EPISODE.313話〘漆黒の脅威――目に見えない壁と本当の試練〙
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
今回はEPISODE.313話になります。
【黎翼霊雷鳥オーラカルバード】との激闘を続けるナギサとバレグ。
しかし、二人の前に立ちはだかるのは、想像を遥かに超える脅威でした。
絶体絶命の状況に追い込まれた二人は、大切な仲間たちを護り抜くことができるのでしょうか――。
それでは、EPISODE.313話をお楽しみください。
オーラカルバードの全身から、漆黒のオーラが噴き出した。
禍々しい気配を孕んだ漆黒の力が、オーラカルバードの身体を包み込み、その姿をみるみる変質させていく。
翼の形が変わる。
四肢が軋む。
鳥の魔物だったはずの姿は崩れ、人型へと近付いていく。
そして――。
漆黒のオーラが晴れた先に立っていたのは、全身を漆黒に染めた、人型の鳥人だった。
まるで魔鳥族とでも呼ぶべき、異形の存在。
オーラカルバードは覚醒し、ついに真の姿を現した。
ナギサとバレグは、その姿を見つめながら武器を構える。
「あれが本当の姿ですね。ナギサ」
「そうね。バレグ、ヤツも本当の姿で私たちを殺す気よ。」
二人を前に――。
オーラカルバードが凄まじい雄叫びを上げた。
「ゴガァァァァァァァァァァ!!」
そして――。
漆黒の姿となったオーラカルバードは、ナギサとバレグへ攻撃を仕掛けてきた。
ドッシュッ!!
オーラカルバードが凄まじい速度で前へ出る。
「なっ!?」
ナギサが反応した、その瞬間――。
すでにオーラカルバードは目の前にいた。
回避する間もなく、その一撃がナギサを捉えた。
「ガハッ!」
ナギサの身体が吹き飛ばされる。
そして――。
ドゴォォォォォォーン!!
岩壁へ激突した。
「ナギサ!! ヤロウ【雷速斬】」
バレグが武器を振るう。
だが――。
オーラカルバードは、その攻撃を素早く回避した。
直後――。
オーラカルバードは身体を素早く回転させる。
「なっ!?」
バレグが反応するよりも早く――。
廻天蹴り。
強烈な蹴りが、バレグの身体を捉えた。
ドゴォォォォォォーン!!
吹き飛ばされたバレグも、岩壁へ叩きつけられる。
「ガハッ!……つ……強い……これが本当の力かよ……ゴフッ!」
バレグは痛みに耐えながら、オーラカルバードを見つめた。
覚醒したヤツの強さを――。
身をもって痛感する。
ナギサも同じだった。
このままでは――。
勝てない。
だが、その時。
ナギサの前へ、従魔たちが進み出た。
レナミ。
ナギア。
ヴィージェル。
三体は傷付いたナギサを護るように構える。
一方――。
バレグの従魔たちも同じだった。
ファルギマ。
ミュラス。
アミールス。
三体もまた、自分たちの主を護ろうと前へ出る。
ナギサもバレグも、何も指示していない。
それでも――。
六体の従魔たちは、自らの意思で主を護ろうと、オーラカルバードへ向けて構えていた。
その姿を見たオーラカルバードは――。
不敵な笑みを浮かべた。
狙いを定める。
ナギサとバレグを護ろうとする、従魔たちへ。
「ゴガァァァァァァ!!」
雄叫びを上げ――。
オーラカルバードが攻撃を仕掛ける。
ナギサは、自分を護ろうとする三体の背中を見つめた。
このままでは――。
レナミが。
ナギアが。
ヴィージェルが。
喰われてしまう。
今のままでは勝てない。
それでも――。
諦めるくらいなら。
従魔たちを護り、ヤツを道連れにしてでも倒したい。
自分を護ろうと、前へ出てくれた三体。
その姿を見たナギサの想いは、揺るがなかった。
一方――。
バレグも、オーラカルバードが従魔たちを狙っていることに気付いていた。
このままでは――。
ファルギマたちが危ない。
