EPISODE.255話〘シークレット出品――希少幻鉱石・火霊結晶雫鉱石〙
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
今回もシークレット出品の続きになります。
次に出品されるのは、希少幻鉱石【火霊結晶雫鉱石】。
五個ある鉱石をどのように競るのか、そしてどのような結果になるのか。
最後までお読みいただけたら嬉しいです。
【緑地樹怨デスダーグプッギの大木樹】の競りが終わり、俺とリョウの出品は残り三つとなった。
次に何が出品されるのか。
俺とリョウが壇上を見守っていると、主催者が次の出品物の準備を始めた。
そして――。
壇上へ運ばれてきたのは、見覚えのある五個の鉱石だった。
「それでは皆様、続いての出品物をご紹介いたします!」
主催者が五個の鉱石へ手を向ける。
「続いての出品物はこちら――希少幻鉱石【火霊結晶雫鉱石】五個となります!」
その名前が告げられた瞬間――。
会場内が一気にざわめき始めた。
「【火霊結晶雫鉱石】だと!?」
「あの希少幻鉱石が五個もあるのか!?」
「まさか実物を見る日が来るとは……」
各エリアの商人や鍛冶師たちが、一斉に壇上へ視線を向ける。
そんな中――。
サンオンと東エリアの最強錬金術師も、普段の冷静な表情を僅かに変えていた。
二人とも【火霊結晶雫鉱石】という名前は知っていたようだ。
だが、実物を見るのは初めてらしい。
サンオンは壇上の鉱石を静かに見つめながら、小さく呟いた。
「…これが【火霊結晶雫鉱石】か」
東エリアの最強錬金術師も、鉱石から視線を逸らすことなく言った。
「名前は知っていたが……実物を見るのは初めてだ」
その反応を見ただけでも、【火霊結晶雫鉱石】がどれほど珍しい鉱石なのか分かる。
主催者は会場内が落ち着くのを待つと、説明を続けた。
「こちらの【火霊結晶雫鉱石】は、武器・防具・アイテム製作などに使用することができる希少な鉱石となります!」
「なお、採掘場所につきましては、出品者であるトレン様とリョウ様の希望により非公開となっております!」
その説明に、参加者たちから再び声が上がる。
「採掘場所は非公開か……」
「それなら、ここで手に入れるしかないな」
「五個あるなら一個でも競り落としたいところだ」
商人だけでなく、各エリアの鍛冶師たちも【火霊結晶雫鉱石】を競り落とすつもりのようだった。
すると――。
東エリアの最強錬金術師が静かに手を挙げた。
「一つ確認してもいいか?」
主催者が東エリアの最強錬金術師へ視線を向ける。
「はい。どうぞ」
「その【火霊結晶雫鉱石】五個は、一度に競りへ出す予定なのか? それとも分けて出品するのか?」
その質問を聞いた参加者たちが、再び壇上へ注目する。
すると、今度はサンオンが口を開いた。
「もし分けるのであれば、三回に分けてもらえると助かる。その方が、ここにいる皆も競りに参加しやすいだろう」
「確かに、その方がありがたい」
「五個まとめてでは、競り落とせる者も限られるからな」
各エリアの商人や鍛冶師たちからも賛同する声が上がった。
主催者はその反応を確認すると、俺とリョウへ視線を向けた。
「トレン様、リョウ様。このようなご提案がございましたが、いかがいたしましょうか?」
俺が隣を見ると、リョウはすぐに答えた。
「トレンの意見で問題無いっす」
「わかった。俺の意見でいくよ」
そして俺は、主催者へ自分の考えを伝えた。
「わかりました。サンオン様と東エリアの最強錬金術師様のご提案に了承いたします」
俺は少し考えてから続ける。
「それなら、最初は一個。その後は二個ずつの三回に分けるのはどうでしょうか?」
主催者は頷いた。
「承知いたしました!」
そして会場内へ向き直る。
「それでは【火霊結晶雫鉱石】五個は、一個、二個、二個の三回に分けて競りを行います!」
その決定に、各エリアの商人や鍛冶師たちが一斉に壇上へ視線を向ける。
まず競りに出されるのは一個。
主催者は【火霊結晶雫鉱石】を示すと、大きく声を張り上げた。
「それでは第一回目――【火霊結晶雫鉱石】一個の競りを開始いたします! 開始価格は二億Gからです!」
開始直後――。
「四億G!」
すぐに入札が入った。
続けて別の参加者が手を挙げる。
「八億G!」
「十二億G!」
僅かな時間で金額が二桁億へ突入する。
主催者も競りの勢いに興奮した様子で声を上げた。
「早くも十二億G! 二桁億へ突入しました! このまま早期決着となるのでしょうか!?」
だが――。
競りはまだ終わらなかった。
「十六億G!」
「二十億G!」
金額がさらに上がる。
そして二十億Gを超えたところで、各エリアの商人や鍛冶師たちが本格的に勝負へ動き始めた。
最初に手を挙げたのは、北エリアの鍛冶師だった。
「二十七億G!」
「二十七億Gです!!」
すると、南エリアの商人がすぐに続く。
「三十四億G!」
「三十四億Gです!! まだ上がります!」
今度は西エリアの鍛冶師が手を挙げた。
「四十億G!」
会場内が大きくざわめく。
「四十億Gまで上がったぞ!」
「一個で四十億Gだと!?」
主催者も興奮を隠せない様子で声を張り上げた。
「四十億Gです!! 【火霊結晶雫鉱石】一個に四十億Gが提示されました!!」
さすがにここまでかと思った――その時だった。
東エリアの鍛冶師が静かに手を挙げる。
「四十六億G!」
その瞬間――。
会場内から大きなどよめきが上がった。
「四十六億G!?」
「まだ上がったのか!?」
主催者も一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに会場内へ声を響かせる。
「四十六億Gです!! 東エリアの鍛冶師から四十六億Gが提示されました!!」
北エリアの鍛冶師。
南エリアの商人。
そして西エリアの鍛冶師も、それ以上手を挙げることはなかった。
主催者は会場内を見渡す。
「四十六億Gです! 他にご入札はございませんか!?」
しばらく待っても、新たな入札はない。
そして――。
「それでは、【火霊結晶雫鉱石】一個――四十六億Gで落札です!!」
こうして第一回目の【火霊結晶雫鉱石】一個は、東エリアの鍛冶師によって四十六億Gで競り落とされた。
リョウが、俺に聞こえるくらいの声で呟いた。
「やっぱり希少幻鉱石は、かなり高かったっすね。しかも二桁億っすよ」
「ああ。覚悟はしていたが、次の二個がどこまで上がるのか見当もつかないよ」
第一回目の【火霊結晶雫鉱石】一個は、四十六億Gで競り落とされた。
そして――。
次に出品されるのは、【火霊結晶雫鉱石】二個。
俺とリョウは、次の競りがどうなるのか予想もつかないまま、静かに壇上を見守る。
こうして一回目の競りが終わり、二回目となる二個の競りが始まろうとしていた。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
今回は希少幻鉱石【火霊結晶雫鉱石】の出品となりました。
五個ある鉱石は三回に分けて競ることになり、まず一個目の競りが終了しました。
次回は、残る【火霊結晶雫鉱石】二個の競りへと続いていきます。
引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです。
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