EPISODE.253話〘シークレット出品――エリクサーポーション〙
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
今回もシークレット出品の続きになります。
次に出品されるのは【エリクサーポーション】。
果たして会場では、どのような反応を見せるのか。
最後までお読みいただけたら嬉しいです
シークレット出品も、徐々にヒートアップしていた。
これで俺たちが出品したポーションは三種類。
しかも、その全てがギルド四天王しか持っていない代物だった。
俺とリョウも、ここまで予想外の展開になるとは思わず、驚きを隠せなかった。
そんな中、壇上では次の出品物の準備が進められていた。
先ほど落札された【マジックポーション】が運ばれていき、入れ替わるように一本のポーションが壇上へ並べられる。
その光景を見た参加者たちが、再び壇上へ視線を向け始めた。
そして準備が整うと、主催者が会場内を見渡して大きく声を張り上げる。
「それでは皆様、続いての出品物をご紹介いたします!」
主催者が壇上に置かれた一本のポーションへ手を向けた。
「続いての出品物はこちら――【エリクサーポーション】一本です!」
その名前が告げられた瞬間――。
会場内が一気にざわめき始めた。
「エリクサーポーションだと!?」
「おい……まさか、あれまで出品されるのか!?」
「あれもギルド四天王しか持っていない代物だぞ……」
またか。
そんな声が会場内のあちこちから聞こえてくる。
【リフレクトポーション】。
【ポーション・極】。
【マジックポーション】。
そして今回の【エリクサーポーション】。
これまで出品されたポーションと同じく、【エリクサーポーション】もギルド四天王しか持っていない代物として知られていたらしい。
そして、ここまで三種類のポーションを見てきた参加者たちは、すでに何かを察していた。
商人や錬金術師たちの視線が、一斉に俺とリョウへ向けられる。
「……これも、まさか……」
「聞くまでもない気がするぞ……」
俺とリョウは何も言わず、静かに壇上を見守っていた。
そんな参加者たちの反応を見た主催者は、【エリクサーポーション】について説明を始める。
「こちらの【エリクサーポーション】も、皆様のご想像の通り――トレン様とリョウ様が製作されたオリジナルポーションとなります!」
やっぱりか。
その言葉と同時に、会場内から再び大きなどよめきが広がった。
「やっぱり二人だったのか……!」
「これで四種類目だぞ!?」
「ギルド四天王しか持っていないポーションを、四種類も製作しているのか……」
商人たちが驚く中、主催者はさらに説明を続ける。
「それでは、【エリクサーポーション】の効果についてご説明いたします!」
参加者たちの視線が壇上へ集まる。
「こちらの効果は――使用した者のHPとMPを完全回復!」
その瞬間――。
「HPとMPを両方だと!?」
「マジックポーションはMPだけだったはずだぞ!」
「それが一本で両方完全回復するのか!?」
会場内から驚きの声が次々と上がった。
だが、主催者の説明はまだ終わっていなかった。
「さらに【エリクサーポーション】には、使用した者のステータスを10%上昇させる効果も付与されています!」
「ステータスまで上昇するのか!?」
「HPとMPを完全回復して、さらに10%上昇だと……?」
参加者たちが再びざわめき始める。
主催者はその反応を確認すると、続けて効果の制限について説明した。
「ただし、ステータス10%上昇の効果が発動するのは、同じ魔物との戦闘中に一度のみとなります!」
「二回目以降に【エリクサーポーション】を使用した場合、ステータス上昇効果は発動いたしません!」
主催者が一度言葉を区切る。
そして――。
「ですが、HPとMPの完全回復に使用回数の制限はございません! 二回目以降でも、HPとMPの完全回復効果は発動いたします!」
その説明に、会場内からさらに声が上がった。
「二回目からはHPとMPの完全回復だけか……」
「それでも十分すぎるだろ……」
「長期戦なら何度でもHPとMPを完全回復できるということじゃないか」
HPとMPを同時に完全回復。
さらに最初の一度だけとはいえ、ステータスを10%上昇させる。
俺たちも性能が高いポーションだとは思っていたが、参加者たちの反応を見る限り、今回も俺たちが思っている以上の代物らしい。
