EPISODE.312話〘仲間を護る覚悟――限界の領域〙
いつもお読みいただき、本当にありがとうございます!
前回は、ナナたち四人が【霊神翼鳥ルガーベーシュ】との激闘に決着をつけました。
しかし、その一方では――。
ナギサとバレグもまた、【黎翼霊雷鳥オーラカルバード】という強敵との戦いに挑んでいました。
今回は、二人と従魔たちが力を合わせ、強敵へ立ち向かう姿をお届けします。
果たして、ナギサとバレグを待ち受ける試練とは――。
今回も最後までお楽しみいただければ幸いです!
【霊神翼鳥ルガーベーシュ】との激闘が繰り広げられていた頃――。
その一方で。
ナギサとバレグもまた、【黎翼霊雷鳥オーラカルバード】との戦いを始めていた。
凄まじい速度で飛び回るオーラカルバードを見つめながら、ナギサが声を上げる。
「バレグ、更に集中して! ヤツのスピードは厄介よ!」
「分かってますよ、ナギサ!」
その瞬間――。
バレグの表情が変わる。
「来ます! ミュラス、アミールス、やるよ!」
バレグは雷属性専用武器を構えながら、オーラカルバードの動きを見逃さないよう集中力を研ぎ澄ませた。
そして――。
「ミュラス【聖光障壁】! アミールス【氷水衝撃覇】!」
ミュラスの周囲から聖なる光が溢れ出す。
その光はナギサとバレグ。
そして従魔たちの全身を、まるで聖なる鎧のように包み込んでいった。
さらに――。
前方へ巨大な光の大盾が出現する。
【聖光障壁】。
全員を護る聖なる防護が展開された。
一方――。
アミールスの左側には巨大な水の壁。
右側には分厚い氷の壁が出現する。
アミールスは左手を水の壁へ。
右手を氷の壁へ添えた。
次の瞬間――。
ドゴォォォォン!!
強烈な衝撃波が放たれる。
水と氷の壁が一斉に粉砕された。
砕け散った水と氷は――。
無数の鋭い霙と氷晶の破片へと変わっていく。
そして――。
ババババババババッ!!
マシンガンのような勢いで、【黎翼霊雷鳥オーラカルバード】へ向かって撃ち出された。
オーラカルバードは凄まじい速度で回避しようとする。
だが――。
数が多過ぎた。
ズバッ!
ズバババババッ!!
「ゴガァァァァ!!」
無数の鋭い氷晶が翼を貫通し、さらにいくつもの破片が突き刺さる。
オーラカルバードの飛行姿勢が大きく崩れた。
高度が徐々に下がっていく。
その瞬間を――。
バレグは待っていた。
「ファルギマ!」
バレグが素早くファルギマの背中へ飛び乗る。
「いくよ、ファルギマ!」
「ガォン!!」
次の瞬間――。
ファルギマが地面を強く蹴った。
バシュッ!!
一気に加速し、バレグを乗せたままオーラカルバードへ一直線に向かっていく。
バレグはファルギマの背中で姿勢を低くし、雷属性専用武器を構えた。
すると――。
バランスを崩していたオーラカルバードが、大きく翼を羽ばたかせる。
ズバッバッバッバッバッバッ!!
無数の翼羽が、バレグとファルギマへ向かって放たれた。
だが――。
ファルギマは速度を緩めない。
それどころか。
「ガォォォン!!」
さらに加速する。
飛来する翼羽の間を縫うように駆け抜け――。
オーラカルバードとの距離を一気に詰めていく。
そして――。
ファルギマが地面を強く蹴り、跳躍した。
「今だ!!」
ファルギマの速度。
その凄まじい加速と跳躍の勢いを――。
バレグは自らの一振りへ乗せる。
「喰らえ! オーラカルバード!!」
「【疾風轟雷剣】!!」
ズバァァァァァァン!!
高速の一閃。
その斬撃が――。
オーラカルバードの右の翼を根元から斬り落とした。
「ゴガァァァァァァ!!」
さらに――。
上空に轟雷が生まれる。
ゴロゴロゴロゴロ――!!
次の瞬間。
ズドォォォォォォン!!
凄まじい雷がオーラカルバードへ直撃した。
右の翼を失い、さらに轟雷まで受けたオーラカルバードは飛行を維持出来ない。
その巨体が――。
地面へ向かって落下していく。
ドゴォォォォォォォン!!
