EPISODE.296話〘運営Sideの思惑――予想通りと予想外の衝撃〙
今回も『VRMMOでスローライフするつもりがなぜかソロ最強プレイヤー?』をお読みいただき、ありがとうございます。
今回は、運営Sideのストーリーになります。
普段とは違う視点から描かれる今回の物語を、ぜひ最後まで楽しんでいただければと思います。
それでは、EPISODE.296話をお楽しみください。
―――――――――運営Side―――――――――
オークション終了後――。
運営側では、それぞれのプレイヤーたちが落札、購入したアイテムに、イベントや特殊イベント、チェーンイベントへ繋がる様々な仕掛けを用意していた。
もちろん、トレンが落札したマントにも仕掛けが施されている。
運営本部では、社員たちが大型モニターに映し出されたプレイヤーたちの行動を確認していた。
すると、一人の社員が主任へ報告した。
「主任、トレン、リョウが魔神四天王アイムフィロゼと遭遇しました。」
「予想通りに動いたね。戦闘映像の記録を頼んだよ。」
「了解です。トレン、リョウの動画は再生回数1000万回を超えていますからね。」
社員はそう答えると、戦闘映像の記録を始めた。
すると別の社員が主任へ尋ねた。
「主任。今後のエリアも、単純にレベルを上げれば進めるわけではないんですよね?」
「ああ。レベル上げだけではないからな。」
主任はモニターを見ながら答えた。
「いろいろな条件をイベント、特殊イベント、チェーンイベントなどにして、東西南北エリアに仕掛けているからな。」
「ただ、予想外だったのはトレンとリョウだな。」
「予想外ですか?」
「ああ。あの二人が始まりの街を、あそこまで探し回るとは思っていなかったからな。」
主任はトレンとリョウのこれまでの行動記録を確認した。
「その影響で、一度別のエリアへ進んだプレイヤーたちが始まりの街へ出戻る事も増えていますね。」
「そうだな。トレンとリョウが、いかに先へ進む事だけを考えず、そのエリアに長く滞在しているか分かるよ。」
主任は少し笑みを浮かべながら続けた。
「あの二人は純粋に、その場所を楽しんでくれているからな。」
そして再び、魔神四天王アイムフィロゼとの戦闘へ視線を向けた。
しばらくすると、一人の社員がモニターを確認しながら主任へ報告した。
「主任、トレンが条件をクリアして、闇の大精霊と接触しました。」
「よし。覚醒魔神ヴィグロッガズに進化プログラム導入だ。トレンは例のマントを持っている。ヴィグロッガズとトレンの覚醒化融合を急げ。」
「「了解」」
社員たちは一斉に作業を始めた。
「進化プログラム導入準備完了。」
「バグ、異常ありません。プログラム導入開始、正常です。」
次々と報告が上がっていく。
そして――。
「主任。トレンと覚醒魔神ヴィグロッガズの覚醒化融合完了、問題ありません。」
「こっちもプログラム導入完了だ。」
主任はモニターに映し出されたトレンを見つめた。
「さあ、トレンの戦闘が楽しみだな。「笑」」
「主任、楽しそうですね。」
「ああ。トレンもリョウも純粋に楽しそうにプレイしているからな。見ているこっちも楽しいね。」
社員たちは、そのままトレンとリョウ、そして魔神四天王アイムフィロゼとの戦闘を見守っていった。
そして――。
魔神四天王アイムフィロゼとの戦闘に決着がついた。
「主任、トレンが魔神四天王アイムフィロゼを撃破しました。」
「カタカタカタカタ……お見事、流石だね。映像の編集頼んだよ。」
「了解。」
すると社員の一人が、戦闘記録を確認しながら主任へ尋ねた。
「しかし、リョウが魔神にあんなにヤラれながら即死しないのは、やはりトレンのバフ付与ですかね? 主任。」
「さあな。」
主任がそう言った、その時だった。
一人の社員が慌てた様子で主任の元へやって来た。
「主任、大変です。九尾狐とシヴァータイガーがテイムされました。」
「ちょっと待て。予定よりかなり早すぎるぞ! 誰がテイムした?」
主任は驚きながら社員へ尋ねた。
「プレイヤーは【ナギサ】と【バレグ】です。」
「ナギサとバレグか……。確かトレンたち六人で特殊イベントをクリアしたプレイヤーか。」
「はい。」
主任は二人の行動記録を確認した。
「予想外だったな。だが、テイムしたなら仕方ない。ナギサとバレグが九尾狐とシヴァータイガーを従魔にした事で、始まりの街のエリアボスを発生させる。」
「了解。」
主任はさらにログを確認していく。
「なるほど……光の大精霊エンジェルクライズが試練を発生させているのか。」
主任はしばらくログを見たあと、椅子へ深く座った。
「それなら仕方ないな。」
そして別のモニターへ視線を向けた。
「ナナとマイの時も予想外な事が起きたからな。こっちも特殊チェーンイベントには引き続き注視しろよ。」
「「了解」」
運営側ではトレンたちだけではなく、それぞれの場所で条件を満たしたプレイヤーたちの動きにも注視していた。
そして――。
以前、ナナとマイがトレンとリョウと一緒に水の精霊の里を訪れていた時の事だった。
二人はそこで依頼を受け、素材採取を行っていた。
その様子も、運営側では確認されていた。
すると一人の社員が、モニターを確認しながら主任へ報告した。
「主任、ナナとマイが【水臨樹種】を採取しました。」
その報告を聞いた主任は、モニターへ視線を向けた。
「やはりそうなったか。予定通り、ナナとマイには特殊チェーンイベントを発生させるぞ。」
「主任……まさか……南エリアボスの……。」
「ああ。」
主任はモニターを見ながら答えた。
「【黎玄武雷獣ライガボルドキャッツ】を復活させる。」
社員たちは一斉に主任へ視線を向けた。
「以前バグが発生したプログラムをやり直して、新しく南エリアボス【黎玄武雷獣ライガボルドキャッツ】を発生させる。」
「分かりました。バグは発生していません。プログラムも正常な状態です。」
「よし。戦闘開始までは注視しろよ。」
「「了解」」
社員たちは再びそれぞれのモニターへ向かい、プレイヤーたちの行動を確認していった。
主任も複数のモニターに映し出されているプレイヤーたちを見ながら話した。
「やっぱりプレイヤーたちは面白いな。こっちの予定通りに動く時もあれば、予想外な出来事が起きる時もある。」
そしてトレンとリョウの行動記録が映し出されたモニターへ視線を向けた。
「特にトレンとリョウはな。」
こうして運営側も、それぞれのプレイヤーたちが次にどのような行動をするのか注視していくのであった。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございます。
今回は運営Sideから、これまでプレイヤーたちの行動の裏側で、運営側がどのような仕掛けや対応を行っていたのかを描きました。
トレンとリョウについては予定通りに進んだ部分もありましたが、ナギサとバレグによる九尾狐とシヴァータイガーの従魔契約など、運営側にとっても予想外の出来事が起こりました。
さらに、以前ナナとマイが【水臨樹種】を採取した際の運営側の動きや、南エリアボス【黎玄武雷獣ライガボルドキャッツ】へ繋がる流れも明らかになりました。
次回も、運営側から見たプレイヤーたちの動きを交えながら進めていきます。
最後になりますが、ブックマークや評価、ご感想をいただけますと、今後の執筆の励みになります。
これからも『VRMMOでスローライフするつもりがなぜかソロ最強プレイヤー?』をよろしくお願いいたします。




