EPISODE.28話〘絆が導く新たな力、友好関係解放〙
今回は2話分です。前編と後編になっております。
まず1本目の前編です。
翌日。
俺たちはいつも通り会社で仕事をしていた。
そして昼休み。
社食で昼食を食べ終えた後、西石が珍しく真剣な顔で話しかけてきた。
[東条先輩、自分の武器を作って欲しいっす。お願いします]
[……どうした急に?]
突然のお願いに、俺は驚く。
[実は、あの[黒炎翼ラウザーバード]との戦いの後、自分思ったんすよ。このままじゃ今後もっと厳しい戦いになるって]
西石は真っ直ぐ俺を見る。
[鍛冶錬金工房も出来た事ですし、自分たち専用の武器や防具を作って欲しいっす。イベント開催前にお願いします]
なるほどな……。
確かに、あの戦いは俺たちにとってかなり危険な戦闘だった。
[……わかった。どうせ俺も装備を作る予定だったしな]
[本当っすか!?]
[その代わり、一つ頼みがある]
[何でも言って下さいっす]
[【煉雷鉱石】と【雷氷鉱石】を採掘しに行く。一緒に来てくれ]
[了解っす!]
西石は即答した。
[あと、ある人にも相談しに行く]
[ある人? 誰っすか?]
[それは後で分かる。とりあえず、仕事終わらせるぞ]
[了解っす!]
俺たちは仕事を終え、帰宅後に食事と入浴を済ませるとログインした。
ホームへ入ると、新しく建てた鍛冶錬金工房が目に入る。
改めて見ると、かなり立派だ。
[これで本格的に装備製作が出来るな]
俺は自然と笑みを浮かべていた。
[さて、まずはリョウの武器だな。どんな武器にするんだ?]
[槍っす! 実はまだ【槍術】を全然上げてないんすよ]
[なるほどな。わかった、槍を作ってやる]
[ありがとうございます!]
俺は早速、武器製作の準備を始めた。
武器の型を確認し、素材鉱石を並べる。
[鉄鉱石]
[風鉱石]
[地鉱石]
[翡翠鉱石]
だが――
[……やっぱり【煉雷鉱石】と【雷氷鉱石】が必要か]
俺は必要素材を確認し、リョウへ声をかけた。
[グラディア山岳へ採掘に行くぞ]
[了解っす]
そして俺は、そのままとある場所へ向かった。
コンコン――。
[トレンさんをお連れしました]
[入りなさい]
部屋へ入ると、そこにはルージュギルド長がいた。
[どうも、ルージュギルド長]
[指名依頼以来だね。……それで相談とは?]
俺は本題を切り出す
[護衛依頼について相談しに来ました。どこのギルド団へ頼むか悩んでいて……]
[ふむ。まず、行き先を聞いてもいいか?]
[グラディア山岳です]
[目的は?]
[【煉雷鉱石】と【雷氷鉱石】の採掘です。槍の素材に必要なので]
その瞬間、ルージュギルド長の目が変わった。
[……その採掘、私も同行させてくれないか?]
[……え?]
予想外すぎて固まる。
[もちろん護衛はこちらで用意する。頼む]
……嫌な予感しかしない。
[でも、今から向かう予定ですよ? ギルド長も予定があるんじゃ……]
[今日の予定は明日に変更だ]
即答だった。
[秘書。[月乃轟璃雷]へ護衛依頼を出してくれ]
[かしこまりました。すぐに手配いたします]
えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?
ギルド長、決断早すぎるだろ!?
数分後、秘書が戻ってくる。
[【月乃轟璃雷】のリーダー、イザギーラ様より伝言です。護衛依頼を受諾するとの事です。料金は前回と同額で問題ないそうです]
いや、承諾も早すぎるんだが!?
最強ギルド団ってもっとこう……会うのも難しい存在じゃないのか!?