激しい衝撃と共に。
【黎翼霊雷鳥オーラカルバード】は地面へ墜落した。
その時――。
ナギサの表情が変わる。
「!? バレグ、下がって! 早く!!」
突然のナギサの声に、バレグが振り返る。
「えっ!?」
「ファルギマ、急いで!!」
ナギサの視線は――。
地面へ墜落したオーラカルバードへ向けられていた。
その全身が、眩い光を放ち始めている。
ナギサの胸に――。
嫌な予感が走った。
「バレグ! そこから離れて!!」
「分かりました! ファルギマ、戻るよ!」
「ガォン!!」
ファルギマはすぐに方向を変え、バレグを乗せたまま一気に後退する。
その直後――。
オーラカルバードを包んでいた光が、更に強くなった。
「なに……あれ……」
光の中で。
オーラカルバードの姿が――。
みるみる変わっていく。
鳥のような体躯。
人型に近い上半身。
鋭い嘴と翼を残しながらも――。
その身体は、まるで鳥人と人間が融合したかのような異形へと変貌していった。
やがて――。
眩い光が、ゆっくりと消えていく。
その姿を見たバレグが、息を呑んだ。
「ま……まさか……進化?」
バレグの予感は――。
的中していた。
進化したその姿は――。
【黎翼雷鳥人オーラカルバード】。
ナギサとバレグは、その異様な姿を前に警戒を強める。
二人は同時に武器を構えた。
だが――。
次の瞬間。
オーラカルバードの姿が消えた。
「えっ!?」
ドジュッ!!
「「なっ!?」」
気付いた時には遅かった。
ナギサとバレグの従魔たちが、次々と強烈な衝撃を受ける。
その瞬間――。
バキィィィィィン!!
ミュラスが展開していた【聖光障壁】。
従魔たちを護っていた巨大な光の大盾と、全身を包んでいた聖なる鎧が――。
進化したオーラカルバードの凄まじい一撃によって、砕け散った。
だが――。
その防御は決して無意味ではなかった。
破壊されながらも、オーラカルバードの攻撃の威力を確かに弱めていたのだ。
ドゴォォォォォォン!!
それでも衝撃を受け止めきれず、従魔たちは次々と岩壁へ吹き飛ばされていく。
「みんな!!」
ナギサが叫ぶ。
そして――。
その瞬間。
オーラカルバードがナギサの目の前へ現れた。
「早い!! 間に合わ――」
ドゴォォォォォォン!!
「ガハッ!!」
強烈な一撃がナギサの腹部へ突き刺さる。
その身体が一気に吹き飛び――。
ドゴォォォォォォーン!!
岩壁へ激突した。
「ゴフッ……!」
「ナギサ!!」
ファルギマの背中に乗っていたバレグが叫ぶ。
だが――。
その声を上げた直後。
「なっ!?」
オーラカルバードが、今度はバレグの目の前に現れる。
強烈な蹴り。
ドゴォォォォォォン!!
「グハッ!!」
バレグはファルギマの背中から蹴り飛ばされた。
その身体が凄まじい勢いで吹き飛ばされる。
そして――。
ドゴォォォォォォーン!!
岩壁へ激突した。
「ゴフッ……」
バレグは痛みに耐えながら、ゆっくりと顔を上げる。
「つ……強すぎる……」
息を整えながら――。
オーラカルバードから目を逸らさない。
「こんな感じのヤツと……トレンとリョウはずっと戦っていたのかよ……」
一方。
ナギサも口元から血を流しながら身体を起こした。
「ゴフッ……」
そして――。
静かに呟く。
「これが……トレンが言った……目には見えない本当の試練……」
ナギサは武器を握り直す。
「ようやく分かったわ」
「今まで乗り越えてきた試練なんて……まだ序章に過ぎなかったってことを」
普通なら――。
これほど圧倒的な力を見せつけられれば。
恐怖する。
戦慄する。
そして――。
身体が動かなくなっても不思議ではない。
だが。
ナギサとバレグは違った。
二人の瞳から――。
戦意は消えていない。
むしろ。
更に――。
集中力を研ぎ澄ませていく。
周囲の音が遠くなる。
視界には――。
ただ一体。
【黎翼雷鳥人オーラカルバード】だけが映っていた。
だが――。
この時。
二人はまだ気付いていなかった。
自分たちがすでに――。
“ゾーン”の領域へ踏み込んでいることに。
その時――。
オーラカルバードが二人から視線を逸らした。
「え……?」
ナギサが違和感を覚える。
オーラカルバードが見つめていた先には――。
レナミ。
そしてミュラス。
二体の光の精霊がいた。
その視線に――。
バレグも気付いた。
「まさか……あいつ、レナミとミュラスを!?」
バレグはすぐに声を上げる。
「ファルギマ! こっちへ!!」
「ガォン!!」
ファルギマがバレグの元へ駆け寄る。
バレグは素早くその背中へ飛び乗った。
その直後――。
オーラカルバードの姿が消える。
「レナミ!!」
「ミュラス!!」
そう――。
【黎翼雷鳥人オーラカルバード】は。
精霊喰らいのボスだった。
狙いは――。
レナミとミュラス。
二体は即座に防御しながら、その場から逃れようとする。
だが――。
僅かに。
オーラカルバードの方が速い。
距離が一気に縮まっていく。
「ファルギマ! 全速力で先回りして!!」
「ガォォォン!!」
ファルギマは地面を強く蹴り、一気に加速した。
そして――。
オーラカルバードの手が二体へ届こうとした、その瞬間。
バレグがファルギマの背中から飛び出した。
ドゴォォォォォォン!!
