↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VRMMOでスローライフするつもりがなぜかソロ最強プレイヤー?  作者: うさだデジ子
第1エリア〜始まりの街・エリアボス編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

315/315

EPISODE.314話〘目には見えない本当の試練――二人の想いと従魔たちの絆〙

いつもお読みいただき、ありがとうございます!


前回、九尾狐の長ドラゼヴァニムと氷獣虎族の長サーベルシドに出会ったナギサとバレグ。


二人の前に、新たな可能性が示されます。


果たして、二人は強敵オーラカルバードとの戦いを乗り越えられるのでしょうか?


それでは、EPISODE.314話をお楽しみください!

まさか、ナギアとファルギマが進化するとは思っていなかった。


九尾狐の長ドラゼヴァニムと氷獣虎族の長サーベルシドから、突然進化を告げられたナギサとバレグ。


二人は驚きながらも、まずは進化先を確認することにした。


「とりあえず進化先を見よう。バレグ」


「そうですね。確認しましょう」


まずはナギサが、ナギアの進化先を確認する。


すると――。


「えっ!? 進化先が三つ!?」


表示された進化先を見て、ナギサは驚きを隠せなかった。


そして――。


三種類の進化先のステータスを順番に確認していく。


――――――――――――――――――――――


【ナギア】

基礎Lv20 契約者:ナギサ


――――――――――――――――――――――


種族:【九尾鳳凰狐】


HP558 MP674

腕力361 体力346

俊敏486 器用320

知力439 精神316


スキル:

【朧影身】【鳳凰幻天翔】

【朧月鳳凰】【炎帝鳳凰盾】

【鳳凰幻流水】【九尾鳳凰炎斬刃】

【九尾狐の癒し】


奥義【鳳凰狐爆炎霊焦炎舞】


――――――――――――――――――――――


種族:【九尾氷獣狐】


HP503 MP604

腕力400 体力379

俊敏425 器用334

知力420 精神300


スキル:

【朧影身】【氷輪連撃陣】

【朧月霊氷】【氷零盾】

【朧氷流水】【九尾氷輪斬刃】


奥義【氷獣狐神速斬影乱舞殺】


――――――――――――――――――――――


種族:【九尾四龍狐】


HP486 MP623

腕力460 体力352

俊敏464 器用367

知力446 精神324


スキル:

【朧影身】【朧玄龍】

【朧月朱龍爪】【青龍盾】

【朧白龍流水】【九尾黄龍抜刀一閃】


奥義【四龍狐修羅乱舞瞬獄殺】


――――――――――――――――――――――


「普通は一つじゃないの?」


ナギサは三種類の進化先を見比べながら悩んでいた。


【九尾鳳凰狐】


【九尾氷獣狐】


【九尾四龍狐】


どれも今までのナギアとは違う能力を持っている。


「うーん……どれも強そうだけど……」


ナギサは何度もステータスを確認する。


特に【九尾鳳凰狐】と【九尾四龍狐】。


二つの進化先を見比べながら考えていた。


そして――。


しばらく悩んだ末、ナギサは一つの進化先に決めた。


「よし! 決めたわ!」


ナギサはナギアへ視線を向ける。


「ナギア、【九尾四龍狐】に進化!」


その瞬間――。


ナギアの身体が眩い光に包まれた。


光は次第に強くなり、その姿が変わり始める。


そして――。


進化を終えたナギアが姿を現した。


九つの尾を持ち、四龍の力を宿した神秘的な姿。


以前のナギアとは明らかに違う、威厳のある雰囲気を放っていた。


「うわぁ……凄い……」


ナギサは進化したナギアを見て驚いた。


その姿はまるで――。


九尾狐の長ドラゼヴァニムの後継者を思わせるほどだった。


「ナギア……本当に凄い姿になったわね」


ナギアも嬉しそうにナギサへ近付いてきた。


一方――。


バレグもファルギマの進化先を確認していた。


すると――。


「えっ!? まさか進化先が四つもあるとは……」


バレグも驚きを隠せなかった。


表示された四種類の進化先。


バレグは、それぞれのステータスを確認していく。


――――――――――――――――――――――


【氷天翼虎】(シヴァーエンジェルタイガー)


