EPISODE.258話〘未知の超希少幻鉱石――炎轟霊極麗煉炎黎雫鉱石〙
EPISODE.258話です。
いよいよトレンとリョウが出品した最後の一つが登場します。
最後の出品物は、誰も知らない未知の超希少幻鉱石【炎轟霊極麗煉炎黎雫鉱石】。
サンオンや東エリアの最強錬金術師すら知らない鉱石を前に、最後の競りは一体どこまで金額が上がるのか。
そして、長かったシークレットオークションもいよいよ最後を迎えます。
今回もよろしくお願いします。
そしていよいよ――。
俺とリョウが出品した最後の一つが、壇上へ運ばれようとしていた。
ここまでの落札総額は七百億G。
既に俺たちの予想を遥かに超えている。
そんな中、主催者が最後の出品物を壇上へ運び、会場内を見渡した。
「それでは皆様、いよいよ最後の出品物となります!」
会場内の視線が一斉に壇上へ集まる。
そして主催者が、最後の出品物を紹介した。
「最後の出品物はこちら――超希少幻鉱石【炎轟霊極麗煉炎黎雫鉱石】一点となります!」
その名前が告げられた瞬間――。
会場内が静まり返った。
誰一人として声を上げない。
それどころか、各エリアの商人や鍛冶師、錬金術師たちも、聞いた事のない名前に困惑した表情を見せていた。
「……何だ、その鉱石は?」
「炎轟霊極麗煉炎黎雫鉱石……? 聞いた事がないぞ」
「超希少幻鉱石と言ったが、本当にそんな鉱石が存在するのか?」
少しずつ会場内がざわつき始める。
そして――。
俺とリョウが最も驚いたのは、サンオンと東エリアの最強錬金術師の反応だった。
いつも冷静な二人でさえ、今回は驚きを隠せない表情を見せていた。
サンオンが壇上の鉱石を見つめながら口を開く。
「未知の鉱石だと……?」
続いて東エリアの最強錬金術師も、驚いたまま俺とリョウへ視線を向けた。
「トレンとリョウは、一体どういう経緯でこれを入手したのだ……?」
どうやら、この二人ですら【炎轟霊極麗煉炎黎雫鉱石】を知らないらしい。
その反応を見た会場内が、さらに大きくざわついた。
「サンオン様も知らないのか!?」
「東エリアの最強錬金術師様まで知らない鉱石だと……!?」
「本当に誰も知らない鉱石なのか……」
主催者は、ざわつく会場内を見渡しながら説明を始めた。
「こちらの【炎轟霊極麗煉炎黎雫鉱石】は、非常に扱いが難しい特殊な超希少幻鉱石となります!」
「武器や防具の製作に使用する事が可能ですが、完成するまでどのような性能になるのか分からない特殊な鉱石でもあります!」
参加者たちが一斉に壇上へ注目する。
「さらに、この鉱石を使用して完成した武器や防具には、必ず何らかの付与が発現いたします!」
「ただし、どのような付与が発現するのかは、実際に完成するまで分かりません!」
会場内から再び驚きの声が上がった。
「必ず付与が付くのか!?」
「だが、完成するまで何が付くのか分からない……」
「扱いが難しいというのは、そういう事か」
主催者は参加者たちの反応を確認すると、さらに説明を続けた。
「そして今回、この鉱石を使用して製作された武器の一例として、リョウ様から事前に武器をお借りしております!」
「俺の武器っすね」
リョウが小さな声で呟く。
すると壇上へ、一つの武器が運ばれてきた。
主催者がその武器を手に取り、会場内へ見せる。
「こちらが【炎轟霊極麗煉炎黎雫鉱石】を使用して製作された武器――【炎帝轟黎グロー】となります!」
その瞬間――。
会場内の一部から驚きの声が上がった。
「なっ……その武器は!?」
「【炎國乃黎闘翠】が所持している武器じゃないか!?」
「まさか、あの武器に使われている鉱石なのか!?」
先ほどまで未知の鉱石に困惑していた参加者たちの表情が一気に変わる。
主催者はそのまま【炎帝轟黎グロー】について説明した。
「こちらは火属性専用武器となっており、攻撃力は5000!」
「さらに付与スキル【轟黎煉炎拳】を備えております!」
「攻撃が命中した後、火属性魔法による追加攻撃が発動する武器となります!」
会場内から再び大きなどよめきが上がる。
「攻撃後に火属性魔法の追加攻撃だと!?」
「それが鉱石によって付与された能力なのか……!?」
「なら、この鉱石を使って別の武器や防具を作ったら、一体何が付くんだ……」
参加者たちが【炎轟霊極麗煉炎黎雫鉱石】を見る目は、完全に変わっていた。
「なお、こちらの【炎帝轟黎グロー】は複数の鉱石を組み合わせて製作されておりますが、その他の素材につきましては非公開となっております!」
「また、【炎轟霊極麗煉炎黎雫鉱石】の入手場所及び入手経緯についても、出品者の希望により非公開となっております!」
その説明に、会場内ではさらにざわめきが広がった。
だが、先ほどまでとは違う。
今度は誰もが、この未知の鉱石を競り落とそうとしているようだった。
主催者もそれを感じ取ったのか、大きく声を張り上げる。
「それでは、最後の出品――【炎轟霊極麗煉炎黎雫鉱石】一点の競りを開始いたします!」