「ガハッ!!」
強烈な一撃。
だが――。
攻撃を受けたのは。
レナミでも。
ミュラスでもなかった。
「だ……大丈夫だよ……レナミ……ミュラス……」
そこにいたのは――。
バレグだった。
「バレグ!?」
ファルギマの速度を利用して先回りし、最後は自らの身体を盾にして二体を護ったのだ。
「ゴフッ……!」
先ほど受けたダメージ。
さらに――。
今の攻撃。
バレグの身体は限界へ近づいていた。
それでも。
バレグは笑う。
「これなら……逃げられないぞぉぉぉ!!」
オーラカルバードの目の前。
距離は――。
ほぼ零。
バレグの手が鞘へ掛かる。
「零距離だぁぁぁぁ!!」
「【神雷虚空刀】!!」
次の瞬間――。
ズバァァァァン!!
抜刀の瞬間すら見えないほどの一閃。
雷を纏った刃が――。
オーラカルバードの身体を斬り裂いた。
だが――。
攻撃は、それだけでは終わらない。
斬撃と同時に。
刀身へ纏っていた雷が――。
一気にオーラカルバードの身体へ流れ込む。
バチバチバチバチバチッ!!
「ゴガァァァァァァ!!」
まるで巨大な雷剣が――。
その身体を内側から貫いたかのように。
凄まじい雷撃が全身を走る。
そして――。
ドゴォォォォォォン!!
流れ込んだ雷が爆裂した。
「ゴガァァァァァァ!!」
オーラカルバードの身体が大きく吹き飛ばされる。
そのまま――。
ドゴォォォォォォーン!!
岩壁へ激突した。
「ゴフッ……!」
だが――。
バレグも無事では済まなかった。
すでに大きなダメージを負った状態で放った、零距離からの【神雷虚空刀】。
至近距離で爆裂した雷撃の衝撃は――。
オーラカルバードだけではなく。
バレグ自身の身体にも返ってきていた。
零距離で放つからこそ。
大きな威力と引き換えに――。
自分自身も相応のリスクを負うスキルだった。
それでも。
バレグは迷わなかった。
トレンから言われた言葉。
そして――。
自分たちへ訪れた「本当の試練」の意味。
それを理解し始めていたからこそ。
従魔たちを護るために――。
自然と身体が動いていた。
その時だった。
ナギサが両手を前へ向ける。
そして――。
静かに詠唱を始めた。
「聖なる癒しに包まれし全ての守護精霊たちよ。我が魔力を対価に、聖なる力を纏わせよ――」
「【ゴッドエリクサーヒール】!!」
次の瞬間――。
眩い聖光が一気に広がった。
回復魔法・極。
その最大奥義。
聖なる光は――。
ナギサ。
バレグ。
そして――。
二人の従魔たち全員を優しく包み込んでいく。
傷付いた身体が――。
瞬く間に完全回復していった。
さらに――。
聖なる光が全員の身体へ溶け込んでいく。
【ゴッドエリクサーヒール】。
その効果は、対象全員の完全回復。
そして――。
防御力上昇の付与。
ナギサとバレグ、そして二人の従魔たち全員の防御力が上昇した。
「ナギサ……助かったよ」
バレグが息を整えながら立ち上がる。
だが――。
ナギサはオーラカルバードから目を逸らさなかった。
「まだよ」
「集中して」
ナギサの表情が、更に険しくなる。
「ヤツが……まだ変わっていく」
その直後。
「ゴガァァァァァァァァァァ!!」
オーラカルバードが凄まじい雄叫びを上げた。
その全身から――。
漆黒のオーラが一気に噴き出す。
「……また変わる!?」
光と漆黒のオーラに包まれながら――。
【黎翼雷鳥人オーラカルバード】の姿が。
さらに変わり始めていく。
バレグは静かに武器を構え直した。
「分かった……」
「ヤツ、最終形態になる感じだね」
ナギサも構えを崩さない。
「不思議な感覚だわ」
「ヤツが最終形態になるって……なぜか分かる」
そして――。
ナギサの瞳から戦意は消えていなかった。
「でも今は――ヤツを殲滅することが先よ!」
「そうですね」
バレグも集中力を更に高める。
「集中して……決着をつけましょう、ナギサ」
「ええ!」
こうして――。
ナギサとバレグは。
最終形態へと変わろうとしている【黎翼雷鳥人オーラカルバード】との――。
最後の決戦へ挑むのであった。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
今回は、ナギサとバレグが【黎翼霊雷鳥オーラカルバード】との激闘を繰り広げました。
従魔たちとの連携で追い詰めたものの、オーラカルバードは【黎翼雷鳥人オーラカルバード】へと進化。
圧倒的な力を前にしながらも、ナギサとバレグは諦めず、仲間を護るために立ち向かいました。
そして、二人は無意識のうちに“ゾーン”の領域へと踏み込んでいました。
しかし、オーラカルバードはさらなる変貌を見せようとしています。
次回、EPISODE.313話では、ナギサとバレグの戦いがいよいよ最終局面へと進んでいきます。
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今後とも『VRMMOでスローライフするつもりがなぜかソロ最強プレイヤー?』をよろしくお願いいたします。