HP500 MP614

腕力412 体力460

俊敏586 器用327

知力406 精神328


スキル:

【氷羽刺】【氷天翼の纏い】

【フリーズショットガン】

【零氷障壁】【氷天翼の癒し】

【氷結晶爆裂弾】【斬影牙突氷】


奥義:【氷天翼牙狼乱舞天獄殺】


――――――――――――――――――――――


【氷龍虎】(シヴァータイガードラゴン)


HP586 MP452

腕力600 体力437

俊敏546 器用379

知力308 精神326


スキル:

【氷斬龍爪】【氷龍の纏い】

【フリーズストーム】【零氷龍障壁】

【零氷龍砲】【斬影牙突龍爪】


奥義:【氷龍牙狼乱舞修羅滅殺】


――――――――――――――――――――――


【氷鵺虎】(シヴァータイガーヌエ)


HP525 MP510

腕力586 体力426

俊敏600 器用346

知力307 精神400


スキル:

【氷羽爪】【氷大盾】

【氷の蛇眼】【零結氷壁】

【氷結零弾丸】【斬影虚空氷砲】


奥義:【氷鵺牙狼天空神速滅殺】


――――――――――――――――――――――


【氷帝虎】(シヴァーエンペラータイガー)


HP600 MP564

腕力597 体力502

俊敏614 器用427

知力308 精神335


スキル:

【氷連撃爪】【氷帝の大盾】

【トルネードブリザードガン】

【氷帝障壁】【氷帝の癒し】

【零氷帝虚空砲】【斬影牙突流水斬】


奥義:【氷帝獣牙狼滅殺乱舞瞬獄殺】


――――――――――――――――――――――


「これは……どれも凄いですね……」


バレグは四種類の進化先を確認しながら考えていた。


特に【氷鵺虎】と【氷帝虎】。


どちらも魅力的な進化先だった。


「うーん……悩みますね……」


それぞれのステータスやスキルを何度も見比べる。


そして――。


しばらく悩んだ末、バレグも進化先を決めた。


「決めました!」


バレグはファルギマへ視線を向ける。


「ファルギマ、【氷帝虎】に進化!」


その瞬間――。


ファルギマの全身が眩い光に包まれた。


光の中で、その姿が変わり始める。


そして――。


進化を終えたファルギマが姿を現した。


白銀の毛並みに、全身を覆う青く輝く氷晶。


頭部には王冠を思わせる氷晶が広がり、氷の皇帝と呼ぶに相応しい威厳を放っていた。


「ガォォォン!!」


ファルギマが大きな雄叫びを上げる。


その姿を見たバレグは、驚きを隠せなかった。


「凄い……これが【氷帝虎】ですか……」


こうして――。


ナギアとファルギマは、それぞれ新たな進化を遂げた。


だが――。


それだけでは終わらなかった。


すると突然――。


ドラゼヴァニムの身体から、一つの丸い光が現れた。


「えっ?」


ナギサが驚いていると、その光がゆっくりと近付いてくる。


そして――。


丸い光がナギサの体内へ入っていった。


「なっ!? 何これ!?」


その瞬間――。


ナギサの身体が光り輝き始めた。


さらに――。


進化したナギアも、同じように光り輝き始める。


「ナギアまで!?」


突然の出来事に驚くナギサ。


一方――。


サーベルシドからも、同じように丸い光が現れた。


その光はバレグへ近付き――。


バレグの体内へと入り込んだ。


「えっ!? 私にも!?」


すると――。


バレグの身体が光り輝き始める。


そして、進化したファルギマも同じように光り輝き始めた。


「ファルギマまで……一体何が……」


ナギサとナギア。


バレグとファルギマ。


二組に同じ現象が起こっていた。


二人は驚きながらも、その光を見つめていた。


そして――。


ドラゼヴァニムがナギサへ声を掛ける。


『ナギサよ。これを受け取るがよい』


すると――。


ドラゼヴァニムが一振りの剣を差し出した。


ナギサはその剣を受け取る。


【九尾黄龍剣】。


「ドラゼヴァニム様、この剣は一体?」


ナギサの問いに、ドラゼヴァニムが答えた。


『その剣は我が九尾狐族に伝わる秘剣。別名【共鳴の剣】とも呼ばれる、生きている剣なのだよ』


「生きている剣…………?」


ナギサは驚きながら、手にしている【九尾黄龍剣】を見つめた。


すると――。


ドラゼヴァニムが説明を続けた。


『左様。その剣には持ち主の想いが伝わるのだよ』


「私の想いが……剣に?」


『そうだ。ナギサの想いが剣へ伝わり、その想いに剣が応えた時、互いに共鳴する』


そして――。


『その共鳴が起きた時、ナギサと剣は一体となるのだよ』


「私と剣が……一体に?」


ナギサは思いもよらない説明に驚きを隠せなかった。


一方――。


サーベルシドもバレグへ声を掛けた。


『バレグよ。こちらを受け取るがよい』


サーベルシドが差し出したのは――。


拳に装備する格闘武器だった。


【氷皇帝グロー】。


バレグはその武器を受け取る。


「サーベルシド様、このグローは一体何なのですか?」


すると――。


サーベルシドが答えた。


『そのグローもまた、生きている武器なのだよ』


「えっ!? 生きている武器!?」


バレグは驚きながら【氷皇帝グロー】を確認した。


『左様。バレグの想いがそのグローへ伝わり、互いの力が共鳴することで一体となるのだよ』


「私の想いが……このグローに伝わるんですか?」


『そうだ。だが、その意味はこれから君自身が知ることになるだろう』


バレグは、授けられた【氷皇帝グロー】を見つめていた。


ナギサも同じだった。


生きている武器。


そして――。


持ち主との共鳴。


二人は、その本当の意味をまだ理解していなかった。


すると――。


ドラゼヴァニムとサーベルシドが、最後に二人へ言葉を告げた。


『ナギサよ。今はまだ厳しいだろうが、我は北エリアで待っているぞ!』


続いて――。


『バレグよ。いつか東エリアで待っているぞ!』


ナギサとバレグは、突然告げられた言葉に驚いた。


そして――。


二体の長が同時に声を響かせた。


『『そして、この戦いに勝つのだ! 己の試練を乗り越えるのだ!』』


その言葉が告げられた直後――。


停まっていた全ての時間が、再び動き出した。


オーラカルバード。


空中に留まっていた砂埃。


先ほどまで静まり返っていた戦場。


その全てが動き始める。


そして――。


「ゴガァァァァァァァァァァ!!」


オーラカルバードの雄叫びが響き渡った。


時間停止前に従魔たちへ仕掛けていた攻撃が、再び迫ってくる。


だが――。


ナギサとバレグは、迫り来る攻撃の軌道を瞬時に捉えていた。


どこから攻撃が来るのか。


どうすれば従魔たちを護れるのか。


二人は迷うことなく、瞬時に判断した。


「ナギア【青龍盾】!!」


「ファルギマ【氷帝の大盾】!!」


二人の指示に応え、ナギアとファルギマが防御スキルを発動する。


直後――。


ドゴォォォォォォーン!!


