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VRMMOでスローライフするつもりがなぜかソロ最強プレイヤー?  作者: うさだデジ子
第1エリア〜始まりの街・エリアボス編

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EPISODE.311話〘雷獣との融合――霊神翼鳥との終焉〙

いつも本作をお読みいただき、ありがとうございます。


今回は、覚醒した【霊神翼鳥ルガーベーシュ】との戦いが、いよいよ大きく動き始めます。


そして、ナナとマイにも新たな変化が訪れることになります。


これまで積み重ねてきた出来事が、思わぬ形で繋がっていく今回のお話。


それぞれが迎える展開にも注目しながら、最後までお楽しみいただけましたら幸いです。

漆黒のオーラが弾けた次の瞬間――。


【霊神翼鳥ルガーベーシュ】は、真の姿を現した。


そこにいたのは、巨大な翼を背に広げ、鋭い嘴と猛獣のような下半身を持ちながらも、人型に近い体躯をした異形――。


まさに霊鳥獣人と呼ぶべき存在だった。


その姿を見たナナが目を見開く。


「まさか……覚醒!?」


マイはルガーベーシュから目を逸らすことなく答えた。


「前にトレン、リョウと一緒に戦った覚醒個体と同じ雰囲気……そうみたいね、ナナ」


そして――。


マイはサンオンとバウトへ視線を向ける。


「サンオン、バウト。気をつけて」


「「え?」」


「ボス級の魔物には、戦闘の途中で覚醒して姿そのものが変わるヤツがいるの」


マイは以前の戦いを思い出していた。


「前に戦った【硬巌玄甲轟ダードライアンヴァー】もそうだったわ。途中で姿が変わって、最後には完全に覚醒した」


「それに――覚醒した後は、それまで使っていた攻撃が通用しなくなるタイプもいる」


サンオンとバウトの表情が変わる。


「「攻撃が……効かない?」」


「正確には、今までと同じ攻撃がそのまま通用すると思わない方がいいってこと」


マイは【黎水氷霊帝無双剣】を構え直した。


「何が変わっているか分からない。攻撃方法も、速度も、スキルも……全部変わっている可能性があるわ」


「分かりました」


「了解です」


ナナ、マイ、サンオン、バウト。


四人は真の姿となったルガーベーシュを見据え、集中力を研ぎ澄ませる。


その瞬間だった。


ルガーベーシュの姿が――消えた。


「えっ――」


次の瞬間。


サンオンの目の前にルガーベーシュが現れる。


「なっ!?」


ドゴォォォォォォン!!


「グハッ!……」


強烈な一撃がサンオンの身体を捉えた。


凄まじい勢いで吹き飛ばされ――。


ドゴォォォォォォーン!!


そのまま岩壁へ激突する。


「サンオン!!」


バウトが振り返った。


だが――。


「なっ!……ガハッ!!」


すでにルガーベーシュはバウトの目の前へ移動していた。


ドゴォォォォォォン!!


バウトも強烈な一撃を喰らい、その身体が岩壁へ向かって吹き飛ばされる。


「くっ……!」


さらに――。


ルガーベーシュが大きく翼を振り抜いた。


ブワァァァァァァン!!


凄まじい衝撃波。


まるで暴風そのものが襲い掛かったかのような風圧が周囲へ広がる。


サンオンの従魔であるミューローズとセラヴァル。


そしてバウトの従魔であるルーレイとフィーレイも、凄まじい風圧に巻き込まれ――。


一斉に吹き飛ばされた。


「ミューローズ! セラヴァル!」


「ルーレイ! フィーレイ!」


岩壁へ叩き付けられていたサンオンとバウトは、傷付いた身体を無理やり起こした。


そして――。


自分たちへ向かって吹き飛ばされて来る従魔たちを見る。


二人は迷わなかった。


「ぐっ……!」


サンオンは、自分の従魔たちを庇うように身体を前へ出す。


バウトも同じだった。


ドンッ!!