そんな中、主催者は【エリクサーポーション】の製作について説明を始めた。
「そして、こちらの【エリクサーポーション】がどのように製作されているのかをご説明いたします!」
錬金術師たちが一斉に壇上へ注目する。
主催者は少し間を置くと、先ほどまでに出品された二種類のポーションの名前を告げた。
「製作に使用されているのは――【ポーション・極】と【マジックポーション】です!」
一瞬、会場内が静まり返った。
そして――。
「はぁぁぁぁ!?」
「待て! さっき出品された二種類じゃないか!?」
「あの二つを使っているのか!?」
先ほどまでとは比べものにならないほど、大きなどよめきが会場内へ広がった。
主催者は驚く参加者たちを前に説明を続ける。
「その通りです! 【ポーション・極】と【マジックポーション】――この二種類を錬成することで完成したものが、こちらの【エリクサーポーション】となります!」
その説明を聞いた錬金術師たちが、信じられない様子で壇上の一本を見つめる。
「二種類のポーションを錬成だと……?」
「そんな製作方法、聞いたことがないぞ……」
「ただ配合するだけじゃない。完成したポーション同士を錬成して、さらに別のポーションを作ったというのか……?」
錬金術師たちが騒然とする。
それも無理はない。
先ほど五本で三十億Gまで上がった【ポーション・極】。
そして二本で二十億Gまで上がった【マジックポーション】。
その二種類を錬成して完成させたものが、今壇上に置かれている【エリクサーポーション】なのだから。
商人たちも、その意味を理解したようだった。
「待てよ……」
「さっきの【ポーション・極】と【マジックポーション】を錬成したポーションなんだろ……?」
「だったら、この一本……一体どれだけの価値になるんだ……」
その言葉をきっかけに、会場内が再び大きくざわめき始めた。
俺とリョウも、そんな参加者たちの反応を見ながら壇上へ視線を戻す。
どうやら今回の【エリクサーポーション】も――。
簡単な競りでは終わりそうになかった。
主催者はざわつく会場内を見渡し、参加者たちが競りの開始を待っていることを確認すると、大きく声を張り上げた。
「それでは、【エリクサーポーション】一本の競りを開始いたします! 開始価格は――一億Gからです!」
「……一億G?」
思わず俺は小さく呟いた。
これまで出品したポーションの中でも、最初から億を超える開始価格は今回が初めてだった。
隣にいるリョウも驚いた様子で壇上を見ている。
だが、俺たちが驚いている間にも競りは始まった。
「二億G!」
すぐさま別の参加者が手を挙げる。
「四億G!」
「八億G!」
そして――。
「十六億G!」
開始価格の一億Gから、僅かな時間で十六億Gまで跳ね上がった。
主催者も予想以上の勢いに興奮した様子で声を張り上げる。
「十六億Gです! 今回もあっという間に二桁億へ突入しました!」
会場内から大きなどよめきが広がる。
しかし、競りの勢いは止まらなかった。
「二十億G!」
「二十五億G!」
さらに別の参加者が手を挙げる。
「三十億G!」
「三十億Gです!!」
主催者の声が会場内へ響き渡った。
俺とリョウは何も言わず、競りの行方を見守っていた。
……もう三十億Gかよ。
【ポーション・極】五本が落札された金額と同じだぞ。
しかも今回は――たった一本。
そんなことを考えている間にも、各エリアの商人たちは互いの様子を窺っていた。
ここまで競りに参加していた者たちも、三十億Gという金額を前に次々と手を引き始める。
だが――。
各エリアの商人たちは違った。
最初に勝負へ出たのは、北エリアの商人だった。
勢いよく手を挙げると、迷うことなく金額を告げる。
「ここまで来たら引くつもりはない。四十億G!」
その瞬間――。
「よ、四十億G!?」
「一気に十億Gも上げたぞ!」
「一本のポーションに四十億Gだと!?」
会場内が一気に騒然となる。
主催者も驚きを隠せないまま声を張り上げた。
「四十億Gです!! 四十億Gが提示されました!!」
だが、すぐに南エリアの商人が手を挙げる。
「この一本は何としても手に入れる。五十億G!」
「ご、五十億G!?」
再び会場内から驚愕の声が上がった。
俺とリョウも思わず南エリアの商人へ視線を向ける。
……五十億G?