【青龍盾】と【氷帝の大盾】が、オーラカルバードの攻撃を防いだ。


凄まじい衝撃が周囲へ広がる。


だが――。


二体の防御は破られなかった。


そして――。


「ファルギマ【氷帝の癒し】!!」


「ガォォォン!!」


ファルギマが【氷帝の癒し】を発動した。


眩い光が周囲へ広がり、ナギサとバレグ、そして六体の従魔たちを包み込んでいく。


傷付いていた身体が、急速に癒えていく。


そして――。


ナギサ、バレグ、従魔たちの傷が完全に回復した。


「よし! これなら戦えるわ!」


「そうですね。ナギサ!」


二人はオーラカルバードを見つめる。


その表情には、先ほどまでの迷いは無かった。


迫り来る攻撃。


周囲の状況。


従魔たちの位置。


その全てを瞬時に把握し、迷うことなく判断していた。


だが――。


ナギサとバレグは、自分たちが極限の集中状態に入っていることに気付いていなかった。


二人の意識は、目の前の戦いだけに向けられていた。


そして――。


ナギサとバレグは、オーラカルバードの動きを見据えながら、次の作戦を考えていた。


今の自分たちに何が出来るのか。


どうすれば、この強敵を倒せるのか。


二人は互いに視線を交わす。


「バレグ、次は私たちが前に出るわ」


「分かりました。ナギサ」


「私がヤツの注意を引き付ける。その隙にお願いね」


「はい。必ず繋げてみせます」


そして――。


二人はそれぞれナギアとファルギマへ作戦を伝えた。


ナギアとファルギマも、主の意図を理解したように応える。


二人の狙いは一つ。


自分たちが攻撃の突破口を開き、最後の一撃を大切な従魔たちへ託すことだった。


「バレグ、行くわよ!」


「はい! ナギサ!」


ナギサは武器を【九尾黄龍剣】へ装備チェンジした。


一方――。


バレグも【氷皇帝グロー】へ装備を切り替える。


二人は、それぞれの武器を構えた。


ナギサはオーラカルバードを見つめながら考えていた。


(私が囮になって、ナギアが決める)


(たとえ私が犠牲になってでも……必ず決める)


ナギサは自分の従魔たちを想う。


レナミ。


ナギア。


ヴィージェル。


自分を護ろうと、指示もしていないのに前へ出てくれた大切な仲間たち。


(今度は私が護る番よ……)


(お願い……従魔たちと共に戦う力を貸して、九尾黄龍剣)


一方――。


バレグも【氷皇帝グロー】を装備しながら考えていた。


(サーベルシド様は、このグローには意思があると言っていた)


(私はファルギマに全てを託した)


(たとえ自分がどうなっても構わない)


バレグはファルギマたちを見つめる。


ファルギマ。


ミュラス。


アミールス。


自分を護るために、自らの意思で立ち向かってくれた従魔たち。


(従魔たちを護る……その覚悟は変わらない)


(ヤツに気付かれないように戦い、必ずファルギマへ繋げる)


(氷皇帝グロー……私に力を貸してほしい)


二人が考えていたこと。


それは――。


大切な従魔たちを護るためなら、自分の身を危険にさらすことも厭わないという覚悟だった。


その時――。


二人の脳裏に、以前トレンから告げられた言葉が蘇る。


「でも、それとは別に目には見えない本当の試練が来る時もある。これはナギサとバレグ自身にしか分からない事だ。いつかその時が来たら、今日の話を思い出してくれ。これが俺からのアドバイスだ。」


あの時――。


ナギサとバレグは、トレンの言葉を理解したつもりだった。


だが今。


圧倒的な強敵を前にして、二人はようやくその言葉の意味を理解し始めていた。


自分たちを護ろうと、傷付きながらも立ち向かってくれた従魔たち。


その姿を見た時、二人は心に決めた。


今度は自分たちが護る番だと。


たとえ自分の身が危険にさらされようとも、大切な従魔たちを護り抜く。


その覚悟を、最後まで貫けるのか。


それこそが――。


トレンの言っていた、目には見えない本当の試練だった。


そして今、ナギサとバレグは、その試練に自分たちの意思で立ち向かおうとしていた。


だが――。


二人はまだ気付いていなかった。


その揺るぎない想いに応えるように、【九尾黄龍剣】と【氷皇帝グロー】が僅かに光り始めていたことに。


そして――。


ナギサが【九尾黄龍剣】を構える。


「行くわよ!! 私の声に応えよ、九尾黄龍剣!」


ナギサは、全ての想いを込めて叫んだ。


「私の全てを捧げる! 力を貸して、九尾黄龍剣!!」


その瞬間――。


【九尾黄龍剣】がナギサの声に反応した。


眩い光のオーラが放たれ、ナギサの全身を包み込んでいく。


「なっ!?」


ナギサは突然の光に驚いた。


だが――。


今は考えている場合ではなかった。


一方――。


バレグも【氷皇帝グロー】を構える。


「我が声に応えよ! 氷皇帝グロー!」


そして――。


「我が全てを対価に捧げ、汝の力を我に捧げよ!!」


その瞬間――。


【氷皇帝グロー】から凄まじい蒼いオーラが放たれた。


蒼いオーラがバレグの全身を包み込んでいく。


「これは……!」


バレグも突然の出来事に驚く。


だが――。


その視線はオーラカルバードから離れなかった。


二人の想いに応えるかのように――。


【九尾黄龍剣】と【氷皇帝グロー】が、それぞれ眩いオーラを放っていた。


だが――。


ナギサとバレグは、まだ知らなかった。


生きている武器が持つ、本当の力を。


そして――。


ナギサが動いた。


ドシュッ!!


