EPISODE.287話〘仕事終わりの再会、二人が語る試練の出来事〙
いつも読んでいただきありがとうございます。
今回は、いつも通り仕事をしていた東条のもとへ、突然井澤渚と馬場蓮仁が訪ねて来るところから始まります。
仕事を終えた東条と西石は二人と合流し、食事をしながらVRMMOで起きた出来事を聞くことになります。
そしてナギサとバレグが進めている【始まりの試練】では、二人にも予想外の出来事が起きていました。
最後まで楽しんでいただけたら嬉しいです。
それでは、EPISODE.287話をお楽しみください。
翌日――。
俺はいつも通り会社で仕事をこなしていた。
すると受付から、俺に面会へ来られている方がいると連絡が入った。
「分かった。今から向かう。」
俺は仕事を一旦止めて、受付へ向かった。
そして受付へ到着すると――。
「え? 井澤さんと馬場さん?」
そこにいたのは、まさかの井澤渚さんと馬場蓮仁さんだった。
「二人とも突然どうしたんですか? 今日は何かこちらへ来る用事でも?」
すると井澤さんが、少し申し訳なさそうに俺へ話した。
「突然来て申し訳ありません。実は今日、仕事を終えてから少しお時間を頂いても大丈夫でしょうか?」
「それは大丈夫ですが……何かあったんですか?」
今度は馬場さんが口を開いた。
「仕事が終わる時間を教えて頂ければ、私たちの車で迎えに来ます。詳しい話は、その時にさせて頂ければと思っています。」
「分かりました。ただ、西石が明日から出張なので……。」
すると井澤さんが俺へ尋ねた。
「出来れば、西石さんも一緒にお願い出来るかしら?」
「分かりました。今日は十六時頃には仕事が終わると思いますので、その時間で大丈夫です。」
「分かりました。それでは、その時間に迎えに来ますのでよろしくお願い致します。」
こうして俺は、井澤さんと馬場さんのお願いを受ける事になった。
二人を見送ったあと、俺は仕事へ戻り、西石を呼んだ。
「西石部長、ちょっといいかな?」
「どうしました? 東条本部長。」
俺は先ほど井澤さんと馬場さんが会社へ来た事と、仕事が終わったあとに二人で来てほしいと頼まれた事を説明した。
「明日から出張なのに済まないが、大丈夫か?」
「大丈夫っすよ。出張の準備は昨日で終わってますので、行けますよ。」
「分かった。それじゃ今日は仕事を早めに終わらせよう。」
「分かりました、東条本部長。」
その後も俺たちは順調に仕事を進めていった。
午後になり、社員たちは仕事を終えると次々と退社していく。
俺と西石も十六時前には仕事を終え、会社を退社した。
すると会社の前に、一台の車が停まっていた。
俺たちが近付くと、車から馬場さんが降りて来た。
「お疲れ様です。それでは、お二人とも車に乗って下さい。」
俺は目の前に停まっている車を見て、西石へ小声で話した。
「西石……あれ、社長クラスが乗る車だよな?」
「七瀬社長が乗ってる車と同じくらいっすね……。井澤さんって凄い人なんすね。」
俺と西石は少し驚きながら、馬場さんに案内されて車へ乗った。
車内には、すでに井澤さんが乗っていた。
「お仕事お疲れ様でした。突然お願いして申し訳ありません。」
「いえ、大丈夫ですよ。」
俺たちを乗せた車は、そのまま走り出した。
しばらくして到着したのは、井澤さんがよく利用している店だった。
俺たちは店の中へ入り、店員に案内されて個室へ向かった。
「……お洒落な店ですね。俺にはあまり向かない店だな。」
「そうっすね。自分たちはいつも居酒屋しか行かないっすからね。」
俺と西石がそう話すと、井澤さんと馬場さんは少し笑っていた。
四人は席に座り、飲み物が運ばれて来た。
「それじゃ、乾杯しましょうか。」
「「「乾杯!」」」
乾杯を終え、少し落ち着いたところで俺は二人へ尋ねた。
「それで、俺たちを呼んだ理由は何でしょうか?」
すると馬場さんが口を開いた。
「実は従魔の事と、製作した武器の事で少し相談がありまして……。」
「従魔? 確か光の精霊の卵を手に入れたところまでは聞いてるっすけど、それ以降は自分たちも知らないっすからね。」
西石がそう言うと、井澤さんは静かに頷いた。
「そうね。実はあの特殊イベントが終わったあと、色々な事があったの。」
そして井澤さんは、特殊イベントが終わってから今までに起きた経緯を俺たちへ説明し始めた。
現在、ナギサとバレグは光の大精霊エンジェルクライズ様から受けた【始まりの試練】を進めているらしい。
そして【始まりの街】で商業ギルドの依頼をこなしていた時、あるイベントが発生したという。
「それで、そのイベントってどんな内容だったんですか?」
俺が尋ねると、井澤さんは少し間を空けて答えた。
「九尾狐の救出です。」
「「九尾狐!?」」
俺と西石は、予想外の内容に思わず声を上げた。