吹き飛ばされて来た従魔たちの勢い。


その衝撃を――。


二人は自分たちの身体で受け止めた。


「ぐぁっ……!」


「がっ……!」


すでにルガーベーシュから大きなダメージを受けている。


それでも――。


サンオンとバウトは従魔たちから手を離さなかった。


自分たちが衝撃を引き受けることで、少しでも従魔たちが受けるダメージを軽減しようとしていた。


「サンオン! バウト!」


ナナが叫ぶ。


二人は何とか意識を保っていた。


だが――。


すぐに戦闘へ戻れる状態ではなかった。


その姿を見たナナとマイの表情が変わる。


二人はルガーベーシュへ視線を戻し――。


さらに集中力を研ぎ澄ませた。


「行くわよ、ナナ」


「うん!」


ナナとマイが同時に駆け出す。


だが――。


ルガーベーシュが先に動いた。


狙ったのは二人ではない。


ナナとマイの従魔たち。


「っ!?」


ルガーベーシュが一瞬で距離を詰める。


「させない!!」


ナナは従魔たちの前へ割って入り、ルガーベーシュの攻撃を真正面から受け止めた。


「ぐっ!!」


ストム。


ヴィーナ。


アネル。


パレア。


そして――。


マイのグラネス、エルマ、ネモル、アスム。


その全員を背後に庇いながら、ナナは踏み止まる。


ナナが攻撃を引き受けた瞬間――。


マイが一気にルガーベーシュとの距離を詰めた。


「はぁぁぁぁぁ!!」


【黎水氷霊帝無双剣】を振り抜く。


だが――。


ルガーベーシュは僅かに身体を動かしただけで、その攻撃を回避した。


「えっ!?」


次の瞬間。


ルガーベーシュの反撃。


ドゴォォォォォォン!!


「ガハッ!……」


マイの身体が吹き飛ぶ。


そのまま――。


ドゴォォォォォォーン!!


岩壁へ激突した。


「マイ!!」


ナナの声が響き渡る。


だが――。


ルガーベーシュは止まらない。


ナナの後ろには――。


従魔たち。


傷付いた仲間たち。


倒れているマイ。


ナナは震える手で武器を握り締めた。


「ぐっ……」


そして――。


自分の後ろにいる従魔たちを見る。


「ストム……ヴィーナ……アネル……パレア……」


さらに――。


マイの従魔たち。


「グラネス……エルマ……ネモル……アスム……」


ナナは歯を食いしばる。


「私が必ず……」


声が震える。


それでも――。


ナナは顔を上げた。


「必ず………みんなを守るんだぁぁぁぁぁぁ!!」


その瞬間だった。


――音が消えた。


「え……?」


風が止まっている。


舞い上がっていた砂埃も、空中で静止していた。


ルガーベーシュも。


サンオンも、バウトも。


そしてマイも――。


全てが止まっていた。


ナナだけが動いている。


「ど……どういうこと?」


ナナが周囲を見回す。


すると――。


どこからともなく声が響いた。


『ようやく気付いたね、ナナよ』


「え!?」


ナナが振り返る。


「誰!?」


『初めまして……と言うのは少し違うかもしれないね』


静かな声。


しかし――。


ナナには不思議と懐かしく感じられた。


『我が名は――雷獣の長【ライジンガルマキング】』


「雷獣の長……?」


ナナは目を見開く。


そして――。


記憶の奥に残っていた姿を思い出す。


「あっ……!」


「あの時助けた雷虎さん……!?」


かつてミラーアリジロの巣城で助けた、重傷の雷虎。


その雷虎が最後に残した【雷結晶雫】。


ナナは、その時の出来事を思い出していた。


『本当は直接協力したかったのだがね、ナナよ』


ナナがライジンガルマキングの声へ耳を傾ける。


『君が従魔たちを護る覚悟』


『自分自身の壁を乗り越える覚悟』


そして――。


『自分を犠牲にしてでも、大切な者たちを護ろうとする覚悟』


『我は、その瞬間を待っていたのだよ』


「自分を犠牲に……従魔たちを護る覚悟……」


『そうだよ』


『君は今、本心から叫んだ』


『だからこそ――我もようやく君へ力を貸すことが出来る』


少し間を置き――。


ライジンガルマキングが続けた。


『マイにもね』


「マイも?」


『そうだよ』


『マイにも同じように授ける』


『だから――受け取りなさい』


次の瞬間。


ライジンガルマキングの前に、雷光を放つ球体が現れた。


バチバチバチバチッ!!