さっきの【マジックポーション】二本が二十億Gだったんだぞ?
それが今回は一本で五十億G……。
主催者も完全に興奮した様子で声を上げる。
「五十億Gです!! 遂に五十億Gへ到達しました!!」
さすがにここまでか。
俺もそう思い始めていた。
だが――。
東エリアの商人が静かに手を挙げた。
「まだ終わりじゃない。六十億Gだ!」
一瞬――。
会場内が静まり返った。
そして次の瞬間。
「ろ、六十億G!?」
「まだ上がるのか!?」
「一本で六十億Gだぞ!!」
これまで以上のどよめきが会場内を包み込む。
主催者も提示された金額に驚きながら、興奮を抑えきれない様子で叫んだ。
「六十億Gです!! 【エリクサーポーション】一本に、遂に六十億Gが提示されました!!」
北エリアの商人は静かに首を横へ振る。
南エリアの商人も悔しそうにしながら、それ以上手を挙げることはなかった。
六十億G。
さすがにこれで決まった。
会場にいる誰もが、そう思ったようだった。
主催者も会場内を見渡しながら声を上げる。
「六十億Gです! 他にご入札はございませんか!?」
誰も手を挙げない。
東エリアの商人も、これで競り落としたと思ったのか静かに壇上を見つめていた。
その時――。
西エリアの商人がゆっくりと手を挙げた。
そして、落ち着いた口調で金額を告げる。
「……六十四億G。」
その瞬間――。
会場内が静まり返った。
俺も一瞬、聞き間違いかと思った。
だが――。
「ろ、六十四億Gです!!」
主催者の声が会場内へ響き渡る。
次の瞬間、大きなどよめきが巻き起こった。
「六十四億G!?」
「まだ上がったのか!?」
「一本のポーションだぞ!?」
東エリアの商人は西エリアの商人へ視線を向ける。
しばらく考えていたが、やがて静かに首を横へ振った。
これ以上は出さないようだった。
北エリア、南エリアの商人からも入札はない。
主催者は興奮した様子で会場全体を見渡す。
「六十四億Gです! 他にご入札はございませんか!?」
しばらく待っても、誰一人として手を挙げる者はいなかった。
そして――。
主催者は大きく頷く。
「それでは、【エリクサーポーション】一本――六十四億Gで落札です!!」
その宣言と同時に、会場内から盛大な拍手と歓声が沸き起こった。
こうして俺とリョウが出品した四つ目のポーション【エリクサーポーション】一本は、西エリアの商人によって六十四億Gで競り落とされた。
すると、リョウが小さな声で呟いた。
「やっぱり【エリクサーポーション】は、製作するのが難しかったみたいっすね、トレン」
「ああ。俺たちが普通に製作していたことの方が異常だったんだと、改めて思ったよ」
【ポーション・極】と【マジックポーション】を錬成して製作した【エリクサーポーション】。
俺たちにとっては、従魔たちと一緒に普通に製作していただけだった。
だが、今回のオークションで参加者や錬金術師たちの反応を見て、それが普通ではなかったことを改めて実感した。
……やっぱり、俺たちの従魔たちは優秀すぎるよな。
俺は改めて、そう思うのであった。
こうして、俺とリョウが出品した八つのうち半分が終わった。
そして俺たちは、残る四つの出品を静かに待つのであった。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
今回は、トレンとリョウが出品した【エリクサーポーション】の競りとなりました。
これで二人が出品した八つのうち、半分の出品が終了しました。
次回からは、残る四つの素材と鉱石の出品へと続いていきます。
引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです。
最後になりますが、ブックマークや評価、ご感想をいただけますと、今後の執筆の励みになります。
これからも『VRMMOでスローライフするつもりがなぜかソロ最強プレイヤー?』をよろしくお願いいたします。




