EPISODE.266話〘精霊たちの惨状――トレン・リョウVS魔神アイムフィロゼ、序章の幕開け〙
いつも読んでいただきありがとうございます。
今回は、トレンとリョウがジェノヴィラ山岳の洞窟へ入り、奥へ進んでいくお話となります。
洞窟の中で二人を待ち受けているものとは何なのか。
これから始まる展開にも注目しながら、最後まで楽しんでいただけたら嬉しいです。
それでは、EPISODE.266話をお楽しみください。
まさか、バザドルの街で俺が戦った【魔神四天王】と同じ存在が、この洞窟に潜んでいるとは思ってもいなかった。
一体、何のためにこんな場所にいるんだ?
俺は洞窟の奥から感じる気配を警戒しながら、バウトとサンオンへ顔を向けた。
「バウト、サンオン。済まないが、従魔たちを預けてもいいかな?」
「トレンとリョウの従魔たちを?」
「それは構いませんけど……まさか」
サンオンは何かを察したように俺たちを見る。
「そのまさかですよ。ここは俺とリョウだけで行きます」
「そうっす。自分は前にバザドルの街で魔人四天王と戦ったことがあるっすから」
バウトとサンオンは、俺たちだけで洞窟へ入ることを止めたい様子だった。
だけど――。
俺とリョウの顔を見ると、二人は何も言わずしばらく黙っていた。
そしてバウトが静かに頷いた。
「……分かりました。私とサンオンはここで待機しています」
「お願いします。従魔たちには俺たちから指示を出しておきますから」
リョウはナイトディランたちへ顔を向けた。
「それじゃ、ナイトディランたち。バウトとサンオンを頼んだっすよ」
「ワォン!」
ナイトディランが大きく鳴き、他の従魔たちも頷いた。
俺もエアネスたちへ顔を向ける。
「エアネスもバウトとサンオン、それとレイディアたちを頼む」
「分かりました。ここはお任せ下さい」
エアネスがそう答えると、他の従魔たちも俺を見ながら頷いた。
これなら大丈夫だな。
「いくぞ、リョウ」
「了解っす」
俺とリョウは二人だけで洞窟の中へ入っていった。
洞窟内へ入ると、俺たちはすぐに【捜査】と【鑑定】を発動させる。
そして二人とも集中力を高めながら、ゆっくりと奥へ進んでいった。
洞窟内はいくつもの道に分かれていて、かなり複雑だった。
だけど――。
俺には、はっきりと感じ取れる気配がある。
(いる……やっぱり、この気配に間違いない)
【魔神四天王】。
以前、俺がバザドルの街で戦った相手と同じような気配が、洞窟の奥から伝わってくる。
俺とリョウは警戒しながら、更に洞窟の奥へ進んでいった。
その時だった――。
凄まじい速さで、何かの塊が俺たちへ向かって飛んで来た。
「っ! 【シールドフェーズガード】!」
俺は咄嗟に防御を展開する。
ドゴォォォン!
飛んで来た塊が防御へ激突し、そのまま地面へ落ちた。
「何だ……?」
俺とリョウが地面へ落ちた物を確認する。
そして――。
「…………なっ!」
「…なんて惨い事を」
そこにあったのは――。
精霊たちの死体が重なった塊だった。
俺は何も言えず、その光景を見つめる。
何で……。
何でこんなことをする必要があるんだよ。
その時――。
洞窟の奥から声が聞こえてきた。
「ほう……バザドルで魔人四天王を倒したヤツが、ここにいるとはな」
俺とリョウは即座に声のする方向へ顔を向けた。
暗い洞窟の奥から、一体の魔物がゆっくりと姿を現す。
その瞬間、俺とリョウは一気に集中力を高めた。
間違いない。
コイツだ。
【魔神四天王】。
俺は目の前にいる魔神を睨み付ける。
「テメー、誰だ」
魔神は俺たちを見ながら笑った。
「いいだろう。どうせ貴様らはここで死ぬからな」
そして魔神は、自らの名を名乗った。
「我が名は【魔神四天王】のアイムフィロゼだ。貴様らも名乗ってもらおうか」
「リョウだ」
「トレンだ」
するとアイムフィロゼは、俺の名前を聞いた瞬間に反応した。
「トレン?……ヴァイレファールスにかなりのダメージを負わせたのは貴様だったのか」
「ヴァイレファールス?」
聞いたことのない名前だ。
だけど――。
すぐに思い当たった。
「……俺が前に戦った魔神四天王の名前か」
「そうだ」
アイムフィロゼは笑いながら話を続けた。
「ヤツは勝手に持ち場を離れ、魔人四天王を使って人間たちを残虐に殺していたからな」
俺は黙ったまま、アイムフィロゼの話を聞いていた。
「だが、その結果、我が主から制裁を受けて瞬殺されたけどな……!?」
その言葉を聞いた瞬間――。
俺の中で何かが切れた。
目の前には、無惨な姿になった精霊たち。
それを見ても何とも思っていないようなアイムフィロゼ。
俺は更に集中力を高めていく。
そして――。
完全に【覚醒限界突破領域】へ入った。
隣にいるリョウも同じだった。
精霊たちの惨状を見たリョウも怒りを感じながら、冷静に集中力を高めている。
だが俺は即座に動いた。
「【月麗昇龍拳】!!」
「【超闘神速】! ハァァァァァ! 【波動圧拳】!!」
ドゴォォォォォォン!!
アイムフィロゼの身体が空中へ浮かび、そのまま凄まじい勢いで地面へ叩き落とされた。
「ぐっ……貴様らぁぁぁ!!」
俺は地面へ叩き落とされたアイムフィロゼを睨み付ける。
「テメーは俺たちが殺してやるよ。クズが」
「そうっすね。流石にキレたっすから、やるっすよトレン!!」
「ああ」
アイムフィロゼはゆっくりと立ち上がる。
そして俺たちへ凄まじい殺気を向けてきた。
「んんん……舐めるなぁぁぁぁ!! 人間どもがぁぁぁぁぁ!!」
洞窟内にアイムフィロゼの怒声が響き渡る。
「魔神四天王アイムフィロゼを舐めるな!! 貴様らを残虐に殺してやるよ! 精霊たちと同じやり方でなぁぁぁ!!」
その言葉を聞いた瞬間――。
俺とリョウの怒りが更に高まった。
「「テメーは絶対に許さねぇぞぉぉぉ!!」」
俺は構えながらリョウへ声を掛ける。
「いくぞ、リョウ!! 魔神四天王アイムフィロゼの殲滅開始だ!」
「了解っす!! 返り討ちにするっすよ!」
こうして俺たちは、【魔神四天王アイムフィロゼ】との戦いを始めるのであった。
だが、俺とリョウはこれがまだ序章に過ぎないことを理解していた。
そしてこの後、想像を超える死闘になることを、俺たちはまだ知らないのであった。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今回は、トレンとリョウが二人で洞窟へ入り、精霊たちの惨状を目にする中で【魔神四天王】アイムフィロゼと遭遇しました。
怒りを抑えきれない二人は【覚醒限界突破領域】へ入り、ついに戦いが始まります。
次回も、アイムフィロゼとの戦いの続きを楽しんでいただけたら嬉しいです。
最後になりますが、ブックマークや評価、ご感想をいただけますと、今後の執筆の励みになります。
これからも『VRMMOでスローライフするつもりがなぜかソロ最強プレイヤー?』をよろしくお願いいたします。




