EPISODE.32話〘最前線停滞と最強の護衛〙
翌日、俺たちはいつも通り仕事に励んでいた。
もうすぐ、4日後に始まる初イベント開催を前に、期待と少しの緊張を抱えながら作業をこなしていく。
昼休み。西石と昼食を取っていると、ふと彼が口を開いた。
[最近、俺たちや従魔のことで掲示板が凄まじいっすよ。東条先輩。]
[そうなのか?まあ確かに昨日、テイマーギルドに向かう途中で、他プレイヤーの視線が凄かったけどな……それにしても、始まりの街って前はこんなに人多くなかったよな?]
[確かにっすね。多分、先輩たちが発見した件でアナウンス流れたじゃないですか。あれで一気に人が集まったんだと思います。それに――最前線のプレイヤーたち、足止め食らってるみたいっすよ。]
[え?あの人たちって普通に攻略進めてるもんだと思ってたけど。]
[それが、東西南北のエリアに入れない場所が結構あるらしいんすよ。一部の街も入れないとか。]
[まじか……でもまあ、俺たちはのんびりやるだけで十分だな。……で、その掲示板が凄まじいってのは?]
[これっす。]
西石が端末をこちらに見せてきた。
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掲示板
・情報提供
・スクショ歓迎。
・でも連続投下は控えめにね。
・常識をもって書き込みましょう
・運営側もこの掲示板を確認チェックしてるらしいので正しい情報を掲示板に書き込みましょう。
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101:名無格闘家
結構アナウンス流れたね、整理すると
・風の精霊の契約可能
・街のNPCのイベントクエストでのエリア解放
・グラディア山岳のボス
・初従魔の卵発見一部エリア解放
・NPCギルド団の友好関係
しかも発見した場所は全て始まりの街だ
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102:名無剣士
確かにそうだよな。他のエリアの街に行ってるプレイヤー達いるけど、何も起きないし、何でやろ?
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103:名無騎士
何かの条件があるのでは、例えば、NPCといろいろ購入(武器屋・防具屋・アイテム屋は除外)して
少しずつ友好関係でNPCのイベント発生する事が重要な可能性があると思います。
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104:名無弓使い
それ!ちなみに自分NPCとある程度仲が良くなって
連続チェーンクエストに発生したんだ。
初のチェーンクエストを出した方まじ感謝するよ
俺、初のチェーンクエストだよ。
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105:名無槍使い
ちなみに、そのクエスト内容は?
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106:名無弓使い
イベントクエスト:依頼主【アザム】
内容:純度水を汲みとる
場所:西南の森林の湖
報酬:従魔の卵
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107:名無槍使い
……は?えええぇ~従魔の卵
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108:名無格闘家
……は?えええぇ~従魔の卵
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109:名無魔法使い
……は?えええぇ~まじぃぃぃぃ〜
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110:名無騎士
……は?えええぇ~嘘だろォォォ~
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111:名無弓使い
まじです。ただ、問題があるんだよ。西南の森林はメチャメチャ敵が多過ぎてソロでは無理だよ。
ただ期間が無いだけ有難いよ。
今は足止めされてる状態だよ
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112:名無格闘家
ああ、あのエリアは5人で組まないとキツいからな。
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113:名無騎士
パーティ組めば?俺協力出来るけど、素材を少し分けてくれれば良いけど。
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114:名無格闘家
俺も協力出来るよ。>>113の同じ条件で
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115:名無魔法使い
同じく>>113の同じ条件で
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116:名無槍使い
右に同じく>>113の同じ条件で
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117:名無弓使い
まじですか?協力して頂けるなら、素材はお譲りします。>>113>>114>>115>>116
お願いします。協力して下さい。
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118:名無騎士
いいよ。
119:名無格闘家
了解
120:名無魔法使い
了解
121:名無槍使い
了解
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掲示板を見終え、俺は小さく息を吐いた。
(なるほどな……ただ戦って進むだけじゃ駄目ってことか)
従魔の卵はチェーンクエスト限定。
しかも一度きり。
それに高難度エリア。
そりゃ最前線でも止まるわけだ。
運営は意図的に、攻略一辺倒のプレイヤーを足止めしている――そんな印象を受けた。
[……本当に凄いな、これ。]
[言った通りでしょ?]
[ああ。でもまあ、俺たちは変わらずのんびりでいい。]
[っすね。俺たち、ガチ勢じゃないっすし。]
[たまにやらかすしな、俺もお前も。]
[それは否定できないっすね(笑)]
そんな会話をしながら昼食を終え、仕事へ戻る。
その後も作業をこなし、仕事を終えた俺たちは一緒に帰宅した。
帰宅後、夕食と風呂を済ませ、ログイン。
少し遅れて西石も合流し、俺たちは従魔たちと共にテイマーギルドへ向かった。
受付で声をかけると、すぐに返答が返ってくる。
[お待ちしておりました。指名依頼がございます。]
提示された依頼内容を確認する。
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指名依頼クエスト:結晶ラビットの捕獲
依頼主:テイマーギルド長 メイーファ
報酬:捕獲ランクに応じて変動
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[……受けます。]
サインを済ませると、そのままギルド長室へ案内された。
中に入ると、ギルド長メイーファがこちらを見て頷いた。
[引き受けてくれて感謝するよ。]
[いえ、こちらこそです。ただ一つ……捕獲ランクというのは?]
[それは結晶ラビットの結晶の色で判別される。]
黒(1)白(2)赤(3)青(4)緑(5)紫(6)翡翠(7)銀(8)金(9)
[最高が9……ですか。]
[いや、違う。]
[真の最高はランク10だ。しかし――未だ誰も見たことがない。]
思わず息を飲む。
[……面白そうですね。]
[場所は北西の森林。中央の湖にのみ生息する。ただし危険だ。]
[護衛を呼んである。入ってくれ。]
扉が開く。
入ってきた瞬間、空気が変わった。
(……なんだ、この圧)
[紹介しよう。ギルド団【光冥乃氷輪】だ。]
[リーダーのインザクだ。よろしく。]
リョウが横で固まっているのが分かる。
(おいおい……このクラスが護衛ってマジかよ)
[トレンです。よろしくお願いします。]
[リョウです。]
軽く挨拶を交わした後、俺は一歩踏み出した。
[失礼ですが……一つ聞いても?]
[いいよ。]
[なぜ、この依頼を?]
インザクは少しだけ笑った。
[最初は受ける気なかったんだけどね。]
[……?]
[ある人物から君たちの話を聞いてね。興味が湧いた。]
嫌な予感がした。
[その人物って……]
[【月乃轟璃雷】のリーダー、イザギーラだよ。]
[[ええええええええええええええええええええ!?]]
(いやいやいやいや待て待て待て!!)
[まあ、そういうわけだ。よろしくな。]
[……はい、よろしくお願いします。]
こうして俺たちは、最強クラスの護衛と共に北西の森林へ向かうことになった。