一度言葉を区切り――。
「開始価格は十億Gからです!」
競りが始まった。
「十五億G!」
「三十億G!」
「四十五億G!」
「五十億G!」
開始直後から金額が一気に跳ね上がっていく。
そして――。
「七十五億G!」
「百億G!」
その金額が告げられた瞬間、会場内から大きなどよめきが上がった。
主催者も驚きを隠せない表情を見せる。
「ひゃ、百億Gです!! これまでで最速の三桁億へ突入しました!!」
俺とリョウも、その勢いに驚きながら競りを見守っていた。
だが――。
ここから、さらに競りが大きく動き始める。
それまで様子を見ていたサンオンが手を挙げた。
「百二十五億G。」
「百二十五億Gです!!」
すると、西エリアの商人がすぐに続く。
「百四十億G!」
そして――。
東エリアの最強錬金術師も競りへ参戦した。
「百七十五億G。」
「百七十五億Gです!!」
会場内の空気が一気に変わった。
サンオンと東エリアの最強錬金術師まで競りに参加した事で、各エリアの鍛冶師たちも次々と動き始める。
「百八十億G!」
「百九十億G!」
「二百億G!」
「二百二十億G!」
「に、二百二十億Gです!!」
それでも競りは止まらない。
今度は各エリアの商人たちが勝負に出る。
「二百三十五億G!」
「二百四十五億G!」
「二百六十億G!」
僅かな時間で、二百六十億Gまで跳ね上がった。
ここまで来ると、ほとんどの商人や鍛冶師たちが競りから降り始める。
だが――。
まだ二人だけ残っていた。
サンオンと、東エリアの最強錬金術師。
サンオンが静かに手を挙げる。
「二百六十五億G。」
東エリアの最強錬金術師も、間を置かずに金額を上げた。
「二百七十億G。」
会場内が静まり返る。
二人とも、この未知の超希少幻鉱石を譲るつもりはないようだった。
しばらく考えていたサンオンが、ゆっくりと手を挙げた。
そして――。
「……残り全額いく。二百八十五億G。」
その瞬間――。
会場内が騒然となった。
「残り全額だと!?」
「二百八十五億G!?」
「そこまでして競り落とすつもりなのか!?」
主催者も驚きを隠せない表情でサンオンを見ていた。
「に、二百八十五億Gです!! サンオン様、残りの所持金全額を提示しました!!」
さすがに決まった。
俺もリョウも、会場にいる参加者たちもそう思った。
主催者も落札を宣言しようとした――その時だった。
東エリアの最強錬金術師が、静かに手を挙げる。
「……こちらも全額だ。三百億G。」
一瞬――。
会場内から音が消えた。
そして次の瞬間。
「さ、三百億Gです!!」
主催者の声が会場内へ響き渡る。
「遂に三百億Gへ到達しました!! これまでの最高落札額を大きく更新です!!」
会場内から、これまでで一番大きなどよめきが巻き起こった。
「三百億G!?」
「未知の鉱石一個に三百億Gだと!?」
「二人とも全額勝負だったのか……!?」
サンオンは東エリアの最強錬金術師を見つめたまま、悔しさを隠せない表情を浮かべていた。
だが、既に残りの所持金全額を提示している。
それ以上、金額を上げる事は出来なかった。
サンオンはしばらく壇上の【炎轟霊極麗煉炎黎雫鉱石】を見つめた後、静かに手を下ろした。
主催者は改めて会場内を見渡す。
「三百億Gです! 他にご入札はございませんか!?」
誰一人として手を挙げない。
そして――。
「それでは、最後の出品【炎轟霊極麗煉炎黎雫鉱石】一点――三百億Gで落札です!!」
こうして俺とリョウが出品した最後の超希少幻鉱石【炎轟霊極麗煉炎黎雫鉱石】は、東エリアの最強錬金術師によって三百億Gで競り落とされた。
まさかの最高落札額更新に、俺とリョウは唖然としていた。
「三百億G……最高落札額を更新したっすね、トレン」
「ああ……。俺たちが出品した八つの落札総額は千億Gだ」
「全額使ったのに、それ以上になって戻ってきたっすね」
「ああ。とにかく、残りを見ながら少し落ち着こう」
俺とリョウはそう言いながら、再び壇上へ視線を向けた。
その後もシークレット出品は続き、次々と落札されていった。
そして――。
主催者が会場内を見渡し、大きく声を張り上げた。
「以上をもちまして、今回のシークレットオークションを終了いたします!」
こうして、長かったシークレットオークションは幕を閉じるのである。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
最後の出品物として登場した、未知の超希少幻鉱石【炎轟霊極麗煉炎黎雫鉱石】。
サンオンと東エリアの最強錬金術師による全額勝負の末、最高落札額を更新する三百億Gで落札されました。
そして、トレンとリョウが出品した八つの落札総額は、まさかの千億Gとなりました。
長かったシークレットオークションもついに終了し、次回はオークションを終えたトレンとリョウたちのその後へと続きます。
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