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VRMMOでスローライフするつもりがなぜかソロ最強プレイヤー?  作者: うさだデジ子
第1エリア〜始まりの街・エリアボス編

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308/315

EPISODE.307話〘新たな氷の精霊たち――八人を繋ぐ不思議な共鳴〙

いつもお読みいただきありがとうございます。


今回は、突然契約を望んできた氷の精霊たちの想いと、その共鳴から新たな出来事へ繋がっていくお話です。


そして、八人それぞれに新たな変化が訪れていきます。


それでは、EPISODE.307話をお楽しみください。

俺たちは目の前に現れた六体の氷の精霊を見ながら、しばらく言葉を失っていた。


まさか特殊イベントの話から、突然契約する流れになるとは思ってもいなかった。


俺は六体の氷の精霊を見たあと、シヴァーレナス様へ視線を向ける。


「契約する前に一つ聞いていいかな?」


「何かしら?」


「どうして、この六体は俺たちと契約したいんだ?」


俺の質問を聞いたシヴァーレナス様は、六体の氷の精霊へ視線を向けた。


「そうね。それを知ってから契約したいと思うのは当然ね」


シヴァーレナス様は再び俺たちを見る。


「この子たちは、貴方たち六人の覚悟と想いに共鳴したのよ」


「共鳴?」


「ええ。精霊たちは姿が見えなくても、人や精霊たちの想いを感じ取ることがあるの。そして純粋な想いや強い決意に共鳴することもあるわ」


その言葉を聞いて、俺は以前にも似たような話を聞いたことを思い出した。


精霊たちは、俺たちから見えていないだけで、こちらを見ていることがある。


そして想いや決意に共鳴し、契約したいと自ら望むこともある。


だが――


シヴァーレナス様は、さらに話を続けた。


「ただ、それだけではないのよ」


「それだけじゃない?」


俺とリョウは顔を見合わせる。


するとシヴァーレナス様は、ヴィーシュとヴェイルガーへ視線を向けた。


「トレンのヴィーシュ。そしてリョウのヴェイルガー」


「「え?」」


「この子たちは、二体からグラディア山岳に関係する気配を感じ取っているのよ」


「グラディア山岳……?」


俺は思わず聞き返した。


グラディア山岳。


以前、新たなエリアとして開放された場所ではある。


だが俺とリョウは、開放したエリアの全てを詳しく探索しているわけではない。


グラディア山岳も、その一つだった。


「ヴィーシュとヴェイルガーに、何かあるってことなのか?」


「それは、貴方たち自身で確かめた方がいいわ」


シヴァーレナス様は、それ以上の答えを教えるつもりはないようだった。


俺とリョウは再び顔を見合わせる。


「また何かありそうっすね……」


「俺もそう思うよ」


俺たちは六体の氷の精霊を見る。


六体は真剣な表情で俺たちを見つめていた。


本当に俺たちと契約したいらしい。


「そこまで俺たちと契約したいと思ってくれているなら、断る理由はないな」


「そうっすね」


ナギサ、バレグ、サンオン、バウトも同じようだった。


六体の氷の精霊へ確認すると、それぞれ嬉しそうに頷いた。


そして――


「「「「「「【テイム】」」」」」」


六人は同時に【テイム】を発動した。


次の瞬間、六体の氷の精霊が淡い光に包まれる。


俺たちは新たに六体の氷の精霊と契約することになった。


そして、それぞれ名前を付ける。


俺が契約した氷の精霊は【ティファラ】。


リョウは【ハルレナ】。


ナギサは【ヴィージェル】。


バレグは【アミールス】。


サンオンは【ミシュエル】。


バウトは【マリスレム】と名付けた。


俺たちが六体との契約を終えた直後――


シヴァーレナス様が、何かを感じ取ったように少し表情を変えた。


「……やっぱり、あの子たちも共鳴したわね」


「あの子たち?」


ナナとマイが不思議そうにシヴァーレナス様を見る。


「貴方たち二人が見つけた、二つの氷の精霊の卵よ」


「「え?」」


「今ここにはいなくても、同じ氷の精霊なの。姿が見えないだけで、精霊たちは互いの想いを感じ取り、共鳴することがあるわ。この子たちが六人との契約を望んだ想いに、あの二つの卵の中にいる子たちも共鳴しているのよ」


