EPISODE.264話〘バグヴァラの街到着――そして魔物の大群との序章〙
いつも読んでいただきありがとうございます。
今回から、東エリア・バグヴァラの街編が始まります。
新たな街へ到着したトレンたちは、新しい拠点を手に入れ、特殊イベントを進めるためジェノヴィラ山岳へ向かうことになります。
東エリアで待つ新たな出来事を、最後まで楽しんでいただけたら嬉しいです。
それでは、EPISODE.264話をお楽しみください。
東エリアへ向かう事になった俺たちは、バウトさんとサンオンさんと一緒に馬車で移動していた。
西エリアにある【スヴァログの街】を出発し、【始まりの街】を経由して、さらに東へ進んでいく。
そして――。
六日間という長い道のりを経て、ようやく俺たちは東エリアへ到着した。
目指していたのは、バウトさんが拠点にしている街。
【バグヴァラの街】。
「やっと着いたな……」
「流石に六日間は長かったっすね」
馬車を降りながら、俺とリョウは身体を伸ばした。
ここが東エリアか。
今まで訪れた街とは、また少し違った雰囲気だな。
するとバウトさんが俺たちへ話した。
「ここが私の拠点にしているバグヴァラの街です」
「結構大きな街なんですね」
「はい。東エリアでは多くのプレイヤーが拠点にしている街ですよ」
なるほどな。
まずは、この街で色々と登録を済ませておいた方がよさそうだ。
俺はバウトさんへ顔を向けた。
「バウトさん。それじゃ俺たちは各ギルドの登録を済ませた後、不動産屋にも行きたいんですけど、場所を案内していただけたら助かります」
「分かりました。案内しますよ。それと――」
「それと?」
「これからは私のことをさん付けじゃなくて、バウトと呼んでください。私もトレン、リョウと呼ばせていただきますから」
「呼び捨てでいいんですか?」
「はい。これから一緒に行動するんですから、その方がいいでしょう」
するとサンオンさんも俺たちへ話した。
「私からもお願いします。バウトと同じように、サンオンと呼んでください」
なるほど。
そこまで言ってくれるなら、遠慮する必要はないか。
「分かりました。それじゃ、バウト、サンオンで呼びますね」
「よろしくっす、バウト、サンオン」
「はい。よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いいたします」
こうして俺たちは、これからお互いを呼び捨てで呼ぶ事になった。
その後、俺とリョウはバグヴァラの街にある各ギルドへ向かい、登録手続きを済ませていく。
これでこの街でも問題なく各ギルドを利用出来るな。
全ての登録を終えると、次はバウトに場所を教えてもらった不動産屋へ向かう事にした。
バウトとサンオンには、先に商業ギルドで待っていてもらう。
俺とリョウが不動産屋へ入ると、一人の店員が俺たちへ声を掛けてきた。
「お待ちしておりました。西エリア・スヴァログの街の不動産屋から話は聞いております」
「そうなんですか?」
「はい。ご希望は和風屋敷ですね」
「お願いします」
どうやらスヴァログの街の不動産屋から、俺たちが東エリアへ向かう事を聞いていたらしい。
話が通っているなら助かるな。
俺とリョウは店員の案内で、不動産屋を出る。
しばらく街の中を歩いていくと、大きな門の前へ到着した。
「こちらになります」
門の先を見ると――。
「広いな……」
「西エリアのホームより広そうっすね」
そこには、大きな和風屋敷が建っていた。
俺とリョウは屋敷の中へ入り、一通り確認していく。
庭もかなり広い。
これなら従魔たちもゆっくり過ごせそうだ。
特に問題も無かったため、俺たちはそのまま購入する事にした。
購入金額は――。
3億G。
手続きを全て終え、正式に東エリアでの新しいホームになった。
「しかし西エリアのホームも広かったけど、東エリアは更に広い和風屋敷っすね」
「ああ。あの広さなら従魔たちもゆっくり出来るし、新たな従魔が増えても大丈夫だな」
「しかし3億Gとはね。各エリアごとに金額が違うのも凄いっすね」
「そうだな。場所によって土地の価値も違うんだろうな」
まあ、これだけ広ければ3億Gでも納得出来る。
「それじゃ、バウトとサンオンが商業ギルドで待ってるっすから、そろそろ向かうっす」
「そうだな」
こうして東エリアでの新しいホームを無事購入した俺たちは、バウトとサンオンが待っている商業ギルドへ向かった。
商業ギルドへ到着すると、二人は入口の前で俺たちを待っていた。
「お待たせしました」
「いえ、大丈夫ですよ」
「ホームは無事に購入出来ましたか?」
「はい。問題なく購入出来ました」
「それは良かったです」
するとバウトが俺たちへ話した。
「それじゃ行きましょう。目的の場所は、ここから街を出て北東側にある【ジェノヴィラ山岳】です」
「ジェノヴィラ山岳か」
「はい。その中腹辺りに洞窟があります。今回の特殊イベントに関係している場所はそこです」
「分かった」
俺とリョウ、サンオンは頷いた。
いよいよ特殊イベントを進める事になるな。
俺たち四人は、バウトの案内でバグヴァラの街を出発した。
街を出てから、しばらく歩いていく。
そしてバグヴァラの街が見えなくなり、周囲に他のプレイヤーやNPCもいなくなったところで――。
俺は周囲を確認した。
「もう大丈夫そうだな」
「そうっすね」