凄まじい速度でオーラカルバードへ接近する。


その動きは、まるで自分の存在を敵へ知らせるかのようだった。


「ゴガァァァァァァ!!」


オーラカルバードがナギサへ視線を向ける。


その瞬間――。


ナギサは、敵の注意が自分へ向いたことを確信した。


(よし……私を見ている!)


だが――。


オーラカルバードの視線を引き付けるということは、自分自身が攻撃の標的になるということでもあった。


一瞬でも判断を誤れば、致命傷を受けるかもしれない。


それでも――。


ナギサは足を止めなかった。


(ここで私が退いたら、ナギアたちが危険にさらされる!)


(だから……絶対に退かない!)


ナギサは【九尾黄龍剣】の鞘を押さえ、柄へ手を掛ける。


「喰らいなさい! 【居合抜刀九尾一閃】!!」


その瞬間――。


ナギサが【九尾黄龍剣】を一気に抜き放った。


ズバァァァァァァン!!


強烈な一閃がオーラカルバードを捉えた。


「ゴガァァァァァァ!!」


オーラカルバードの左腕が斬り落とされた。


だが――。


ナギサの役目は、それだけではなかった。


彼女が敵の注意を引き付けたことで、オーラカルバードには大きな隙が生まれていた。


そして――。


その死角には、すでにバレグが回り込んでいた。


(ナギサが作ってくれた、この一瞬……!)


バレグはオーラカルバードの右腕へ狙いを定める。


(必ず繋げる! ファルギマたちを護るためにも!)


「死角からの零距離! 【氷皇帝衝撃覇】!!」


バレグが【氷皇帝グロー】を装備した拳を突き出した。


その瞬間――。


ドゴォォォォォォーン!!


凄まじい衝撃が、オーラカルバードの右腕へ直撃する。


「ゴガァァァァァァ!!」


強烈な衝撃によって、右腕が粉砕された。


左腕を失い――。


さらに右腕まで失ったオーラカルバード。


だが――。


ナギサとバレグの狙いは、最初から自分たちだけで決着をつけることではなかった。


二人が危険を承知で前に出たのは、大切な従魔たちが攻撃するための突破口を開くため。


そして――。


今、その機会が訪れた。


「ファルギマ! 奥義【氷帝獣牙狼滅殺乱舞瞬獄殺】!!」


「ナギア! 奥義【四龍狐修羅乱舞瞬獄殺】!!」


二人の指示が同時に響き渡った。


その瞬間――。


ファルギマの姿が消えた。


いや――。


消えたのではない。


あまりにも速過ぎて、姿を捉えることが出来なかったのである。


次の瞬間――。


ズバァァァァン!!


オーラカルバードの身体に、鋭い爪による斬撃が走った。


さらに――。


ズバッ!!


ズバババババッ!!


四方八方から、ファルギマの爪による連撃が襲い掛かる。


右。


左。


背後。


そして正面。


オーラカルバードが反応するよりも早く、ファルギマは次々と攻撃を仕掛けていた。


「ゴガァァァァァァ!!」


オーラカルバードが苦しそうな雄叫びを上げる。


だが――。


ファルギマの攻撃は止まらない。


高速で移動しながら、鋭い爪でオーラカルバードを斬り刻み続ける。


そして――。


ファルギマが一瞬でオーラカルバードの下へ回り込んだ。


「ガォォォォォォン!!」


強烈な蹴り上げ。


ドゴォォォォォォーン!!


オーラカルバードの巨体が、凄まじい勢いで上空へ吹き飛ばされた。


そして――。


その上空には、すでにナギアが待ち構えていた。


ナギアは空中で九つの尾を大きく広げる。


すると――。


九つの尾が眩い光を放ち始めた。


その光の中で、四龍の力がナギアの尾へと憑依していく。


青龍。


白龍。


玄龍。


朱龍。


四龍の姿が九つの尾から浮かび上がり、尾と一体となって巨大な龍の姿を形作っていく。


だが――。


四龍はナギアの尾から離れることなく、その長い身体を自在に動かしていた。


そして――。


四龍が一斉に動き出した。


青龍が右から。


白龍が左から。


玄龍が背後から。


そして、朱龍が正面から。


ナギアの九つの尾と繋がった四龍が、オーラカルバードを四方から取り囲む。


次の瞬間――。


ズバァァァァン!!