ナナとマイは顔を見合わせる。


するとシヴァーレナス様が、二人へ告げた。


「ナナ、マイ。一度ホームへ戻ってあげなさい」


「ホームへ?」


「ええ」


ナナとマイは少し考えたあと、頷いた。


「分かりました。一度戻ってみます」


「私も卵の様子が気になるわ」


ナギサ、バレグ、サンオン、バウトも二人と一緒に向かうことになった。


俺とリョウは、その間ここで待つつもりだった。


「それじゃ、俺とリョウはここで――」


「トレン、リョウ。貴方たち二人も一緒に行きなさい」


「「え?」」


俺とリョウは思わずシヴァーレナス様を見る。


「自分たちもっすか?」


「ええ」


「何かあるのか?」


「行けば分かるわ」


シヴァーレナス様は、それ以上何も言わなかった。


俺とリョウは戸惑いながらも了承する。


「分かった。一緒に行くよ」


「自分も行くっす」


「私はもう少しここにいるわ」


シヴァーレナス様がそう言うと、ファルギマが嬉しそうに傍へ近づき、身体を擦り寄せていた。


本当にシヴァーレナス様へ懐いているらしい。


すると――


俺、リョウ、サンオン、バウトの闇の精霊たちが、何かを訴えるように俺たちを見ていた。


俺たちが首を傾げていると、シヴァーレナス様が微笑む。


「この子たちが、ナナとマイのホームまで送ってあげると言っているわ」


「送る?」


ナナがそう聞き返した直後――


レイネス、レヴァリィ、ミューローズ、ルーレイの四体が力を使った。


俺たちの目の前に空間が広がり、【ワープ】が出現する。


「「「「え?……ええええぇぇぇぇ〜!?」」」」


ナナ、マイ、ナギサ、バレグの四人が一斉に声を上げた。


一方、バウトとサンオンは驚いた様子を見せていない。


ナナは二人の反応に気づいた。


「ちょっと待って。バウトとサンオンは知ってるの?」


「闇の精霊の里で知りましたから」


バウトがそう答える。


俺が説明しようとしたその時――


「俺から説明を――」


「私から説明するわ」


シヴァーレナス様が俺の言葉を遮るように口を開いた。


「【ワープ】は、精霊の中でも闇の精霊たちが持つ特別な力なのよ。とても珍しい力だから、むやみに人前で見せるものではないわ」


四人は目の前にあるワープと闇の精霊たちを交互に見る。


するとシヴァーレナス様は、今度は俺が持っている杖へ視線を向けた。


「ただし、精霊以外にも極稀に同じ力が宿ることがあるわ」


「精霊以外にも?」


ナギサが不思議そうに聞く。


「ええ。例えば――トレンの杖ね」


「「「「え!?」」」」


今度は四人の視線が一斉に俺へ向けられた。


「トレンも【ワープ】を使えるの!?」


ナナが驚きながら聞いてくる。


「正確には、この杖だよ」


俺は杖を四人へ見せた。


シヴァーレナス様が、その杖を見ながら説明する。


「その杖には虹色結晶が使われているわ。その結晶に宿った力によって、【ワープ】を使えるようになっているのね」


俺は頷いた。


「前に、指名依頼の時に手に入れた虹色結晶を使って製作した杖なんだ」


「そんなこと今まで聞いてないんだけど」


ナナが俺を見る。


俺は少し苦笑した。


「あの時は知られたく無かったんだ。【ワープ】はかなり希少なスキルだから、むやみに話さない方がいいと思っていたんだ」


四人は俺の説明を聞き、ようやく納得したようだった。


「なるほどね……それなら話さなかった理由は分かるわ」


マイがそう答えた。


説明を終えた俺たちは、レイネス、レヴァリィ、ミューローズ、ルーレイが作った【ワープ】へ入る。


次の瞬間――


俺たちは南エリア・パラエムの街にある、ナナとマイのホームへ移動した。


