EPISODE.50話〘ミゴ高原峠へ――その護衛に潜むもの〙
翌日、俺たちは会社でいつも通りに仕事をしていた。
すると、西石がスマホ画面を見て一瞬驚いた様子を見せたが、すぐに何事もなかったかのように仕事へ戻った。
昼休み。
西石から昼食に誘われ、俺たちはある店へ向かった。
「またいい店を見つけるな、西石は」
「そんなことないっすよ。東条先輩、とりあえず入りましょう」
店に入り、座敷へ案内される。
すると――見覚えのある二人の女性がそこに座っていた。
「七瀬社長に井野秘書……どうしてここに? 西石、どういうことだ?」
俺は事情を問い詰めるように西石を見る。
「実は、七瀬社長から連絡があって……従魔のことで相談したいらしいんす。それで東条部長も一緒にってことで……すみません」
なるほど。
さっき驚いていたのはこの連絡だったわけか。
「まったく……西石も人のこと言えないな。それで、相談とは何でしょうか? 七瀬社長、井野秘書」
「急にお呼びして申し訳ありません。どうしても東条部長にご相談したくて……井野、説明して」
「かしこまりました。実は――従魔の卵と精霊の指輪についてです」
(……どういうことだ?)
「従魔の卵と精霊の指輪が、どうかしましたか?」
「私たち、Lv30になり二次職へ転生可能になりました。それでサブ職業にテイマーを選択し、精霊の指輪を使って精霊と契約したのですが……そのスキルがかなり特殊でして」
「それで、ログインのタイミングを合わせて頂けないかと思い、ご相談しました」
なるほどな。
「分かりました。テイマーギルドの用事が終わった後なら大丈夫ですよ」
「ありがとうございます。それではログイン前にご連絡ください」
井野秘書から名刺を受け取り、その後は普通に昼食を済ませて別れた。
午後になると社員たちは次々と仕事を終わらせ、退社していく。
俺も専務に報告を済ませ、退社した。
帰宅後、夕食と入浴を済ませてログインする。
すると、リョウもすでにログインしていた。
「ちょうどいい。リョウの武器を作るために、素材を取りに行くぞ」
「了解っす。グラディア山岳っすか?」
「いや、パラエムの街から東へ30km、ミゴ高原峠の洞窟だ。往復でかなり時間がかかる。その前に冒険者ギルド長に会ってくる」
「了解っす」
俺は冒険者ギルドへ向かった。
受付嬢にギルド長――ジャックレンへの面会を申し出る。
数分後、奥へと案内された。
「失礼します。トレンさんをお連れしました」
「入れ」
「失礼します」
「トレンよ、私に用とは何だ?」
「護衛の依頼をお願いしたくて来ました。まだこの街に来たばかりで、信頼できる護衛が分からないので」
「なるほど。場所はどこだ?」
「ミゴ高原峠です。鉱石の採掘に向かいます」
「東のミゴ高原峠か……分かった。こちらで手配しよう。1時間後、ギルド前でいいか?」
「問題ありません。よろしくお願いします」
俺は一礼して部屋を後にした。
「これをギルド団に渡してくれ」
「かしこまりました」
秘書は書類を受け取り、静かに退出する。
――この時、俺たちはまだ知らなかった。
この依頼が、後に“衝撃の事実”へと繋がることを。




