EPISODE.283話〘ナナとマイの想い――そしてヴィーナとエルマの信頼〙
今回もお読みいただきありがとうございます。
今回は【水の精霊の里】へ戻ったナナとマイが、ウンディーメード様と話をするところから始まります。
そしてヴィーナやエルマとの関係にも、新たな変化が訪れていきます。
それでは本編をお楽しみ下さい。
【水薬草】の採取を終えた俺たちは、【水の精霊の里】へ戻って来た。
そして俺たちは、そのまま【大精霊の館】へ向かった。
館へ到着すると、ウンディーメード様が俺たちを出迎えてくれた。
「お帰りなさい。目的の素材は採れましたか? ナナ、マイ。」
「はい。お蔭様で【水薬草】も採取出来ました。それに他の素材も採取出来たんですけど……予想外の素材を採取してしまって、お話があるんです。」
ナナがそう言うと、ウンディーメード様は少し不思議そうな表情をしていた。
「予想外の素材? 分かりました。ここで話すより、中でゆっくり聞きましょう。どうぞ入って下さい。」
「「わかりました。」」
俺たちはウンディーメード様に案内され、館の中へ入った。
そして大広間へ案内され、それぞれ席に座った。
「それでナナ、マイ。予想外の素材というのは何かしら?」
「実はこれなんです。」
ナナはそう言って、採取した【水臨樹種】をウンディーメード様に見せた。
「私とマイでは【鑑定】出来なかったので、トレンとリョウにお願いしたんです。そうしたら、これが【水臨大樹】の種だと分かって……。」
「私たちが持っていていい物なのか分からなかったので、ウンディーメード様に確認してもらおうと思ったんです。」
ウンディーメード様は【水臨樹種】を見ると、少し驚いたあと嬉しそうに微笑んだ。
「あらあら、【水臨樹種】ね。我が里を護る【水臨大樹】の種を見つけたのね。」
「「え? 里を護る大樹の種なんですか?」」
ナナとマイはウンディーメード様の言葉を聞き、驚いた表情をしていた。
そしてナナは【水臨樹種】をウンディーメード様へ差し出した。
「【水臨樹種】が【水の精霊の里】を護る大樹の種なら、私たちが受け取る事は出来ません。ウンディーメード様に返還するためにご相談しました。」
「私たちは見返りが欲しい訳ではありません。今回の目的は【水薬草】だけです。それなら、それ以外に採取した素材もお返し致します。」
ナナとマイは迷う事なくそう答えた。
ウンディーメード様は、そんな二人の純粋な気持ちを聞いて嬉しそうに微笑んでいた。
「その気持ちは十分伝わったわ。でも、その【水臨樹種】はナナとマイが持って育てなさい。いつか必ず、あなた達の助けになるから。」
「「え? 私たちが育てるんですか?」」
「ええ。だから大切に育てなさい。」
ナナとマイは少し戸惑っていたが、ウンディーメード様の言葉を聞いて頷いた。
「「分かりました。大切に育てます。」」
こうしてナナとマイは【水臨樹種】を受け取り、自分たちで大切に育てる事にした。
するとウンディーメード様は、今度はナナへ視線を向けた。
「それとヴィーナの事なんだけど……理由が分かったわ。」
「本当ですか? ウンディーメード様。」
「ええ。ただのホームシックだったわ。」
「「え?………ええええぇぇぇぇ!! そうだったの!?」」
ナナとマイは驚きを隠せなかった。
一方、俺とリョウは笑いを堪えていた。
やっぱりそうだったのか。
実は昨日、ウンディーメード様にヴィーナの事を相談した時、俺たちは以前のペルナギとサクメの事を思い出していた。
「前にペルナギとサクメも、同じようにテンションが高くなった事があったんです。」
「自分とトレンは、ヴィーナももしかしたらホームシックなんじゃないかと思ったっす。」
「分かったわ。ヴィーナの件は私に任せていいわよ。」
昨日、俺たちはウンディーメード様とそんな話をしていたのだ。
