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VRMMOでスローライフするつもりがなぜかソロ最強プレイヤー?  作者: うさだデジ子
西エリアの街・ギレンバラの街・オークション編

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EPISODE.240話〘最後の出品――無属性マントの秘密〙

いつも『VRMMOでスローライフするつもりがなぜかソロ最強プレイヤー?』を読んでいただき、本当にありがとうございます。


前話では、サンオンが製作した《聖精霊盾》が二億Gという驚異的な金額で落札され、会場は大きな熱気に包まれました。


今回は、その熱気の中で最後の出品となる《無属性マント》が登場します。


トレンが思わず入札へ参加した理由、そしてオークションの裏側で動いていた運営Sideにもぜひ注目しながら、お楽しみいただければ嬉しいです。

聖精霊盾が二億Gで落札された後も、防具の出品は続いていた。


さまざまな防具が壇上へ運ばれ、そのたびに競りが行われ、次々と落札されていく。


落札額も数百万Gの品から数千万Gに達する品まであり、会場内の熱気が冷めることはなかった。


俺とリョウは競りへ参加することなく、それぞれの防具に使われている素材や製作方法の説明へ耳を傾けていた。


新たな武器や防具を製作するためにも、その一つひとつが貴重な参考になるからだ。


(やっぱりオークションへ出品される品は、滅多に手に入らない希少な物ばかりだな……。)


俺は改めて、このオークションの凄さを実感していた。


やがて、主催者は静かに前へ進み出る。


[皆様、お待たせいたしました。最後の出品をご紹介いたします。]


その一言に、会場内の視線が一斉に壇上へ集まる。


運び込まれたのは、一枚の黒を基調とした美しいマントだった。


主催者はゆっくりと口を開く。


[最後の出品は――『無属性マント』です。]


主催者は、ゆっくりと無属性マントへ手を添える。


[こちらの『無属性マント』は、東エリアの街・エボヴィの街でしか製作することができない超希少なマントです。]


参加者たちは真剣な表情で説明へ耳を傾ける。


[使用されている素材は、エボヴィの街の外に生息する特殊な魔物の素材を使用しております。なお、出品者様のご意向により、魔物名および素材名につきましては非公開とさせていただきます。]


会場内から驚きの声が漏れる。


[さらに、このマントは非常に軽量でありながら高い防御性能を誇り、あらゆる属性攻撃の影響を受けにくい特殊な性能を備えております。]


[現在、この『無属性マント』を製作できる者は、エボヴィの街の製作者様ただ一人。そのため、市場へ流通することは極めて稀な一品となっております。]


主催者の説明を聞きながら、俺はスキル発動させて、静かに壇上の無属性マントへ視線を向けた。


その瞬間――。


俺は思わず目を見開く。


(あの素材は……魔神四天王の素材だ……!?)


まさか、このような場所で目にするとは思ってもいなかった。


隣にいたリョウが、不思議そうな表情で俺を見る。

[どうしたっすか、トレン?]


俺は小さく首を横に振った。


[……今は話せない。オークションが終わったら話すよ。]


俺の表情から何かを察したのか、リョウは深く追及することなく静かに頷く。


[……分かったっす。]


俺は再び無属性マントへ視線を向ける。


その胸には、これまで感じたことのない不思議な胸騒ぎが広がっていた。


主催者は会場内を見渡すと、高らかに宣言した。


[それでは、『無属性マント』の競りを開始いたします。開始価格は二百万Gからです。]


その言葉と同時に、参加者たちが次々と声を上げる。


[二百万G!]

[三百万G!]

[五百万G!]

[八百万G!]


競りは順調に進み、参加者たちも次々と競り額を上げていく。


その時だった。

俺は静かに手を挙げる。


[二千万G。]


一瞬にして、会場内が静まり返った。


主催者も驚いた表情を浮かべながら声を張り上げる。


[おっと、勝負に出ました! 二千万Gです! 他にご入札はございませんか!?]


その声に反応するように、一人の参加者が競りへ加わる。


[二千五百万G!]


会場内には再び緊張感が走る。


しかし――。


俺は、この一声で勝負を決めるとばかりに口を開いた。


[五千万G。]


その一言が響いた瞬間、会場内は大きなどよめきに包まれる。


[ご、五千万Gだと!?]


[まさか、ここまで競り上げるとは……。]


商人たちも驚きを隠せなかった。


[くっ……それ以上は出せない。]


[あのマントは三千万Gほどの価値はある。だが、五千万Gを超えれば手は出せん……。]


誰もそれ以上の金額を口にする者はいなかった。

主催者は会場全体を見渡し、大きく頷く。


[五千万G! 他にご入札はございませんか?]


静寂が流れる。


[五千万G……他にございませんね?]


そして、高らかに宣言した。


[それでは、『無属性マント』は五千万Gで落札です!]


