EPISODE.42話〘その手紙の意味を、まだ知らない〙
今回は2話分になります。
まずイベント終盤の前編です。
協力依頼クエストをクリアした俺たちは、ロウハさんの畑にいた。
すると、システムのアナウンスが流れた。
【第1グループの皆様、協力依頼クエスト達成おめでとうございます。最初のグループクリア達成しましたので、報酬:【従魔の卵】を配付しました。スキル未習得のプレイヤーには【テイム】【使役】を付与、既に習得済みのプレイヤーには、20pのボーナスポイントを付与します】
[なるほど、俺たちにとってはボーナスポイントの方が嬉しいな。さて、いつも通り作業をするか]
俺たちはいつものように街へ行き、NPCたちに声をかけられながら手伝いをこなしていった。
すると、前方から俺たちに手を振っているプレイヤーがいた。
誰かと思えば、なんとマイさんとナナさんだった。
俺たちは驚きつつ、二人に駆け寄る。
[やっと逢えたわね。トレンさん、リョウさん。意外と他のプレイヤーと全く遭遇しないんだよ]
[実は俺たちも同じなんだ。多分フィールドが広すぎるんだろうな。ところで二人は今、依頼クエストの途中か?]
質問してみると、彼女たちはまだ受けていないようだった。話によると、全体の進捗状況は79%だそうだ。
(……ということは、あの協力依頼クエストだけで35%も進んだのか?)
俺たちはその数字に驚いた。
彼女たちもクエストを探しているところで、偶然俺たちを見つけたのだという。
[なるほどね。俺たちも同じだ。丁度いい依頼を探していたところだよ]
俺は、この二人との偶然の再会に、どこか不自然な感覚を覚えた。
その時だった。
一人の御老人がふらふらしながら、突然その場に倒れ込んだ。俺たちは即座に駆け寄った。
[大丈夫ですか? しっかりしてください!]
[済まないね、若いの……。孫にこのペンダントを渡しに行かなければならない。急がねばならんのじゃ……]
すると、俺たち4人の前にシステム画面が開いた。
【複数依頼クエスト:血脈の形見】
・御老人を自宅まで連れて帰る
・孫にペンダントを渡す
[制限時間:20:00]
まさかの複数依頼クエストが発生してしまった。プレイヤーの人数に合わせて内容が変動した可能性が高い。
[マイさん、ナナさん。どちらのクエストを受けますか?]
[え? 私たちも一緒にできるの? そうね……ナナ、どちらにする?]
[……私は御老人を自宅まで連れて行く方を選ぶよ]
[分かった。それじゃあ私たちは送迎の方をやるわね]
[了解。俺たちはペンダントを届けてくるよ]
俺たちは再び二手に分かれることになった。
[御老人、孫に渡すペンダントは俺たちが代わりに届けてきますよ]
[そうか、助かるよ……。場所は街を出て10km先にある学園都市だ。孫の名はエリス。地図の印の場所にいるはずじゃ。頼んだよ、若いの]
俺たちは地図を受け取り、目的地へ向かった。
道中、敵に遭遇したが、全て殲滅しながら数時間かけて目的地に到着した。
そこは学園の寮だった。
正門の騎士に事情を話し、エリスさんを呼んでもらう。
しばらくして、騎士と一緒に一人の女性がやってきた。
[私がエリスですが……。祖父から渡したいものがあるというのは?]
俺が預かっていたペンダントを渡すと、エリスさんは突然泣き出してしまった。
俺は思わずパニックになる。
[ど、どうしたのですか? 何かそのペンダントに傷でもありましたか……!?]
エリスさんは首を横に振った。
[違うんです……。これは祖母の形見なんです。これを私に託したということは、もう、あの方は……]
彼女は言葉を詰まらせて泣き続けた。
すると、俺たちの従魔たちが彼女に寄り添い、優しく慰め始めた。
[……ありがとう。そうだよね、泣いてばかりいたら喜んでくれないよね。冒険者さん、お名前を教えてくれませんか?]
[トレンです。従魔のエアネス、ヴィーシュ、ペルナギです]
[リョウです。従魔のナイトディラン、ヴェイルガー、サクメです]
従魔たちが一礼すると、彼女は少しだけ微笑んだ。
[皆様、ありがとうございます。確かに受け取りました。……少しお待ちいただけますか?]
エリスさんは一礼して寮に戻り、1時間後に一通の手紙を持って戻ってきた。
[これを祖父に渡してください。私は今、家に戻ることができないので。お願いします]
[分かりました。必ずお渡しします]
俺たちは手紙を受け取り、御老人のもとへと引き返した。
別れ際、エリスさんは再び泣いていた。
この時の俺たちは、まだ何も知らなかった。
この手紙が何を意味するのか。
そして、この後に待ち受ける出来事についても―。
イベントも終盤になります。
次回はイベントの終盤の後編です
お楽しみに