俺とリョウは、それぞれ姿を消していた従魔たちへ合図を送る。
すると――。
俺の側には【セフィラ】【ファヴァン】【ガルロード】。
リョウの側には【シドレア】【ヴァルーラ】【ギーガルス】が姿を現した。
「これが姿を消していた従魔たちです」
俺はバウトとサンオンへ三体を紹介する。
「改めて紹介するよ。セフィラ、ファヴァン、ガルロードです」
俺が紹介すると、三体はバウトとサンオンへ向かって一礼した。
続いてリョウも、自分の従魔たちを紹介する。
「自分の従魔はシドレア、ヴァルーラ、ギーガルスっす」
リョウの紹介に合わせて、三体もバウトとサンオンへ一礼した。
「よろしくお願いいたします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
これで今回連れて来た従魔たち全員を、二人へ紹介出来たな。
俺たちは再びジェノヴィラ山岳へ向かって歩き始めた。
道中、俺とリョウは周囲を警戒するため、【捜査】と【鑑定】を発動させていた。
しばらく進んでいた――その時だった。
俺とリョウは、ほぼ同時に異変へ気付いた。
「来るぞ!」
「分かってるっす!」
俺たちは即座に従魔たちへ指示を出す。
「セフィラ【雷光障壁】! ガルロード【反動防壁】!」
「ニーナシュン【雷光大盾】! シドレア【炎龍砲】!」
「「ギシャァァ!」」
次の瞬間――。
セフィラの【雷光障壁】が俺たちの周囲を包み込んだ。
同時に上空から迫ってきた魔物へ、シドレアが【炎龍砲】を放つ。
轟音と共に炎が直撃し、上空にいた魔物は一撃で倒された。
そしてガルロードはサンオンとバウトの前へ移動すると、【反動防壁】を展開する。
ニーナシュンも【雷光大盾】を展開し、二人を守るように構えた。
すると――。
周囲から次々と魔物たちが姿を見せる。
数が多い。
どうやら大群に囲まれたみたいだな。
「いきなり魔物の大群に遭遇かよ!」
俺は周囲を確認する。
「いくぞ、リョウ! エアネス、レイディア、ファヴァン!」
「了解っす! 自分は右側をやるっす! ナイトディラン、ヴァルーラ、ギーガルス、いくっすよ!」
「なら俺は左側だ!」
俺はその場に残る従魔たちへ顔を向けた。
「セフィラ、ガルロード、ニーナシュン、シドレア。バウトとサンオンを護ってくれよ。頼んだぞ」
四体は俺の言葉を聞くと、静かに頷いた。
これなら二人の護衛は大丈夫だ。
「いくぞ、リョウ!」
「了解っす」
俺とリョウは左右へ分かれ、そのまま魔物の大群へ向かって走り出した。
俺の側にはエアネス、レイディア、ファヴァン。
リョウの側にはナイトディラン、ヴァルーラ、ギーガルス。
従魔たちは俺たちの動きに合わせ、一斉に魔物たちへ攻撃を仕掛けていく。
次々と襲い掛かってくる魔物を倒しながら、俺たちは少しずつ数を減らしていった。
その間も、セフィラたちはバウトとサンオンの周囲を守り続けている。
魔物の攻撃が飛んでくれば、ニーナシュンの【雷光大盾】が受け止める。
別方向から攻撃されれば、ガルロードの【反動防壁】がその攻撃をはね返した。
上空から近付こうとする魔物には、シドレアがすぐに攻撃を仕掛ける。
防御は問題なさそうだな。
俺は目の前の魔物へ攻撃を放ち、そのまま次の敵へ向かう。
そして――。
しばらくすると、周囲にいた魔物たちは全て倒されていた。
「ふぅ……終わったな」
「そうっすね」
俺とリョウは武器を下ろす。
従魔たちもそれぞれ俺たちの側へ戻って来た。
怪我をした奴もいないみたいだ。
良かった。
俺がそう思いながらバウトとサンオンへ顔を向けると――。
二人は俺たちと従魔たちを、驚いた様子で見つめていた。
「……凄いですね」
「噂では聞いていましたが……まさかここまでとは思いませんでした」
「そうですか?」
俺は思わずリョウを見る。
リョウも俺と同じような顔をしていた。
いやいや。
そんなに驚かれるような事をしたつもりはないんだけどな。
「それじゃジェノヴィラ山岳に向かいますか、バウト」
「分かりました。それじゃ案内しますね」
こうして俺たちは、ジェノヴィラ山岳に向かうのであった。
だが、この魔物の大群との戦いはまだ序章だった。
のちに洞窟内で更なる魔物と遭遇する事を、俺たちはまだ知らないのであった。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今回は、トレンたちが六日間の移動を経て東エリア・バグヴァラの街へ到着し、新たなホームを購入するところから、ジェノヴィラ山岳へ向かう途中で魔物の大群と遭遇するまでを描きました。
バウトとサンオンとも呼び捨てで呼び合うようになり、これから四人で特殊イベントを進めていく中で、少しずつ距離も近付いていきます。
そして今回、姿を隠していた従魔たちも加わり、バウトとサンオンはトレンとリョウ、そして従魔たちの連携した戦いを初めて目の当たりにする事になりました。
しかし、今回の魔物の大群との戦いはまだ序章です。
次回はいよいよジェノヴィラ山岳へ入り、特殊イベントに関係する洞窟へ向かっていきますので、そこで何が待っているのか楽しみにしていただけたら嬉しいです。
最後になりますが、ブックマークや評価、ご感想をいただけますと、今後の執筆の励みになります。
これからも『VRMMOでスローライフするつもりがなぜかソロ最強プレイヤー?』をよろしくお願いいたします。