球体は激しい雷光を放ちながら、ゆっくりとナナへ近づいていく。


「えっ……」


そして――。


ナナの身体へ吸い込まれた。


バチィィィィィン!!


眩い雷光がナナの全身を包み込む。


身体の奥深くへ、雷の魔力が溶け込んでいく。


「これは……一体……」


『ナナよ』


『君へ授けたのは――雷獣【デスラーガロ】だ』


「デスラーガロ……」


『そしてマイにも――雷獣【デスラーキラ】を授けた』


ナナは静かに頷く。


「ありがとうございます」


そして――。


強い表情で前を向いた。


「必ずルガーベーシュを倒します」


「従魔たちを護りながら……みんなと一緒に戦います」


『頼んだよ、ナナ』


最後に――。


ライジンガルマキングは静かに告げる。


『この戦いが終わったら、北の【ミッドバルガの森林】へ来なさい』


『そこで待っているぞ』


「はい!」


次の瞬間――。


止まっていた全てが、再び動き出した。


風が吹く。


砂埃が舞う。


ルガーベーシュが動き出す。


だが――。


その瞬間。


ナナとマイが同時に叫んだ。


「我、魔力と共に応えよ! デスラーガロ!!」


「我、魔力と共に応えよ! デスラーキラ!!」


二人の身体から――。


凄まじい魔力が一気に溢れ出す。


ナナとマイ自身の魔力。


そして――。


身体へ宿った雷獣の魔力。


バチバチバチバチバチッ!!


赤く輝く魔力と、激しい雷を纏った魔力。


二つの力が絡み合い――一つへと融合していく。


「なっ……!?」


サンオンとバウトが驚きながら二人を見る。


ナナとマイの全身が眩い雷光に包まれた。


そして――。


光が弾ける。


そこに立っていたのは――。


先ほどまでの二人ではなかった。


人の姿を残しながらも――。


全身へ雷を纏い、雷獣を思わせる特徴が現れている。


ナナには【デスラーガロ】の力が。


マイには【デスラーキラ】の力が宿っている。


それぞれの雷獣の魔力と、自らの魔力を融合させた姿へと変貌していた。


ナナは静かにルガーベーシュを見据える。


そして――。


「……【雷神速】」


バシュッ!!


ナナの姿が消えた。


「グガァ!?」


ルガーベーシュが反応した時には――。


すでにナナはその懐へ入り込んでいた。


「力を貸して、デスラーガロ!!」


全身を覆う雷が激しく弾ける。


「喰らいなさい、ルガーベーシュ!!」


「【雷獣廻天雷轟翔乱舞】!!」


ドゴォォォォォォン!!


強烈な一撃がルガーベーシュの身体を捉えた。


その巨体が――。


一気に上空へ打ち上げられる。


ナナも同時に跳ぶ。


バチバチバチバチッ!!


雷を全身へ纏いながら――。


ルガーベーシュへ連撃を叩き込む。


一撃。


二撃。


三撃。


さらに回転を加えながら、雷を纏った連撃を次々と叩き込んでいく。


「はぁぁぁぁぁぁ!!」


最後の一撃。


ナナの蹴りが――。


ルガーベーシュを真正面から捉えた。


ドゴォォォォォォォン!!


「グガァァァァ!!」


その巨体が地面へ向かって急降下していく。


そして――。


ドゴォォォォォォォォン!!


ルガーベーシュが地面へ叩き付けられた。


だが――。


その場所には。


すでにマイが待っていた。


【黎水氷霊帝無双剣】を構え――。


静かに息を吐く。


「協力して、デスラーキラ」


マイの身体から――。


雷獣の魔力と自らの魔力が一気に溢れ出した。


そして――。


「奥義【水氷帝無双廻天瞬獄殺】!!」


スバァバァバァバァバァバァーン!!