俺は心の中で全力ツッコミしていた。
[じゃあ準備して来るから、トレンも準備して来な。馬車はこちらで手配しておく]
[……わかりました]
俺はギルド長室を出てホームへ戻り、リョウへ事情を説明した。
当然、西石も叫んだ。
そして数十分後――。
俺たちは商業ギルド前へ集合していた。
そこには【月乃轟璃雷】のメンバーたちが並んでいたが、一人だけ見覚えのない女性がいた。
[トレン、リョウ。体調はもう大丈夫か?]
[お陰様で回復しました。……ところで、その方は?]
俺が尋ねると、イザギーラさんが紹介してくれた。
[こちらは【魔導士】のネイラ。本来の【月乃轟璃雷】の正式メンバーだ]
[ネイラです。よろしくお願いしますね]
[よろしくお願いします]
俺たちは互いに一礼し、早速グラディア山岳へ向かった。
洞窟へ入り、中間地点付近まで進んだ所で採掘を開始する。
[さてと……【捜査】【鑑定】]
スキルを発動すると、鉱石反応が視界へ表示された。
俺は水色に点滅している箇所を採掘する。
すると――。
[……あった! 【雷氷鉱石】だ!]
綺麗な青白い鉱石が姿を現した。
[本当か!?]
ルージュギルド長も慌てて採掘を始める。
[間違いない……本物の【雷氷鉱石】だ!]
めちゃくちゃ興奮してるな、この人。
その後、周辺を採掘した結果――。
…………………………………………………………
トレン・リョウ・エアネス・ナイトディラン
[鉄鉱石]×25
[地鉱石]×35
[風鋼鉱石]×15
[翡翠鉱石]×15
[雷氷鉱石]×30
…………………………………………………………
ルージュギルド長
[鉄鉱石]×20
[浮遊石]×15
[風鋼鉱石]×10
[翡翠鉱石]×15
[雷氷鉱石]×20
…………………………………………………………
かなりの収穫だ。
だが、本命はまだ先にある。
[次の地点へ向かいます]
[……まだ奥へ行くのか?]
[はい。【煉雷鉱石】はさらに五百メートル先です]
[……何でそこまで分かるんだ?]
ルージュギルド長は不思議そうにしながらも、俺について来た。
そして目的地点へ到着し、再び採掘を開始する。
数分後――。
[で、出たぁぁぁっ!! 本当に【煉雷鉱石】だ!!]
ルージュギルド長が大興奮していた。
いや、ギルド長なのにテンション高すぎるでしょ。
採掘結果は――。
…………………………………………………………
トレン・リョウ・エアネス・ナイトディラン
[火鉱石]×50
[炎氷鉱石]×25
[煉雷鉱石]×30
…………………………………………………………
ルージュギルド長
[火鉱石]×20
[炎氷鉱石]×20
[煉雷鉱石]×20
…………………………………………………………
[これだけ採れれば十分ですね。戻りましょう]
俺たちは洞窟を出て街へ帰還した。
ちなみに、出現した魔物は全て【月乃轟璃雷】のメンバーたちが瞬殺していた。
……やっぱり強すぎる。
何でこんな最強ギルド団が普通に護衛してくれるんだ?
[トレン、今日は本当に感謝するよ]
ルージュギルド長が満足そうに笑う。
[また護衛依頼する時は、いつでも俺たち【月乃轟璃雷】を頼れよ!]
[は、はい!]
俺たちは商業ギルド前で解散し、ホームへ戻った。
――その直後。
突然アナウンスが流れる。
【おめでとうございます。初めてNPCギルド団【月乃轟璃雷】と友好関係になりました。今後、協力・護衛などの支援を受けられるようになります】
[……は?]
[[ええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?]]
何でそうなるんだよ!?
友好関係っていつ成立した!?
俺知らないんだけど!?
毎回毎回、何でこうなるんだ!?
心の中でツッコミを入れながら、俺は鍛冶工房へ向かった。
[さて……始めるか!]
[はい、トレンさん! 一緒に頑張りましょう!]
エアネスと共に、俺は武器製作へ取り掛かる。
――この後、とんでもない武器が完成する事を、俺たちはまだ知らなかった。
夕方頃に後編をお送りします。