会場からは大きな拍手が沸き起こり、俺は静かに息を吐いた。


――――――――――――――――――――――


――――――――――運営Side――――――――


トレンたちがオークションへ参加している頃――。


運営本部では、オークションの様子が大型モニターへ映し出されていた。


一人のスタッフが主任へ報告する。


[主任、オークションが始まりました。今回はプレイヤーの参加人数が約五十名と少ないですね。]


主任は映像を見つめながら静かに頷く。


[まあ、仕方ないさ。今回はプレイヤーにとって初めてのオークション開催だからな。]


[招待状の発生条件も一つじゃない。ギルドランクや各街のNPCとの友好関係、商業ギルド長との好感度など、条件を一つでも満たせば参加できるようにしてある。]


スタッフも頷く。


[そのおかげで、始まりの街では招待状の条件を探し始めるプレイヤーも増えています。従魔やNPCとのイベントも、動画配信の影響で少しずつ注目されています。]


その時だった。


別々のスタッフたちが慌ただしく報告へ駆け寄る。


[主任! トレンとリョウがオークション会場へ到着しました!]


[主任! プレイヤーのサンオンも会場入りしました!]


さらに次々と、条件を満たしたプレイヤーたちの報告が上がっていく。


主任は小さく笑みを浮かべた。


[よし、それぞれの特殊イベント発生に関する出品を出すぞ。各自、配置につけ。]


[[了解!!]]


運営スタッフたちは、それぞれのプレイヤーに関係する出品物を手配していく。


予想どおり、対象となるプレイヤーたちは目的の出品物へ反応し、入札へ参加していた。


そして最後に――。


トレンへ向けて用意された、一枚の無属性マントが出品される。


その様子を見守っていたスタッフが、再び声を上げた。


[主任! トレンが無属性マントを落札しました!]


主任は小さく笑みを浮かべる。


[やはり喰い付いたか。]


[南エリア・バザドルの街で魔神四天王と交戦していたトレンなら、あの素材に気付くだろうと思っていた。]


スタッフは感心したように口を開く。


[でも主任、トレンはあの時、怒濤の攻撃を仕掛けていましたよね?]


主任は静かに頷く。


[ああ。あの魔神四天王は、最初から魔王に始末される設定だったからな。]


[そうだったんですか?]


主任はモニターへ視線を向けたまま続ける。


[なぜなら、魔人四天王を倒したトレンには、次の特殊イベントへ参加してもらう必要があった。そのためのトリガーの一つだからだ。]


[えっ!? もしかして、魔神四天王との交戦も条件の一つなんっすか!?]


※EPISODE.105話参考


[その通りだ。だが、それだけじゃない。]


[あの無属性マントも特殊イベント発生のトリガーだ。トレンは四つある条件のうち、すでに三つを揃えている。]


スタッフは驚きの表情を浮かべた。


[三つもですか!? いつの間に……?]


主任は笑みを浮かべる。


[忘れたのか? ナギサとバレグと協力した超特殊イベントで、トレンとリョウが回収しただろう。]


[あぁぁぁっ!! あの謎の卵っすか!]


※EPISODE.214話参考


[そうだ。ミラーアリジロの巣城で回収した卵だ。あれも条件の一つだ。]


主任はさらに続ける。


[それだけじゃない。ナナとマイも、トレンとリョウとは別の卵を見つけている。あれは氷の精霊の卵だ。予想外だったが、あの二人も別の特殊イベントのトリガーを発生させていた。]


スタッフは苦笑しながら頭を掻く。


[やっぱり、トレンとリョウは何かに引き寄せられている気がするっすね、主任。]


主任も小さく笑う。


[そうかもしれんな。だが、見つけた以上はどう攻略するのか楽しみでもある。]


[そうですね。プレイヤーたちが楽しんでくれれば、次の企画にも繋がりますしね。]


主任は軽く手を叩く。


[話はここまでだ。作業を再開するぞ。それが終わったら交代で休憩を取れ。]


[[了解、主任!!]]


スタッフたちは再び持ち場へ戻っていく。


主任は一人、モニターに映るトレンを静かに見つめ、小さく笑みを浮かべた。


[……楽しみにしているぞ、トレン。]


※ナナとマイが発見した詳細につきましては、今後Sideストーリーで描く予定です。

楽しみにお待ちいただけると嬉しいです。


――――――――――――――――――――――


トレンは競り落とした無属性マントへ静かに視線を向けていた。


隣にいたリョウは、不思議そうにその様子を見つめる。


[トレン……そのマントに何かあるんすか?]


俺は小さく頷いた。


[……ある。でも、今はまだ話せない。オークションが終わったら話すよ。]


[……分かったっす。]


リョウはそれ以上尋ねることはなかった。


俺はもう一度、無属性マントへ視線を向ける。


(まさか……バザドルの街で遭遇した、あの出来事がここへ繋がっていたなんて……。)


脳裏には、あの日の激しい死闘が鮮明によみがえっていた。


会場では、次の出品準備が静かに進められていた。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


今回は、最後の出品《無属性マント》を中心に、トレンが驚いた理由や運営Sideの裏側を描きました。


このオークションには、まだ素材・鉱石・結晶、そしてシークレット出品も控えていますので、今後の展開も楽しみにしていただけたら嬉しいです。


【お知らせ】

8月10日〜8月15日までは、本業の仕事のため休載いたします。


次回の投稿は、8月16日を予定しております。


少しお時間をいただきますが、その分また楽しんでいただけるよう執筆を進めてまいります。


今後とも『VRMMOでスローライフするつもりがなぜかソロ最強プレイヤー?』をよろしくお願いいたします。

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