自分が倒されることになっても。
ヤツを道連れにしてでも――。
従魔たちを護りたい。
傷付いたナギサは、岩壁に手をつきながら立ち上がろうとする。
一方――。
バレグも武器を支えに、傷付いた身体を起こした。
二人は、大切な従魔たちを護るため、必死に身体を動かそうとする。
傷付いた二人の想いが、重なる。
そして――。
「「従魔たちに触れさせない。必ず護る。私たちが相手だぁぁぁぁ!!」」
二人が従魔たちの前へ出ようとした、その瞬間――。
全てが止まった。
従魔たちへ迫っていたオーラカルバード。
その動きが、ぴたりと止まる。
岩壁から舞い上がった砂埃も、空中に留まったまま動かない。
先ほどまで響いていた戦場の音も、消えていた。
ナギサが目を見開く。
「え?……停まってる?」
バレグも、目の前の光景を見つめた。
「これは……一体」
「ガォン!」
ファルギマが声を上げる。
ナギアも周囲を見渡していた。
だが――。
レナミ、ヴィージェル、ミュラス、アミールス。
四体の従魔たちは、先ほどの姿勢のまま動いていなかった。
それなのに――。
ナギアとファルギマだけは、普段と変わらず動いている。
「え?……何でナギアとファルギマだけ動けるの?」
ナギサが驚きながら呟く。
バレグも二体を見つめていた。
その時だった。
突然、二つの声が聞こえてきた。
『我らが時を停めたのだよ。ナギサ、バレグ』
『君たちの想いが我々を呼び覚ましたのだよ』
二人の前に、二つの光が現れる。
そして――。
その光の中から、二体の姿が現れた。
ナギアとは別の九尾狐。
そして、ファルギマとは別のシヴァータイガー。
ナギサが息を呑む。
「別の九尾狐とシヴァータイガー?」
九尾狐が静かに答えた。
『左様、我が名は九尾狐の長ドラゼヴァニム』
続いて――。
もう一体も名乗る。
『そして我が名は氷獣虎族の長サーベルシド』
ナギサは思わずバレグを見た。
「まさか、トレン、リョウと同じようにやらかしたわね。バレグ」
「そうですね。ナギサ。それで、ドラゼヴァニム様、サーベルシド様が何故ここに?」
バレグの問いに――。
長たちの声が響く。
『君たちの想いがナギアとファルギマに共鳴し、我々を呼び覚ましたのだよ。』
そして――。
『ナギアとファルギマは進化する。そして君たちに新たな力を授ける』
その言葉が告げられた直後――。
ナギアとファルギマが光り輝き始めた。
眩い光が、二体の身体を包み込んでいく。
それを見たナギサとバレグの声が、同時に響いた。
「「え?……ええええぇぇぇぇ〜進化!!」」
突然の進化に驚きを隠せないナギサとバレグ。
まさか、自分たちの従魔が進化するとは思ってもいなかった。
こうして――。
二人は、ナギアとファルギマの進化を確認するのであった。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
今回のEPISODE.313話では、【黎翼霊雷鳥オーラカルバード】が真の姿へと覚醒し、ナギサとバレグは圧倒的な力を前に窮地へ追い込まれました。
それでも二人は、大切な従魔たちを護るため、傷付いた身体で立ち上がります。
そして、二人の強い想いに応えるかのように現れた、九尾狐の長ドラゼヴァニムと氷獣虎族の長サーベルシド。
二体の長から告げられたのは、ナギアとファルギマの進化、そしてナギサとバレグに授けられる新たな力でした。
果たして、ナギアとファルギマはどのような姿へ進化するのでしょうか。
次回もぜひお楽しみに!
これからも『VRMMOでスローライフするつもりがなぜかソロ最強プレイヤー?』をよろしくお願いいたします。
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