「呆れたわ……。私、ヴィーナの事を分かっているつもりだったのに、何にも分かっていなかったのね。まだまだヴィーナとの信頼や連携も足りないわね。」
するとマイも、自分の傍にいるエルマを見た。
「私も同じね。エルマの気持ちをちゃんと分かってあげられていないかもしれない。でも、それでも私はエルマと一緒にいたいわ。」
「確かにそうね。私もヴィーナと一緒にいたいわ。」
二人の言葉を聞いて、俺はリョウを見る。
「その気持ちがあるなら大丈夫だな、リョウ。」
「そうっすね。……そろそろ顔を見せたらどうっすか? ヴィーナ。」
「え?」
ナナがウンディーメード様を見る。
するとウンディーメード様の後ろから、ヴィーナがそっと顔を覗かせた。
「ヴィーナ……。」
次の瞬間、ヴィーナはナナの元へ向かい、そのまま抱きついた。
ナナは突然抱きついてきたヴィーナを優しく抱きしめた。
「ごめんね、ヴィーナ。私がもっと早く気付いてあげればよかったね。」
するとヴィーナは、ぶんぶんと首を横に振った。
そして何かを訴えるようにウンディーメード様へ伝えていた。
ウンディーメード様はヴィーナの気持ちを聞くと、ナナへ伝えた。
「早く里へ行きたい気持ちが先走って、ちゃんと伝える事が出来なくてごめんなさいと言っているわ。」
「私たちが気付かなかったからよ。ヴィーナ、もし故郷に残りたいなら契約を解除してもいいのよ。無理して私と一緒にいる必要はないからね。」
するとヴィーナは勢い良く首を横に振った。
そして再びウンディーメード様へ何かを訴えている。
ウンディーメード様は嬉しそうに微笑んだ。
「これからもナナと一緒にいたいと言っているわ。」
「ヴィーナ……ありがとう。これからも一緒だからね。」
ナナはヴィーナを優しく抱きしめた。
その様子を見ていたマイは、今度はエルマへ視線を向けた。
「エルマ。いつも私と一緒にいてくれているのに、私がまだ未熟でごめんね。」
するとエルマはマイへ抱きついた。
そして何かを訴えるようにエアネスへ伝えていた。
エアネスはエルマの気持ちを聞くと、微笑みながらマイへ伝えた。
「そんな事はありません。これからも一緒にいたいと言っています。」
「エルマ……ありがとう。これからも一緒だからね。」
マイもエルマを優しく抱きしめた。
その時だった――。
突然、ヴィーナとエルマの身体がまばゆい光に包まれた。
「「え?」」
ナナとマイは目の前で起きている出来事を見て固まっていた。
そして次の瞬間――。
「「ええええぇぇぇぇ――!! 進化ぁぁぁぁ!!」」
ナナとマイは突然始まったヴィーナとエルマの進化に驚いて叫んでいた。
俺とリョウも、光に包まれている二体を見つめる。
「まさか他のプレイヤーの従魔の進化を目の前で見るとはね。」
「本当っすね。自分たち以外の従魔が進化するところを見るのは初めてっすからね。」
俺とリョウは驚きながら、光に包まれているヴィーナとエルマを見ていた。
こうして俺たちは、ナナとマイの従魔ヴィーナとエルマの進化を見守るのであった。
今回もお読みいただきありがとうございます。
今回は【水臨樹種】についてウンディーメード様へ相談したナナとマイでしたが、そのまま二人で大切に育てる事になりました。
そしてヴィーナがホームシックだった事も判明し、ナナとヴィーナ、マイとエルマがお互いの気持ちを確かめる事が出来ました。
そんな二人の想いに応えるように、ヴィーナとエルマの進化が始まりました。
果たして二体はどのような姿へ進化するのでしょうか。
最後になりますが、ブックマークや評価、ご感想をいただけますと、今後の執筆の励みになります。
これからも『VRMMOでスローライフするつもりがなぜかソロ最強プレイヤー?』をよろしくお願いいたします。




