EPISODE.298話〘六人を集めた本当の理由――始まりの街に訪れる新たな前兆〙
今回も『VRMMOでスローライフするつもりがなぜかソロ最強プレイヤー?』をお読みいただき、ありがとうございます。
今回は現実側から始まり、久しぶりに六人が顔を合わせることになります。
六人が集まった中で、どのような話が交わされていくのか、ぜひ最後まで楽しんでいただければと思います。
それでは、EPISODE.298話をお楽しみください。
翌日――。
俺と西石はいつも通り出社し、それぞれ仕事をこなしていた。
午前中の仕事も順調に進み、俺が書類を確認していた時だった。
すると、受付嬢から内線が入った。
「東条本部長、アポイントを取られているお客様が受付に来られています。」
「俺にですか? 分かりました。すぐ向かいます。」
電話を切った俺は首を傾げた。
(誰だろうな……。)
確認していた書類を置き、俺は受付へ向かった。
そして受付へ到着すると、そこにいた二人の姿を見て思わず驚いた。
「井澤社長、それに馬場さん。」
そこにいたのは、井澤渚社長と馬場蓮仁だった。
「突然すみません、東条本部長。」
「いえ、大丈夫ですよ。それで今日はどうされたんですか?」
俺が尋ねると、井澤社長は今回ここへ来た理由を簡単に説明してくれた。
話を聞いた俺は、その内容が俺だけで判断出来るものではないと思い、受付嬢へ声を掛ける。
「申し訳ないけど、専務に連絡してもらえるかな? 井澤社長が案件の相談で来られていると伝えてほしい。」
「分かりました。」
受付嬢が専務室へ連絡すると、しばらくして返事が来た。
「東条本部長、専務から専務室へ来て下さいとの事です。」
「ありがとう。」
俺は井澤社長と馬場さんへ視線を向けた。
「それでは、専務室へ行きましょう。」
二人は頷き、俺たちは専務室へ向かった。
専務室へ到着すると、俺は秘書へ事情を説明した。
秘書が専務へ確認を取ると、そのまま俺たちを中へ案内してくれた。
「失礼します。」
専務室へ入ると、専務が俺たちへ視線を向けた。
「東条、話は聞いている。それで井澤社長、本日はどのような案件でしょうか?」
「はい。今回、ある大型プロジェクトについてご相談に伺いました。」
井澤社長はそう話すと、今回の案件について説明を始めた。
そして内容を聞いた俺と専務は、思わず驚きを隠せなかった。
今回の案件は――。
井澤グループと七瀬グループによる合同大型プロジェクトだった。
さらに井澤社長から、一つの条件が伝えられる。
「今回のプロジェクトには、東条本部長と西石部長にも参加して頂きたいと考えています。」
「俺と西石部長がですか?」
俺が聞き返すと、井澤社長は頷いた。
専務はしばらく考えたあと、俺へ視線を向ける。
「分かりました。東条本部長、西石部長には今回のプロジェクトへ参加してもらう。」
「分かりました。」
「社長への報告はこちらでしておく。それと今日は打ち合わせが終わったら、そのまま現地から帰宅して構わない。」
「ありがとうございます。」
こうして俺と西石は、井澤グループと七瀬グループによる合同大型プロジェクトへ参加する事になった。
その後、井澤社長から今日の予定について説明を受ける。
「今日の14時に、七瀬社長たちとも一度集まって話をしたいと思っています。」
「14時ですね。分かりました。」
「時間になりましたら、私の秘書をこちらへ迎えに向かわせます。」
「分かりました。お願いします。」
話を終えると、俺は井澤社長と馬場さんを受付まで見送った。
そして二人を見送ったあと、西石のところへ向かう。
「西石部長、ちょっといいか?」
「どうしましたか東条本部長?」
俺は先ほど専務室で決まった大型プロジェクトについて、西石へ説明した。
「井澤グループと七瀬グループの合同大型プロジェクトですか……。」
「ああ。それで俺と西石部長にも参加してほしいそうだ。専務からも参加するように言われている。」
「分かりました。」
「今日の14時に一度集まる事になっている。井澤社長の秘書が迎えに来るそうだ。」
「分かりました。準備しておきます。」
そして午後――。
14時になると、会社の前に一台の車が到着した。
迎えに来てくれたのは、井澤社長の秘書だった。
俺と西石は仕事を終えると、そのまま車へ乗り込んだ。
「それでは向かいます。」
「お願いします。」
車は会社を出発し、しばらく街中を走っていく。
俺は大型プロジェクトについての打ち合わせ場所へ向かっているものだと思っていた。
だが――。
車が到着した場所を見た瞬間、俺はすぐに察した。
(やはりな……。仕事の案件は口実だったんだろうな。)