ホームへ到着すると、ナナとマイはすぐに【氷の精霊の卵】がある場所へ向かう。


俺たち六人も、そのあとについて行った。


そして【水臨樹種】を植えた場所へ到着した時――


俺たちは足を止めた。


そこには――


見覚えのない二体の従魔がいた。


「……え?」


ナナとマイが二体を見つめる。


すると二体はナナとマイに気づき、嬉しそうに二人へ駆け寄ってきた。


そして、そのまま二人へ抱きつくように身体を寄せ、何かを訴えている。


「え? ちょっと待って……」


「もしかして……」


二人が戸惑っていると、エルマがナナとマイへ状況を伝えた。


二体は――


少し前に、二つの【氷の精霊の卵】から孵化したばかりだった。


「「「「「「「「ええええぇぇぇぇ〜!?」」」」」」」」


俺たち八人は揃って声を上げた。


「もう孵化してたの!?」


ナナが驚きながら二体を見る。


マイも同じように驚いていた。


二体はそんな二人の反応を気にする様子もなく、嬉しそうに身体を寄せている。


ナナとマイは二体を優しく撫でた。


そして――


ナナは自分の氷の精霊を【パレア】。


マイは【アスム】と名付けた。


「これからよろしくね。パレア」


「よろしくね。アスム」


二体は嬉しそうに頷いた。


こうしてナナとマイにも、新たな氷の精霊が加わることになった。


俺たちは二体を連れ、一度俺たちのホームへ戻ることにした。


するとミューローズとルーレイが前へ出た。


ミューローズとルーレイが【ワープ】を発動する。


俺たちは再びワープへ入り、俺たちのホームへ戻った。


そして全員で【氷臨樹】のところへ向かう。


そこにはシヴァーレナス様が待っていた。


ファルギマも変わらずシヴァーレナス様の傍にいて、嬉しそうにしている。


シヴァーレナス様は、ナナとマイの傍にいる二体を見ると静かに微笑んだ。


「やっぱり孵化したわね」


「シヴァーレナス様、分かっていたんですね」


ナナがそう言うと、シヴァーレナス様は微笑んだまま二体を見つめていた。


こうして――


俺たち八人の前に、八体の氷の精霊が揃った。


俺のティファラ。


リョウのハルレナ。


ナナのパレア。


マイのアスム。


ナギサのヴィージェル。


バレグのアミールス。


サンオンのミシュエル。


バウトのマリスレム。


「せっかくだし、八体のステータスを確認してみるか」


「そうっすね」


俺はまず、ティファラとハルレナのステータスを確認した。


――――――――――――――――――――――


従魔:【ティファラ】 契約者:トレン

従魔:【ハルレナ】 契約者:リョウ

――――――――――――――――――――――

種族:【シヴァ】

基礎Lv15


HP221 MP246

腕力176 体力158

俊敏193 器用160

知力200 精神186


スキル:

【氷斬連撃】【氷剣】

【氷霧陽炎】【氷斬空刃】

【氷抜刀一閃】【氷水大盾】

【氷水障壁】【氷水流水】


奥義:【ブリザードハリケーンストーム】


加護:【氷の大精霊シヴァーレナスの加護】


――――――――――――――――――――――


「なるほど……」


俺とリョウの二体は、攻撃だけではなく防御系のスキルも持っている。


続いてナナとマイのパレアとアスムを確認する。


――――――――――――――――――――――


従魔:【パレア】 契約者:ナナ

従魔:【アスム】 契約者:マイ

――――――――――――――――――――――

種族:【シヴァ】

基礎Lv15


HP190 MP264

腕力165 体力146

俊敏200 器用159

知力246 精神170


スキル:

【氷魔術・極】【水魔術・極】

【氷連撃弾】【氷大盾】

【氷の息吹】【氷の纏い】

【氷水障壁】【水大盾】


奥義:【ウォールダストブリザーストリーム】


加護:【氷の大精霊シヴァーレナスの加護】


――――――――――――――――――――――


「……こっちは魔術寄りだな」


「知力とMPも高いっすね」


ナナとマイの二体は、遠距離攻撃と支援に向いているように見える。


次に、ナギサとバレグのヴィージェルとアミールスを確認する。


――――――――――――――――――――――


従魔:【ヴィージェル】 契約者:ナギサ

従魔:【アミールス】 契約者:バレグ

――――――――――――――――――――――

種族:【シヴァ】

基礎Lv15


HP200 MP201

腕力183 体力186

俊敏220 器用176

知力155 精神154


スキル:

【水剣】【氷剣】

【氷水衝撃覇】【氷斬空刃】

【氷抜刀一閃】【水抜刀一閃】

【氷水牙突刃】【氷水虚空拳】


奥義【氷水修羅煉獄殺】


加護【氷の大精霊シヴァーレナスの加護】


――――――――――――――――――――――


「俊敏が高いな」


ナギサとバレグの二体は、速度を活かして一気に仕留める戦い方に向いているようだった。


そして最後に、サンオンとバウトのミシュエルとマリスレムを確認する。


――――――――――――――――――――――


従魔:【ミシュエル】 契約者:サンオン

従魔:【マリスレム】 契約者:バウト


――――――――――――――――――――――

種族:【シヴァ】

基礎Lv15


HP200 MP191

腕力185 体力175

俊敏186 器用150

知力179 精神146


スキル:

【氷斬連撃抜刀】【氷剣】

【氷霧朧月】【氷斬虚空剣】

【氷水抜刀一閃】【氷大盾】

【氷障壁】【氷流水壁】


奥義【氷斬瞬獄滅殺斬鉄剣】


加護:【氷の大精霊シヴァーレナスの加護】


――――――――――――――――――――――


「こっちは中距離を意識したバランス型みたいだな」


八体すべてのステータスを確認し終えた俺たちは、改めて画面を見比べた。


全員が同じ【シヴァ】。


基礎Lvも同じ15。


そして全員が【氷の大精霊シヴァーレナスの加護】を持っている。


しかも――


八体すべてがユニークモンスターだった。


だが、それにもかかわらず――


ステータスも違う。


スキルも違う。


奥義まで、それぞれ違っている。


「……同じ【シヴァ】なのに、全部違うぞ」


「しかも四組で特徴が分かれてるっすね」


俺とリョウは、もう一度八体を見る。


俺とリョウは、全体のバランスを考えた従魔編成。


ナナとマイは、遠距離と支援を中心とした従魔編成。


ナギサとバレグは、速度を活かし、一撃で仕留める従魔編成。


サンオンとバウトは、中距離を軸にしたバランス型の従魔編成。


そして今回加わった八体の【シヴァ】は――


まるで、俺たち四組それぞれの従魔編成に合わせたかのように、能力が分かれていた。


「……これ、偶然じゃないよな」


俺がそう呟くと、リョウも真剣な表情で頷いた。


「自分もそう思うっす」


俺たちは八体の【シヴァ】を見つめる。


同じ種族。


同じ基礎Lv。


同じ大精霊の加護。


それなのに、それぞれ異なる能力を持つ八体のユニークモンスター。


この違いが何を意味しているのか――


この時の俺たちには、まだ分からなかったのであった。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


今回は、六体の氷の精霊との契約から始まり、ナナとマイの【氷の精霊の卵】も孵化し、八人それぞれに新たな仲間が加わるお話となりました。


同じ【シヴァ】でありながら、四組それぞれの従魔編成に合わせたように異なるステータスやスキル、奥義を持つ八体。


さらに、ヴィーシュとヴェイルガー、そしてグラディア山岳にも新たな繋がりが見え始めています。


八体の違いが何を意味しているのか、これから少しずつ明らかになっていきます。


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今後とも『VRMMOでスローライフするつもりがなぜかソロ最強プレイヤー?』をよろしくお願いいたします。

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