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VRMMOでスローライフするつもりがなぜかソロ最強プレイヤー?  作者: うさだデジ子
第1エリア〜東エリア・バグヴァラの街編

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EPISODE.263話〘二人との出会いが繋ぐ縁――従魔たちとの新たな旅〙

いつも読んでいただきありがとうございます。


今回も引き続き、ナナとマイのSideストーリーとなります。


初イベントの中で新たな出会いを経験した二人が、これまでとは少し違った形でVRMMOの世界を楽しんでいくお話になります。


二人にどのような変化が生まれていくのか、最後まで楽しんでいただけたら嬉しいです。


それでは、EPISODE.263話をお楽しみください。

【進捗状況:1%】


その表示を見てから、私とマイは今までとは違う方法で依頼を探す事にした。


街を歩きながらNPCたちへ声を掛けたり、お店で買い物をしたりする。


だけど、すぐに依頼が発生する訳ではなかった。


そんな中――。


一人のおばあさんが、荷物を持ったまま突然その場に倒れた。


「大丈夫ですか? おばあちゃん」


私とマイはすぐに駆け寄る。


「大丈夫だよ。荷物を持って自宅へ帰る途中だったんだけどね」


「それなら、私たちが自宅まで運びますよ」


「そうかい。それならお願いするよ」


その瞬間――。


【依頼クエスト】


【依頼内容:自宅まで荷物を運ぶ】


【依頼主:レノム】


「発生したわ、マイ!」


「やっぱり自分から行動するのが正解だったみたいね」


私たちはレノムおばあちゃんの荷物を持ち、自宅まで送り届けた。


家の中へ荷物を運び終えると――。


【依頼クエスト完了】


【進捗状況:2%】


「やったわね」


「ええ。これで進め方は分かったわ」


ようやく自分たちでも依頼クエストを達成する事が出来た。


その後、私とマイが宿泊場所について話していると、レノムおばあちゃんが声を掛けてきた。


「そういえばマイ、宿屋も探さないといけないわね」


「そうね。イベント中ずっと外で寝る訳にもいかないし」


「それなら、ここに泊まっていきなさい」


「「え?」」


「いいんですか?」


「構わないよ。この街の宿屋は十部屋しかないからね。もう空いていないかもしれないよ」


私たちはレノムおばあちゃんの好意に甘え、イベント中はこの家を拠点にする事になった。


それからは、買い物を頼まれれば街へ向かい、隣の畑で人手が足りなければ手伝う。


私とマイは、自分たちから積極的にNPCたちへ声を掛けるようになっていった。


すると少しずつ依頼クエストも発生し、進捗状況も上がっていった。


そしてイベントが進んだある日――。


参加者全員が街の噴水広場へ集められ、協力クエストが発生した。


内容は、騎士たちへの救援物資の運搬と、生産に必要な素材の収集。


私とマイは、他のプレイヤーたちへどちらを選ぶのか聞いて回っていた。


そこで出会ったのが――。


【トレン】と【リョウ】。


掲示板でも何度か名前を見た事がある二人だった。


私たちは二人へ声を掛け、そのまま一緒に行動する事になった。


最初は救援物資の運搬。


準備された大量の物資を前にしていると、トレンが私たちへ声を掛けてきた。


「俺たちが運ぶから、ナナさんとマイさんは次の準備をお願い致します」


トレンはそう言って、私とマイに頭を下げた。


「分かったわ。こっちは任せて」


「ええ。二人も気を付けてね」


トレンとリョウが救援物資を運んでいる間に、私たちは次に必要になる物の準備を進めた。


しばらくすると、二人が戻って来る。


「あの量で大丈夫そうよ」


「ありがとうございます」


無事に救援物資の運搬を終えた私たちは、次に素材を集めるため採取場所へ向かった。


だけど――。


そこで私とマイは、信じられない光景を見る事になる。


採取場所では、シーキャッツたちが素材を奪っていた。


トレンとリョウは状況を確認すると、すぐに従魔たちへ指示を出す。


そして――。


私とマイが驚く間もなく、シーキャッツたちは従魔たちの攻撃によって次々と倒されていった。


「「…………え?」」


あまりにも一方的だった。


「ちょっと待って……従魔って、こんなに強いの?」


「私も初めて見たわよ……」


その後も私たちはトレンとリョウと一緒に行動する機会があった。


そして二人と話していく中で、さらに驚かされた。


従魔たちを育てているだけではない。


冒険者ギルドだけではなく、商業ギルドやテイマーギルドのランクまで上げながら、この世界を楽しんでいる。


私たちは今まで、冒険者ギルドで依頼を受け、レベルを上げて先へ進む事ばかり考えていた。


「私たち……今まで何やっていたのかしらね」


私がそう言うと、マイも苦笑いする。


「本当にね。ギルドクエストを受けて、レベルを上げて、先へ進む事しか考えてなかったもの」


「始まりの街にも、まだ知らない事がたくさんあったって事よね」


「そうみたいね」


先へ進む事ばかり考えていた。


だけど、本当は最初にいた【始まりの街】にも、まだ私たちが知らない場所や出来る事がたくさん残っていたのだ。


イベントではその後、私たちも【地の精霊】の卵を手に入れた。


さらに、トレンとリョウと共に経験した一人の老人との出来事を通して、【マジックボックス】と【精霊の契約】も受け取る事になった。


そして――。


私たちにとって初めてのイベントは終了した。


イベントが終わった頃には、私とマイのゲームに対する考え方は、始めた頃とは大きく変わっていた。


そんなある日の事。


私はいつも通り会社で仕事をしていた。


その日は取引に関するアポイントの予定が入っており、私と井野は応接室で相手を待っていた。


しばらくすると、一人の男性が部屋へ入って来る。