そこは七瀬社長たちと以前から何度か利用している、いつもの店だった。
俺はそう思いながら西石と一緒に店へ入る。
すると店員さんが俺たちのところへやって来た。
「お待ちしておりました。こちらへどうぞ。」
俺たちは店員さんに案内され、そのまま個室へ向かった。
そして個室へ入ると――。
そこにはナナとマイ。
そしてナギサとバレグが俺たちを待っていた。
「来たわね、二人。待っていたわよ。」
「ナナ、マイ。もしかして今回の件はすでに知っていたのか?」
「私たちも大型案件で集まったのは本当よ。トレン。」
「って事は、マジな案件の会食っすか?」
「とにかく座って下さい。トレン、リョウ。」
俺とリョウは席へ座った。
するとナナが口を開いた。
「さて、久しぶりに六人で揃ったわね。それじゃ乾杯しましょう。」
「わかったよ。」
俺たちはそれぞれ飲み物を手に取った。
「それじゃ乾杯!」
「「「「乾杯!」」」」
俺たちが乾杯を終えると、ナナが話した。
「それじゃここからはフラットで話すよ。」
「それで、ナギサ。俺たちを呼んだ本当の理由は何だ?」
そして俺は店へ到着した時から気になっていた事を続けて聞いた。
「大型案件は口実で、実際はこっちだったのかよ。ナギサ。」
するとナギサは首を横に振った。
「大型案件は本当よ。お父さんにも、あなたの会社に参加をお願いするって話してあるわよ。」
「まじっすか? 本当の大型案件なんすか、あれは。」
リョウが驚きながら尋ねると、バレグが頷いた。
「はい、そうですよ。トレンさんの丁寧なプレゼンも評価していましたから。」
「マジな案件だったのかよ。」
するとマイも話した。
「私たちも、まさか共同プロジェクトの話まで出るとは思ってなかったのよ。」
どうやら大型案件そのものは、本当に仕事の話だったらしい。
俺は改めてナギサへ視線を向ける。
すると先ほどまでとは違い、ナギサとバレグの表情が真剣なものへ変わった。
「実は……始まりの街で、かなり強い敵に遭遇したの。」
「強い敵?」
俺とリョウは思わず顔を見合わせた。
ナナとマイも今回の話は知らなかったようで、驚いた表情を浮かべながら二人を見る。
するとバレグが口を開いた。
「あれから私とナギサは商業ギルドクエストを続けていたら、ギルド長から私たちにある湖の調査をお願いしたいと指名依頼を受けたのです。」
「湖の調査?」
俺が聞き返すと、ナギサが頷いた。
「湖の調査をしていたら、突然戦慄を感じて、直ぐに隠れたの。あの威圧オーラには本当に戦慄したわ。この場所から逃げたいと思ったけど……動いたら殺られると思って、その場から動かなかったのよ。」
ナギサの言葉を聞き、俺たちも表情を引き締めた。
「そんなに強い相手だったのか?」
「ええ。私たち二人で戦える相手じゃないって、すぐに分かったわ。」
バレグも静かに頷いた。
「私たちは相手がその場から離れるまで気配を消して、その場所から動きませんでした。幸い気付かれる事はありませんでしたので、その後すぐに湖から離れました。」
俺たちは黙って二人の話を聞いていく。
「それで、その相手が何だったのか分かったのか?」
俺が尋ねると、バレグが答えた。
「はい。その後、始まりの街へ戻って冒険者ギルド長へ今回の事を報告しました。」
バレグは一度言葉を止める。
そして――。
「冒険者ギルド長から、私たちが遭遇した一体は、あの湖周辺を縄張りにしているエリアボスだと教えて頂きました。」
「「エリアボス!?」」
俺たちは驚きを隠せなかった。
まさかナギサとバレグが、始まりの街でエリアボスに遭遇する事になるとは……。
こうして俺たちは、ナギサとバレグからエリアボス討伐への協力を相談されるのであった。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございます。
今回は現実側から始まり、井澤グループと七瀬グループによる大型合同プロジェクトの話をきっかけに、久しぶりに六人が集まる事になりました。
そして、いつもの店で話を進める中、ナギサとバレグから始まりの街で受けた指名依頼と、湖周辺で遭遇した強敵について明かされました。
さらに、その一体が始まりの街のエリアボスだと判明し、トレンたち四人へ協力を相談するところまで進みました。
久しぶりに六人が揃った中で、始まりの街に新たな動きが見え始める回となりました。
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これからも『VRMMOでスローライフするつもりがなぜかソロ最強プレイヤー?』をよろしくお願いいたします。