ドゴォォォォン!!


四龍による猛烈な連撃が始まった。


それぞれの龍が長い身体をしならせ、オーラカルバードへ次々と攻撃を叩き込んでいく。


「ゴガァァァァァァ!!」


オーラカルバードは逃れようとする。


だが――。


四方向から襲い掛かる四龍の連撃によって、身動きを取ることが出来なかった。


そして――。


ナギアの九つの尾と繋がった四龍が、一斉に動きを止めた。


それぞれの龍の口元へ、凄まじい力が収束し始める。


四つの虚空龍砲。


四龍はオーラカルバードへ狙いを定めた。


次の瞬間――。


ドゴォォォォォォォォォォン!!


四龍の口から、四つの虚空龍砲が一斉に放たれた。


四方向から放たれた攻撃が、オーラカルバードへ直撃する。


「ゴガァァァァァァァァァァ!!」


凄まじい絶叫が山岳へ響き渡った。


四つの虚空龍砲に飲み込まれたオーラカルバード。


その姿は――。


強烈な光の中へ消えていった。


そして――。


跡形もなく消滅した。


【黎翼霊雷鳥オーラカルバード】。


ついに殲滅したのである。


ナギサとバレグは、オーラカルバードが消滅した場所を見つめていた。


そして――。


戦いが終わった、その瞬間。


二人はその場に膝をついた。


「……っ」


「くっ……」


極限まで高めていた集中力が途切れ、二人は立っていることさえ難しくなっていた。


先ほどまで、瞬時に状況を判断し、迷うことなく攻撃を繰り出していた二人。


だが――。


戦闘が終わった途端、全身から力が抜けてしまったのである。


ナギサとバレグは、そのまま地面へ腰を下ろした。


しばらくして――。


バレグが静かに口を開いた。


「勝てましたね。ナギサ」


「ええ、みんなの協力で勝てたわ。バレグ」


二人は、共に戦ってくれた従魔たちを見つめた。


ナギア。


ファルギマ。


そして、レナミ、ヴィージェル、ミュラス、アミールス。


六体の従魔たちも、主の傍へ集まって来た。


バレグは、改めて今回の戦いを振り返る。


「改めて、ボス級にはギリギリ勝てましたけど……トレンの言っていた目には見えない本当の試練。その意味を、ようやく理解出来た気がします」


ナギサも頷いた。


「そうね。従魔たちを護るって決めた以上、最後までその覚悟を貫かなきゃいけないのよね」


そして――。


ナギサは、傍にいる従魔たちへ視線を向ける。


「私たちはまだまだ未熟ね。そして、この先にはもっと強い敵がいるはずだから、もっと鍛えないとね。バレグ」


「そうですね。ナギサ。今は動けない状態ですから、休息してからナナたちに合流しましょう」


「そうね。そうしましょう。バレグ」


こうして――。


激闘に勝利した二人は、ゆっくりと休息を取るのであった。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


今回は、ナギアとファルギマの新たな進化、そしてナギサとバレグに授けられた二つの武器が登場しました。


九尾狐の長ドラゼヴァニムと氷獣虎族の長サーベルシドから託された【九尾黄龍剣】と【氷皇帝グロー】。


二人の想いに応えるように反応した武器には、まだ明かされていない秘密が残されています。


そして、トレンが以前伝えていた「目には見えない本当の試練」。


ナギサとバレグは、大切な従魔たちを護りたいという想いを貫き、強敵オーラカルバードとの戦いに勝利しました。


この経験を経て、二人と従魔たちの絆は、さらに深まったのではないでしょうか。


最後になりますが、ブックマークや評価、ご感想をいただけますと、今後の執筆の励みになります。


これからも『VRMMOでスローライフするつもりがなぜかソロ最強プレイヤー?』をよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。