一瞬だった。


ルガーベーシュが反応した時には――。


すでに無数の斬撃が全身を駆け抜けていた。


「グガァァァァ…………ァァ」


ルガーベーシュの身体が大きく揺れ――。


そのまま地面へ崩れ落ちた。


動かない。


マイは静かに息を吐いた。


「終わったね……」


そして――。


自分の中に宿る存在へ語り掛ける。


「ありがとう、デスラーキラ」


ナナも倒れたルガーベーシュを見つめながら、胸元へ手を当てた。


「本当に勝ったんだね……」


少しだけ笑みを浮かべる。


「力を貸してくれてありがとう、デスラーガロ」


すると――。


二人を包んでいた雷の魔力が、ゆっくりと消えていった。


雷獣の特徴も消えていき――。


ナナとマイは元の姿へ戻る。


「サンオン! バウト!」


二人はすぐにサンオンとバウトの元へ向かった。


そこへ――。


アネルとネモルも駆け寄る。


二体は、傷付いたサンオンとバウト、そしてそれぞれの従魔たちへ向けて――。


【回復魔術・上級】を発動した。


柔らかな光が周囲を包み込む。


傷付いていた身体が――。


少しずつ回復していく。


しばらくして。


サンオンがゆっくりと身体を起こした。


「ありがとう、アネル、ネモル」


バウトも二体を見ながら笑みを浮かべる。


「ありがとうね、アネル、ネモル」


その時だった。


突然――。


システムアナウンスが流れる。


【おめでとうございます。特殊イベント【霊神翼鳥ルガーベーシュ】をクリアしました。一部エリアが開放されました】


「えっ?」


四人が驚く。


だが――。


アナウンスは続いた。


【特殊チェーンイベント『雷獣の長ライジンガルマキング』が発生しました】


「ええっ!?」


そして――。


今度は全プレイヤーへ向けて。


新たなアナウンスが響き渡った。


【『雷獣の長ライジンガルマキング』の里を開放します。あるプレイヤーによって特殊イベントがクリアされたため、一部エリアはクリアしたプレイヤーのみ入ることが出来ます】


しばらく――。


四人は何も言えなかった。


そして。


マイが苦笑する。


「私たちも……トレン、リョウと変わらないくらいやらかしたね」


ナナも思わず苦笑した。


「そうね」


だが――。


その表情が少し真剣になる。


「でも……改めて分かったわ」


ナナは静かに続ける。


「トレンとリョウは、ずっとこんな険しくて厳しい戦いをしてきたんだって……今回の戦いで改めて分かったわ」


サンオンが身体を起こそうとする。


「トレンとリョウも心配だけど……ナギサとバレグのところに……くっ」


だが――。


まだ身体に力が入らない。


バウトも同じだった。


「行きたくても、今の状態では戦えないですよ。私もですし……ナナもマイもかなり消耗しています」


ナナは悔しそうに拳を握る。


「そうね……早く助太刀したいけど、今の私たちじゃ無理だわ」


マイは静かに――。


ナギサとバレグがいる方向へ視線を向けた。


「これが……本当の試練なんだって、改めて思い知らされるわ」


そして――。


トレンから言われた言葉を思い出す。


「今なら……トレンが言っていた意味が理解出来る」


こうして――。


ナナ、マイ、サンオン、バウトの戦いは終わった。


だが――。


もう一方では。


ナギサとバレグの前に立つ【黎翼霊雷鳥オーラカルバード】との戦いが――

今まさに始まろうとしていた。


そして――。


二人にとっての本当の試練もまた、始まろうとしていたのであった。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


今回は、真の姿へ覚醒した【霊神翼鳥ルガーベーシュ】との決着回となりました。


仲間や従魔たちを護ろうとするナナとマイの前に、新たな力を授ける雷獣の長【ライジンガルマキング】が現れ、二人はそれぞれ雷獣の力と融合してルガーベーシュを討伐しました。


そして、新たな特殊チェーンイベントも発生。


しかし、ナナたちの戦いが終わった一方で、ナギサとバレグには【黎翼霊雷鳥オーラカルバード】との戦いが待ち受けています。


次回は、二人にとっての「本当の試練」がどのような展開を迎えるのか。


引き続きお楽しみいただけましたら幸いです。


ブックマークや評価などで応援していただけると、とても励みになります。


これからも『VRMMOでスローライフするつもりがなぜかソロ最強プレイヤー?』をよろしくお願いいたします。

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