EPISODE.257話〘シークレット出品――硬巌玄甲轟の甲巌〙
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
今回もシークレット出品の続きになります。
次に出品されるのは【硬巌玄甲轟ダードライアンヴァーの甲巌】。
ボス級魔獣から入手した特殊素材を巡り、再び競りが始まります。
果たしてどのような競りになるのか。
最後までお読みいただけたら嬉しいです。
【火霊結晶雫鉱石】の競りが終わり、俺とリョウの出品は残り二つとなった。
ここまでの落札総額は五百九十九億G。
俺たちは予想以上の金額に驚きながら、次の出品を待っていた。
すると、壇上では次の出品物の準備が始まる。
「それでは皆様、続いての出品物をご紹介いたします!」
主催者が壇上へ運ばれてきた素材へ手を向けた。
「続いての出品物はこちら――【硬巌玄甲轟ダードライアンヴァーの甲巌】一点となります!」
その名前が告げられると、会場内がざわつき始めた。
「硬巌玄甲轟ダードライアンヴァー……?」
「ボス級魔獣の素材か」
主催者は、そのまま説明を続ける。
「こちらは、トレン様とリョウ様が【炎國乃黎闘翠】と共闘し、【硬巌玄甲轟ダードライアンヴァー】を殲滅した際に入手した特殊な魔獣素材となります!」
「なお、討伐場所の詳細につきましては、出品者の希望により非公開となっております!」
その説明に、会場内から再び声が上がった。
「またギルド四天王との共闘で手に入れた素材なのか」
「しかも討伐場所は非公開か……」
そして主催者は、【甲巌】の特徴について説明を始める。
「こちらの素材は非常に高い強度を持ち、特に防御盾の製作に適した特殊素材となります!」
「さらに鎧などの防具を製作する際の補強素材としても使用可能です!」
各エリアの防具職人や商人たちが、一斉に壇上へ視線を向ける。
だが、説明はそれだけではなかった。
「そして、この素材を使用した防具には、一定時間ごとにHPを三%回復する効果を付与することも可能となっております!」
その瞬間――。
会場内が大きくざわめいた。
「HP回復まで付与できるのか!?」
「高い強度に加えて回復効果まであるとは……」
「盾だけじゃなく、防具の補強にも使えるなら欲しいな」
各エリアの防具職人たちの表情が変わる。
そんな中、南エリアの一人の防具職人だけは、静かに【甲巌】を見つめていた。
その防具職人は【炎國乃黎闘翠】の専属職人だった。
普段からメンバー達が持ち帰った素材を受け取り、意見を聞きながら、それぞれに合った防具を製作しているらしい。
そして――。
【硬巌玄甲轟ダードライアンヴァーの甲巌】についても、その特徴を知っていた。
この素材にはHP回復効果だけではなく、地属性魔法に対して高い耐性を持つ特徴がある。
自分が持っている素材と組み合わせ、新たなオリジナル防具を製作するつもりのようだった。
主催者は会場内を見渡すと、競りの開始を告げる。
「それでは、【硬巌玄甲轟ダードライアンヴァーの甲巌】一点――開始価格三億Gから競りを開始いたします!」
すぐに入札が入った。
「六億G!」
「十億G!」
「十八億G!」
さらに金額が上がっていく。
「二十二億G!」
「二十六億G!」
そして――。
「三十億G!」
「三十億Gです!!」
主催者の声が会場内へ響き渡る。
俺とリョウも、競りの行方を静かに見守っていた。
すると――。
ここまで競りの様子を見ていた南エリアの防具職人が、初めて手を挙げた。
「四十五億G。」
その瞬間――。
会場内がざわめいた。
「よ、四十五億Gです!!」
主催者も驚きを隠せない様子で声を張り上げる。
「三十億Gから一気に四十五億Gへ上がりました!!」
その金額を聞き、他のエリアの防具職人たちも動き始めた。
北エリアの防具職人が手を挙げる。
「五十五億G!」
続いて東エリア。
「六十五億G!」
そして西エリアの防具職人も勝負に出た。
「七十五億G!」
金額が次々と跳ね上がっていく。
「七十五億Gです!!」
主催者も興奮した様子で競りを進めていた。
だが――。
今度は南エリアの商人が手を挙げる。
「八十六億G!」
「八十六億Gです!!」
会場内から大きなどよめきが上がった。
さすがにここまでか。
俺もそう思った――その直後だった。
先ほどの南エリアの防具職人が、再び静かに手を挙げる。
「百一億G。」
一瞬――。
会場内が静まり返った。
俺とリョウも、思わずその防具職人へ視線を向ける。
「ひゃ、百一億Gです!!」
主催者も驚きを隠せない様子だった。
「遂に三桁億へ突入しました!! 【硬巌玄甲轟ダードライアンヴァーの甲巌】一点に、百一億Gです!!」
会場内が再び騒然となる。
「百一億Gだと!?」
「ボス級素材とはいえ、そこまで上がるのか!?」
「あの防具職人、何か知っているんじゃないのか……?」
南エリアの商人も、防具職人へ視線を向ける。
だが、それ以上手を挙げることはなかった。
他のエリアの防具職人たちからも、新たな入札はない。
主催者は改めて会場内を見渡す。
「百一億Gです! 他にご入札はございませんか!?」
誰一人として手を挙げなかった。
そして――。
「それでは、【硬巌玄甲轟ダードライアンヴァーの甲巌】一点――百一億Gで落札です!!」
こうして【硬巌玄甲轟ダードライアンヴァーの甲巌】は、南エリアの防具職人によって百一億Gで競り落とされた。
すると、リョウが俺に聞こえるくらいの声で呟いた。
「トレン、これで落札総額七百億Gっすよ」
「ああ……。まさかここまでの金額になるとは思ってなかったよ」
これで俺たちが出品した物は、残りあと一つ。
俺とリョウは、最後の出品を静かに待つのであった。
だが――。
俺とリョウは、この後に控えている最後の出品【炎轟霊極麗煉炎黎雫鉱石】によって、再び驚く事になる。
何故なら――。
会場にいる誰一人として、その鉱石の存在を知らなかったのである。
完全なる未知の超希少幻鉱石――【炎轟霊極麗煉炎黎雫鉱石】。
その最後の出品が、始まろうとしていた。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
今回は【硬巌玄甲轟ダードライアンヴァーの甲巌】の出品となりました。
これでトレンとリョウが出品した物は、残りあと一つとなります。
そして最後に控えているのは、会場にいる誰も知らない未知の超希少幻鉱石。
次回も引き続き、シークレット出品の続きをお届けします。
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