「初めまして、西石京介と言います。本日はよろしくお願い致します」


「こちらこそ、よろしくお願いします」


だけど――。


その声を聞いた瞬間、私は隣にいる井野を見る。


井野も私を見ていた。


聞き間違えるはずがない。


ゲームの中で何度も聞いた声。


【リョウ】だった。


まさかリアルで会う事になるなんて、私も井野も思っていなかった。


だけど西石さんは、私たちが【ナナ】と【マイ】だとは気付いていない様子だった。


私と井野はそのまま仕事として西石さんから提案内容を聞き、契約する意思を伝えた。


「最終契約については、部長さんにも来ていただいて、四人で会食をしながら話しましょう、西石さん」


「ありがとうございます。それでは部長と一緒に、指定されたお店へ伺います」


そして仕事を終えた後――。


私と井野は一足先に店へ到着し、二人を待っていた。


しばらくすると、西石さんともう一人の男性が店へ入って来る。


「お待たせしました。東条蓮吾です。本日はよろしくお願い致します」


その声を聞いた瞬間――。


私と井野は再び顔を見合わせた。


今度は間違いない。


西石さんが【リョウ】。


そして東条さんが――【トレン】。


ゲームの中で出会った二人と、まさか現実でもこうして会う事になるとは思っていなかった。


その後、仕事の話を終え、食事をしながら話している時だった。


私は井野を見る。


井野も小さく頷いた。


「東条さん、西石さん。実は私たち、二人に言っていない事があるの」


「言っていない事ですか?」


私は少し笑いながら二人を見る。


「私が――ナナよ」


「そして私がマイ」


「「…………え?」」


二人はしばらく固まったまま、私たちを見つめていた。


その反応がおかしくて、私と井野は思わず笑ってしまった。


こうしてゲームの中で出会った四人は、現実でもお互いの正体を知る事になった。


そして初イベントが終わってから、私とマイはゲームの進め方を変える事にした。


まず向かったのは――【始まりの街】。


先へ進む前に、まだ自分たちが知らない事をもっと知りたかった。


商業ギルドの依頼を受ける。


テイマーギルドにも通う。


今までほとんど気にしていなかった事にも、積極的に挑戦した。


そしてしばらく依頼をこなしていく内に、私とマイは商業ギルドとテイマーギルドのランクを5まで上げる事が出来た。


「ようやくランク5ね」


「結構時間掛かったわね」


「でも、前よりゲームを楽しめてる気がするわ」


「それは私も同じよ」


その日の活動を終え、私たちはホームへ戻った。


そこで私は、イベントで受け取った【地の精霊】の卵の様子を確認する。


すると――。


「…マイ、ちょっと来て」


「どうしたの?」


「卵が……光ってる」


二つの卵から淡い光が漏れ、少しずつ揺れ始めていた。


「もしかして……」


「孵化が始まるんじゃない?」


そして――。


二つの卵が強い光に包まれる。


光が消えた時、そこには二体の小さな精霊が立っていた。


「生まれた……」


「可愛いわね」


私は自分の前にいる精霊を見る。


「あなたの名前は――ストム」


マイも隣にいる精霊へ微笑む。


「あなたはグラネスね」


こうして私たちは、初めて自分たちの従魔を仲間に迎えた。


そしてもう一つ。


イベントで手に入れた【精霊の契約】。


私は【水の精霊】。


マイは【風の精霊】を選んでいた。


私は指輪を指にはめる。


すると、指輪が淡い光を放ち始めた。


私は静かに目を閉じ、言葉を口にする。


「我が名はナナ。精霊の契約を結び、汝と共に――我が呼び掛けに応えよ」


次の瞬間――。


指輪が強い光を放つ。


私の目の前に、水を纏った一体の精霊が姿を現した。


「あなたが……水の精霊」


私はその精霊を見つめ、名前を付ける。


「あなたの名前はヴィーナよ」


そして隣では、マイも【精霊の契約】を使っていた。


風が巻き起こり、その中から新たな精霊が姿を現す。


「あなたはエルマ。これからよろしくね」


こうして――。


私には【ストム】と【ヴィーナ】。


マイには【グラネス】と【エルマ】。


新しい仲間たちが増えた。


始めたばかりの頃の私たちは、ただ依頼を受け、レベルを上げ、先へ進む事しか知らなかった。


だけど今は違う。


この世界には、まだ私たちの知らない事がたくさんある。


そして、それを教えてくれたきっかけの一つが――。


【トレン】と【リョウ】との出会いだった。


「行きましょう、マイ」


「ええ。今度はみんな一緒にね、ナナ」


私たちは新しく仲間になった従魔たちと共に、ホームを出る。


こうして――。


私とマイ、そして従魔たちとの新たな旅が始まったのであった。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


今回は、ナナとマイが初イベントの中でトレンとリョウと出会い、二人と行動する事で自分たちのこれまでの遊び方を見つめ直していくお話となりました。


ゲームの中だけではなく、現実でも思わぬ形で再会する事になった四人。


そしてナナとマイは、再び始まりの街へ戻り、商業ギルドやテイマーギルドにも目を向けながら、これまでとは違った楽しみ方を見つけていきました。


さらに、新たにストム、グラネス、ヴィーナ、エルマを仲間に迎え、二人と従魔たちとの新しい旅も始まります。


今回で、ナナとマイのSideストーリーは一旦ここまでとなります。


二人のSideストーリーは、また物語が進んだところで再開する予定ですので、その時を楽しみにしていただけたら嬉しいです。


最後になりますが、ブックマークや評価、ご感想をいただけますと、今後の執筆の励みになります。


これからも『VRMMOでスローライフするつもりがなぜかソロ最強プレイヤー?』をよろしくお願いいたします。

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