシュとヴェイルガーは協力して奴を封じてくれ。【トルネードバード】と【ファイヤーハリケーン】の合わせ技……『ファイヤートルネードストリーム』と名付ける。一番重要な役割だ、頼むよ]
[クヴァァ!]
[クワァァ!]
[ペルナギとサクメ、タイミングを見て【水龍召喚】を頼む。タイミングはヴィーシュたちの後だ。無理はしないでくれよ]
[……コク(頷く)]
[最後はエアネス。切り札【風神覚醒】を頼む。エアネスに負担がかかりそうで不安なんだが……]
エアネスは優しく微笑む。
その表情には、不安よりも覚悟が宿っていた。
[大丈夫ですよ。信頼して任せてもらえるのが嬉しいんです。必ず殲滅しましょう、トレンさん]
俺がエアネスを援護しようとした、その時――不意に、世界の音が消えた。
[な……俺だけ動けるのか?]
静止した空間の中、杖が淡く光り、一匹のラビットが姿を現す。
[なっ……結晶ラビット? いや、俺が名前をつけた『ナーチ』か!?]
ナーチはくるりと回転し、目の前にメッセージを表示した。
『私はナーチ、トレンさんに名前を付けられた結晶ラビットです。トレンさん、カーバンクル召喚をしてください。必ずゴーレムを追い詰められます。戦闘が終わったら、湖で待っています』
[わかった。必ず行くよ。ありがとう、ナーチ。殲滅して勝つよ!]
ナーチが光となって消えると同時に、止まっていた時間が一気に動き出す。音、風、気配――すべてが戦場へと戻った。
[じゃあ最終作戦、ロックシーレガロゴーレムを殲滅するぞ!!]
[了解っす。討伐開始!]
〜〜〜〜〜そして現在〜〜〜〜〜
【炎國乃黎闘翠】がボスの体力を残り四割まで削り込んでいた。しかし、その巨体から放たれる圧は、むしろ増している。
[そろそろ来るぞ! 警戒! シーラレイ、防御魔法を!]
レガクロスの鋭い指示が飛ぶ。
[グググググァァァァァァァァァァァァァァ!!]
次の瞬間、ボスが異質なオーラを放ち――『怒りの大地』を叩きつけた。
地面が悲鳴を上げるように割れ、隆起した岩塊が弾け飛び、最強ギルドの面々へと襲いかかる。その隙を突くように放たれた一撃が――シーラレイを捉える。
[! きゃ!!]
[[[[シーラレイ!!]]]]
無防備な彼女へ、追撃が迫る。間に合わない――誰もがそう確信した、その瞬間。
[ナイトディラン、【インフェルウルフの王権】!!]
[ウゥゥゥゥゥワォォォォォォォォォォォォォォォン!!!]
咆哮が戦場を震わせ、ボスの動きが一瞬だけ停止する。
[続けてナイトディラン、【雷光壁】!!]
光り輝く鎧が味方全員を包み込む。
直後、ボスの一撃がシーラレイに命中――したはずの衝撃が、逆流する。
ゴーレムの巨体が爆発的に弾き飛ばされ、雷撃が叩き落とされた。
[シーラレイ、無事か!?]
[ええ……大丈夫よ。死んだと思ったのに、ボスの方が飛ばされていたわ]
[ギリギリ間に合って良かったっす。予想外の動きだったから急いで駆けつけたっすよ!]
[リョウ!! ってことは……]
[もちろん、トレンさんも一緒っすよ! ここから自分たちの作戦を開始します!]
[いくぞ、リョウ!]
[了解っす! ヴェイルガー!!]
[いくぞ、ヴィーシュ!!]
[[【ハリケーンファイヤー】【トルネードバード】!!]]
二つの技が重なり合い、暴風と灼熱が融合する。
[[【ファイヤートルネードストリーム】!!]]
炎の竜巻が轟音と共にボスを包囲し、逃げ場を完全に封じた。
[な……凄すぎるわこれ]
[やるな、二人とも!]
[リョウ、次だ!]
[了解っす!]
[ペルナギ!]