「九尾狐って……ナギサもバレグも、やらかしたね。」
「そうっすね。これで自分たちのやらかし組へ二名追加っす。」
俺は井澤さんと馬場さんを見ながら少し笑った。
「やらかし組へようこそ。お二人を歓迎するよ。」
「「一緒にしないで下さい!! なんでそんな冷静に、やらかし組へ歓迎するんですか!!」」
井澤さんと馬場さんは、俺と西石へ同時にツッコんだ。
俺と西石は、そんな二人の反応を見ながら笑っていた。
すると今度は馬場さんが話の続きを説明した。
「場所は北西の森林にある【ゼベロイヴァンの森】です。その場所は別名『モンスター群れの住処』と呼ばれている場所なんです。」
「モンスター群れの住処……名前からして嫌な予感しかしないな。」
「自分もそう思うっす。」
「自分とナギサでその場所へ向かったんですが、到着すると九尾狐が大量の魔物に襲われていて、今にもやられそうだったんです。」
すると井澤さんが、その時の事を話し始めた。
「もう無我夢中だったのよ。それで私は雷魔法の奥義【雷帝の裁き】を使ったの。」
「それでどうなったんですか?」
「MPを全部使って、その場所にいた敵を全て殲滅しました。」
「「…………。」」
俺と西石は、井澤さんの話を聞いて思わず引いていた。
「一撃でその場所の魔物を殲滅したのかよ……。」
「無我夢中だったのよ! 九尾狐がやられそうだったんだから仕方ないでしょ!」
井澤さんは少し慌てながら話を続けた。
「それでバレグから回復ポーションをもらって、九尾狐に【ポーション・上】を使って回復させたの。そしたら突然契約画面が表示されて、そのまま契約したのよ。」
「マジっすか? 九尾狐を従魔にしたっすか?」
西石が驚きながら聞くと、井澤さんは静かに頷いた。
だが、それだけではなかった。
「契約した九尾狐が、自分たちについて来てほしいというように合図してきたんです。」
「まだ何かあったのか?」
「はい。それで九尾狐について行くと、今度は大怪我をして倒れている【シヴァータイガー】がいたんです。」
「「シヴァータイガー!?」」
「かなり危険な状態だったので、自分はすぐに【ポーション・上】を使いました。でも一個では足りなくて、持っていた【ポーション・上】を全部使って回復させたんです。」
「全部使ったのか……。」
「はい。助ける事しか考えてなかったですから。」
俺と西石は、そんな馬場さんの話を聞きながらビールを口にした。
すると馬場さんが話を続けた。
「そしたら自分にも契約画面が表示されまして……【シヴァータイガー】と契約する事になりました。」
ブーーーーーーーーーーーーーー!!
俺と西石は、思いっきり飲んでいたビールを吹き出した。
「ゲボ………ゲボゲボ……ちょ、ちょっと待て!! 九尾狐だけじゃなく【シヴァータイガー】まで従魔にしたのかよ!!」
「ゲホゲホ……やらかし組どころじゃないっすよ!! 二人とも何してるんすか!!」
「仕方ないでしょう。あの時は予想外の出来事続きだったんだから。」
井澤さんは少し呆れながら俺たちへ言った。
「ナギサが【九尾狐】、自分が【シヴァータイガー】を従魔にして、そのあとテイマーギルドへ登録手続きに向かったんですけど……プレイヤーたちからの視線が凄かったですからね。」
「そりゃそうだろ。そんな従魔を二人で連れて歩いてたら、誰だって見るよ。」
俺はそう言いながら少し笑った。
「でも二人とも、これで俺たちのやらかし組の洗礼を受けたから仲間入りだね。なぁ、リョウ。」
「そうっすね。これでナナとマイを合わせて四人っすね。今後もどんどんやらかしてもらいましょう。」
「「なんでやねん!! 簡単にやらかし出来るかい!!」」
井澤さんと馬場さんは、見事にハモって俺たちへツッコんだ。
俺と西石は二人のツッコミを聞いて笑っていた。
こうして俺たち四人は、今度一緒に回る約束をして、色々と雑談をしながら閉店まで楽しく飲んでいた。
そして井澤さんの車で、それぞれ自宅まで送ってもらい就寝するのであった。
今回もお読みいただきありがとうございます。
今回は、仕事終わりに井澤渚と馬場蓮仁から話を聞くことになった東条と西石でした。
ナギサとバレグが進めている【始まりの試練】では、【九尾狐】の救出をきっかけに、ナギサが【九尾狐】、バレグが【シヴァータイガー】と契約することになりました。
予想外の従魔契約に驚いたトレンとリョウでしたが、最後は二人らしくナギサとバレグをやらかし組へ迎える形となりました。
そして四人は、今度ゲーム内でも一緒に回る約束をすることになりました。
最後になりますが、ブックマークや評価、ご感想をいただけますと、今後の執筆の励みになります。
これからも『VRMMOでスローライフするつもりがなぜかソロ最強プレイヤー?』をよろしくお願いいたします。