[サクメ!]
[[【水龍召喚】!!]]
二体の水龍が天から降臨し、咆哮と共に無数の水刃を解き放つ。
全てが命中し、体力を二割まで追い詰めた。
しかし――
[グァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!]
狂乱。
ゴーレムの体内から暴走する魔力が噴き出し、損壊した肉体を強引に再構築する。
体力が――全回復した。
[全回復か……ならばこちらもいくぞ! エアネス、出番だ! 【風神覚醒】!!]
エアネスの身体が光に包まれ、神々しい存在へと昇華した。
[エアネス、思い切りいけ!!]
[ハイ! 我が名はエアネス、汝に命ずる。大精霊シルフクイーンの命により授かりし、風の精霊秘奥義――【アルティメットサンダーエアーストリーム】!!]
暗転した上空から、雷を纏った風が音速で落ちる。狙いは一点――心臓部。
[グググググァァァァァァァァァァァァァ!!!?]
その一撃は、巨体の中心を貫き、体力を一気に五割削り取った。
力を使い果たしたエアネスの身体を俺はすぐに支えた。
[大丈夫か? 無理するなって言っただろう。でも、お疲れさん。あとは俺たちに任せな]
俺は従魔たちにエアネスを託し、前へと踏み出す。
[さて、俺の番だ。いくぜ、ロックシーレガロゴーレム! 【カーバンクル召喚】!!]
全MPを消費する究極召喚。
現れたナーチが、無数の結晶を宙へと放つ。
その結晶は眩い光を放ちながら仲間たちへと降り注ぎ――人知を超えた力を与えた。
[な……完全回復に、全ステータスの上昇!?]
聖女神であるシーラレイが、信じられないものを見たというように目を見開いて叫んだ。
[いくぜ、ナーチ!! 【クリスタルレーザーショット】!!]
砕け散った結晶が光線へと変わり、無数の軌跡を描いてボスを蹂躙する。
体力を二割まで削り切った瞬間――俺は振り返らず、リョウへ託す。
[シーラレイさん! セーラアスさん! お願いします!!]
[【プロテクシールドフェーズ】!]
[【アタックプロテクト】!]
重ね掛けされた最強のバフが、リョウへと収束する。
[トリは頼んだぞ。一撃で決めろよ、リョウ!]
[了解っす! トレンさんが製作した、この『ラウザーレイドナックル』で決めるっす! いくぜ、【闘神速】!!]
閃光。
その速度は視認すら不可能。
リョウが一瞬で懐へ潜り込む。
[射程圏内!!終わりだ! 奥義【滅覇獄殺】!!]
拳が突き出される。
[グァァァァァァァァァァ…………]
次の瞬間――無数の連撃が同時に叩き込まれたかのような衝撃が走る。
巨体が崩壊する。
音もなく、抵抗もなく、ただ完全に。ロックシーレガロゴーレムは――消滅した。
【初討伐、おめでとうございます。〔ロックシーレガロゴーレム〕撃破達成。報酬をお受け取りください】
【ミゴ高原峠ボス初討伐により、エリアの一部が解放されました】
[エリア解放か。それよりも……殲滅完了!! 【炎國乃黎闘翠】のメンバーと俺たちの、共闘での勝利だ!!]
[よっしゃあ! 勝利だ! みんな、お疲れさん!!]
張り詰めていた空気が一気に弾け、歓喜の声が戦場を満たした。
長く、激しく、命を削るような戦いだった。
だが――その全てを乗り越え、俺たちは勝った。
こうして俺たちは、誇りと戦果を胸に――パラエムの街へと帰還していった。
ロックシーレガロゴーレム激闘編
後編をお送り致しました。
本当は、前編・後編の2話分を予定していました。
ですが前編・中編・後編の3話分になってしまいました。
今回は1話分の投稿になります。リアル仕事がありますのでご了承下さい。
次回もお楽しみに
これまで読んて頂いてる皆様、評価して頂いてる皆様
本当にありがとうございます。(`・ω・´)ゞ
ブックマーク登録して頂けたら幸いです。




